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第97話 薔薇?百合?

「【幸運】はガチで大当たりだな」


スキルレベルアップ前提ではあるが、レベル7の効果は破格そのものだ。

このユニークスキルを手に入れた、文字通り幸運に感謝するばかりである。


「大幅パワーアップおめでとうございます、マスター」


「ありがとう。勇気のレベル70スキルはどういうスキルなんだ?かなり強力なんだろ」


「よくぞ聞いてくださいました。まあ幸運のレベル7効果に比べれば見劣りしますが、それでもかなり強力ですよ。今マスターとペアリングしますので、ご確認ください」


勇気がカラスの姿に戻り、俺の頭の上に着地する。

そういやこいつの三本目の足ってチンコなんだよな。


思いっきり頭についてるんだが……


そういや、宴会芸にはチョンマゲなるものがあるよな。

まあそれだと思って気にしない事にしよう。


「スキルリンク!」


俺の中に、新しいスキルが生まれたのを感じる。


確認すると――


「【武器装備】?なんだこりゃ?」


――効果は『武器を装備する』とある。


「そのまんま、武器を装備するスキルですよ。ほら、私って武器を装備できなかったじゃないですか」


「ああ」


勇気は特殊な存在だからか、武器が装備できない。

まあ持つこと自体は出来るが、それで攻撃しても、素手で殴るのと同じダメージしか入らないそうだ。


「このスキルがあれば、私は武器を装備できるようになるって訳です」


「え?それだけ?」


「おっとぉ、あからさまにがっかりな反応ですね。マスターは分かりやすい!でも、ちゃーんとマスターにも恩恵はありますよ。それも強力な」


「強力な?」


【武器装備】を鑑定で確認する。

隠れた効果でもあるのかと思い。


「武器装備時に、攻撃力が50%上がるのか」


武器さえ装備していれば火力が50%上がるのは、まずまずの効果といえるだろう。

これがスキルブックからの入手だったなら、小躍りするレベルだ。

が、散々期待を煽っていたレベル70スキルと考えると、正直微妙と感じざるをえない。


「強くはあるけど……勇気が期待値上げまくったせいか、なんとも言えないんだが?」


「ふふふ……マスターはそのスキルの真価を理解していないみたいですね。ハイミスリルダガーを穴から出してください」


「ダガーを?まあいいけど」


勇気に売らずにとっておけと言われ、ミステリアスホールに突っ込みっぱなしだったダガーを左手で取り出す。


「それで?」


「それを右手に持ってください。月光と一緒に」


「月光と一緒に?」


勇気の意図が分からず、俺は言われた通りする。


「持ったぞ。それで?」


今現在は右手に月光とハイミスリルダガーを持っている状態だ。

一体何をさせたいのやら。


「それじゃあ、スキルを発動させてくださいな。ああ、もちろん【武器装備】をですよ。発動の仕方は意識するだけでいいんで」


「え?これってパッシブじゃなくてアクティブスキルなのか?」


効果を見る限り、【武器装備】は常時発動(パッシブ)スキルにしか思えない。

だが発動させろって事は、このスキルはアクティブスキルという事になる。


「まあそうなりますね。さ、発動させてみてください」


「わかった」


スキルを発動させる。

すると――


「——っ!?」


右手に持っていた月光と、ハイミスリルダガーが重なった。


「なんだこりゃ!?武器が重なったぞ!?」


「【武器装備】は強制的に武器を1つ装備させるスキルなんですよ。既に武器を装備している状態でも、その効果で重なって装備される訳です」


「まじか……てか、この状態で攻撃したらどうなるんだ?」


「それぞれの武器で攻撃した扱いになります。まあ要は、2回攻撃ですね」


2回攻撃。

ゲームなんかでたまに見るあれか。


「2刀流にはならないのか?」


「なりません。両手にではなく、片手装備にスキルでの片手装備が重なる特殊判定ですので」


シーカーは、特殊なクラスを除いて、両手に別々の武器を――すなわち二刀流にはしない。

両手に武器を装備した場合、武器の分類が短剣から二刀流という特殊なものに変わってしまうからだ。


この場合、装備しているのは二刀流武器となるので、短剣マスタリーの100%アップは適用されなくなる。

つまり、攻撃力の半減だ。


攻撃力が半減した武器2本装備するのは、1本で戦うより弱いからな……


敵の防御力の影響もあるので、確実に2刀流の方がダメージが下がる。

更に2刀流だと、それ専用の特殊な動きが求められてしまう。

なので、専用のマスタリーがあるクラス以外は、武器は一つが基本だ。


