表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢写師カレンと刻の万華鏡  作者: 大西さん
第3章 魂写真館の新世代
12/77

第12話 深夜の来訪

■深夜の来訪


深夜、カレンが一人でデータ解析を続けていると、窓の外に人影が見えた。


慌てて窓を開けると、そこには見知らぬ老人が立っていた。しかし、その瞳には見覚えがある。金色の、カレンと同じ色の瞳。


「あなたは」


「夜分に申し訳ない。私は、32年前を知る者。そして、あなたに伝えなければならないことがある」老人は丁寧に頭を下げた。


老人は懐から、古い写真を取り出した。そこには、若い頃のチヨと、もう一人の青年が写っていた。「これは」「チヨの恋人、上條健司。今も、彼女を待ち続けている」老人は説明した。カレンは息を呑んだ。32年も?


「明日、時計塔に行くのでしょう。気をつけなさい。あそこは、時間の結節点。過去と未来が交わる場所。準備なしに挑めば、チヨと同じ運命を辿ることになる」そう言い残し、老人は霧の中に消えていった。カレンの瞳に映る老人の残像は、まるで時間の「写し損ねたもの」が、まだこの世界に漂っていることを告げているようだった。


■決戦前夜


カレンは写真を見つめた。チヨの笑顔は、カレンによく似ていた。いや、カレンがチヨに似ているのか。


「32年か」カレンは呟いた。


それだけの時間、誰かを待ち続けることができるだろうか。そして、待たれる側の気持ちは。


ふと、ユウキの顔が浮かんだ。今日、命懸けで自分を守ろうとしてくれた。そして、これからも側にいると言ってくれた。「私も。ユウキを守らないと」カレンは小さく呟いた。


窓の外では、霧がさらに濃くなっていた。時計塔の方角から、不気味な光が漏れている。


明日、すべてが決まる。


カレンは夢写機とSIDを並べて置いた。新しい技術と古い技術。どちらも必要だと、今日の経験で分かった。SIDの曇っていたレンズが、微かに光を帯び始めた。心の「影」が薄れ、受容の「光」が差し込んだ瞬間だった。


「チヨさん。必ず、助け出します」カレンは写真に語りかけた。


そして、明日への覚悟を固めた。


記憶喪失は、既に町の人口の1割に達していた。タイムリミットは、刻一刻と迫っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