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夢写師カレンと刻の万華鏡  作者: 大西さん
第5章 霧見神社の秘密
24/77

第24話 チヨと清の約束

■チヨと清の約束


修行の合間、老神主は32年前の出来事を語った。「清殿とチヨ殿は、幼馴染だった。共に、この神社で修行を積んだ」老神主は遠い目をした。


「でも、チヨさんには恋人が」カレンが言いかけた。


「上條健司殿ですな。チヨ殿の心は健司殿にあった。清殿はそれを理解し、親友として支え続けた」老神主は頷いた。清の「語られなかった記憶」が、ここで初めて明かされる。


そして、1994年の夏の出来事。「時間の異常が始まった時、清殿は必死に解決策を探した。しかし、守り人の力だけでは足りなかった。そこで、チヨ殿と協力することに」老神主は語った。


しかし、実験は失敗続きだった。そして、最後の日——「チヨ殿は、自らを生贄とすることを決意した」老神主の声が震えた。「清殿は必死に止めたが、チヨ殿の決意は固かった」


老神主は、一枚の紙を取り出した。それは、チヨが清に宛てた最後の手紙だった。『清さんへ。私の我儘を許してください。でも、これしか方法がないのです。いつか、清さんの子孫が私を救い出してくれることを信じています。その時まで、護符を守ってください。約束よ』


この手紙は、チヨと清の間にあった、世代を超えた「記憶の継承」の象徴だった。


■護符の真の力


「つまり。チヨさんは、最初から未来に希望を託していた」カレンは理解した。


「その通り。そして今、その時が来た」老神主は頷いた。


ユウキは護符を見つめた。祖父の想い、チヨの願い、すべてがこの小さな護符に込められている。彼の瞳に、使命感の「光」がより強く宿った。


「でも、本物の護符は?」ユウキが尋ねた。「霧谷の蔵にあるはず。仮の護符でこれだけの力。本物なら、もっと強大な力を持つ」老神主は答えた。


「今すぐ取りに」ユウキが立ち上がった。


「待て。準備なしに本物の護符に触れれば、力に飲み込まれる。まず、仮の護符を完全に使いこなせるようになってから」老神主が制した。


■迫る危機


その時、カレンのSIDが激しく警報を鳴らした。「大変!町で、大規模な時間異常が発生してる」カレンは画面を見て青ざめた。


データを見ると、町の中心部で時間の逆流が起きていた。建物が急速に古くなったり新しくなったりを繰り返し、人々がパニックに陥っている。「もう限界が近い。急がねば」老神主は厳しい表情になった。


三人は急いで神社を後にした。カレンの瞳の「影」が、再び焦燥の色を帯び始めた。彼女の科学への信頼が、試されている。


■町の混乱


町に戻ると、想像を絶する光景が広がっていた。ある区画では、建物が中世の様式に変わっている。別の場所では、未来的な建築物が出現していた。時代がごちゃ混ぜになり、秩序が完全に失われている。


「お母さん!お母さんどこ!」迷子の子供が泣いている。しかし、その子の服装は、明らかに100年前のものだった。


「この子、過去から来たの?」カレンは困惑した。彼女の科学的知識が、目の前の現象に追いつかない。


町民たちも混乱の極みにあった。ある人は若返り、別の人は老化し、記憶も時代もバラバラになっている。


「こんなの、どうすれば」ユウキは途方に暮れた。その時、護符が強く光った。


■護符の導き


護符から発せられた光が、一つの方向を指し示した。「あっちに、何かある」ユウキは直感した。彼の血に刻まれた「記憶」が、彼を導く。


護符に導かれるまま、三人は町を走った。途中、時間の歪みに巻き込まれそうになりながらも、護符のバリアが彼らを守った。


そして、たどり着いたのは——「俺の家?」霧谷家の屋敷の前に立っていた。古い日本家屋は、不思議と時間の影響を受けていなかった。


「ここに、答えがある」カレンは確信した。

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