「二刀流じゃなくて片手に二本装備。つまりあれか……月光を2本装備して攻撃したら、ダメージは2倍になるって事だよな」


「イエス!」


「だとしたら滅茶苦茶強いじゃないか」


攻撃力50%増しで2回攻撃。

クリティカルで相手の防御力の影響を受けないので、そのダメージは実質3倍になる。

火力3倍って、下手なユニークスキルよりずっと強力だぞ


「更に言うなら、クリティカル判定も別個なので、攻撃時に限っては幸運ゲージの溜まりが2倍になります」


「なるほど。勿体付けてただけはあるな」


「やだなー、しょぼいスキルでそんな真似しませんよ、因みに、武器を装備した際の僕の攻撃力は……まあ装備する武器次第ですけど、Sランクの片手剣なら軽く10倍、いえ、20倍ぐらいになります」


「え?そんなに上がるのか?」


今の勇気の火力が低いとはいえ、流石に20倍も上がると火力はぶっ飛んだものになる。


「私は格闘家でも何でもないですからねぇ。というか、格闘家ですら攻撃力の高まるナックルとか装備する訳ですし……まあそれはおいておいて、素手とSランク武器ありなら、それぐらいの差は軽く出ますよ」


「そうか……」


【武器装備】で勇気の火力が20倍に上がり。

俺は3倍。

そこに更に幸運ブーストが加われば、狩りは相当楽になる筈である。

これはレベル上げが捗りそうだ


「そういや、勇気は俺から何のスキルを手に入れたんだ?」


スキルリンクは、お互いのスキルをシェアする効果だ

俺が【武器装備】を得た様に、勇気側にもスキルが付与される。


「ハート・スティールか短剣マスタリー当たりか?」


敵を操れるスティールか。

短剣装備時に攻撃力が100%上がるマスタリーか。

候補としてはこの二つかな。


ああ、でも、身軽も悪くないのかもな。

敏捷性30%も上がるわけだし。


「ハート・スティールは便利ではあるんですけど、私には【アディショナルタイム】がありませんからねぇ。効果時間半減だとって感じです」


「3分だとまあ短いか」


6分でも短く感じるぐらいだからな。

Sランクの魔物のHPが高すぎて。


「ええ。それにマスター、次いで私の順みたいに同じ魔物に掛ける事も出来ませんし。免疫は共通ですから」


「1度掛けると効果無効になるのは、勇気も一緒な訳か」


「そうなります。なので火力を上げる方が有効かと思いまして、マスターの代名詞ともいえる【幸運】をコピーさせていただきました。」


「【幸運】?ユニークスキルもリンクできるのか?」


「もちろんです!因みに……私の幸運は20程ありますので、ダブルクリティカル確定です。つまり敵の防御無視!弱武器である短剣の火力を2倍にするよりかは、他の武器でダブルクリティカル出した方がダメージは上がりますんで。火力だけ見てもこっちの方がお得です」


勝手に候補から除外していたが、どうやらユニークスキルも出来る様だな。


「なるほどな。にしても、お前結構幸運高いんだな」


「八咫烏ですから!」


勇気がドヤ顔になる。

何故八咫烏だと幸運が高くなるのか全く理解できないが、まあそういう物だと考えておく。


「更に【幸運】ですので、幸運ブーストもゲージ技も使えます。あ、因みに……幸運のペンダントの効果は私にも影響するので、私の場合も表確定になります」


「そうなのか?」


「ええ。武器防具なんかは駄目ですけど、タリスマンの効果は全て受けれられます。一応私、マスターの付属物ですから」


「あー、まあ納得いく様な行かない様な」


「細かい事は気にしないで下さい。仕様です、仕様」


まあ損はしてないからいいけど。


「しかもレア確定も」


「あ、そうか……【幸運】をコピーするってならレア確定も使えるのか」


「ええ。私自身はスティールを使えないので、私の分はドロップ限定になりますが」


「それでも十分デカい」


スティールとドロップのダブルレアが確定する訳だからな。

【幸運】の効果でレアドロップ率自体が上がっているとはいえ、低確率な物も多いので、レア確定は多いに越した事はない。


「さらにさらに!ラッキースケベでお互いの胸を揉み合うことも!」


「………………ああ、うんまあ……それはまあ、あれな気もするけど……」


男同士で乳を揉み合うとか、軽い地獄絵図である。

特殊な性癖持ち以外には。


「追加のバフがかかるんですよ!喜んでください!」


「ああ、まあ……そうだな」


まああれだ。

傍から見れば、女の子同士が胸をまさぐり合ってる図な訳だし……


そう思う事にしておこう。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
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