第8話 スタート
「よし!レベル10だ!」
カエルコンビを倒し、俺のレベルが10へと上がった。
このダンジョンに来て二日目の事である。
レベル一桁代で1日1レベル。
これがゲームだったら、そのあまりの上がりにくさにきっとクソゲー扱いされてるだろう。
だが、シーカーのレベルアップはこれが普通で、それどころかこれからもっと時間がかかる様になっていく。
まあ現実だからな。
ゲームの様にテンポよくお手軽に楽しむという訳には行かないのだ。
因みに、レベル10には大きな意味があった。
シーカーランクでいう所の、Eランクへ昇格するとかではない。
そんな区分上の物ではなく、もっと能力的な意味を持つ事だ。
それは――そう、クラススキルの初ゲットである。
覚醒してクラスに付くと補正はつくが、スキルを覚えるのはレベル10からである。
なのでこれまでは、ユニークスキル以外ない状態だった。
「ネットとかだと、ここからが本当のシーカーって言われてるんだよな」
魔力のお陰で魔物を倒せるとは言え、低レベル時は、一般人と身体能力にそこまで大きな差ない。
しかもユニークスキル持ち以外はスキルもないので、目に見えた差がほぼない状態だ。
そのせいで覚醒の実感が湧きづらく、明確な差となるスキルを覚えて初めて、シーカーになった実感が得られるためこう言われれている。
で、俺がレベル10で習得したのは短剣マスタリーLv1。
そして、シーフの代名詞ともいえるスキル。
そう、スティールだ。
短剣マスタリーは、短剣装備時に攻撃力が上がるスキルになっている。
レベルに応じて補正が変わり、スキルレベルを20倍にした%分が上昇量だ。
なのでレベル1だと20%だな。
因みに短剣マスタリーの短剣の定義は、刃渡り30センチ未満かつ、柄30センチ未満の刃物だ。
なので、包丁とかカッターも短剣扱いになる。
まあ包丁は兎も角、カッター何て武器としては絶対使わないけど。
柄の長さに制限があるのは、槍との区別のためじゃないかと言われているな。
刃渡り30センチだけだと、槍も普通にカテゴリー内に収まってしまうから。
で、スティールは――
ゲームなどでよくある、敵からアイテムを盗むスキルだ。
成功率は自分と魔物のレベルで決まり、多少相手のレベルが上でもほぼ成功する。
盗める物はドロップアイテムより低価格になりがちだが、成功率がほぼ100%なので、パーティーにシーフがいるかどうかで懐のうるおい具合に大きな差が出ると言われるぐらいの違いがあるので、その需要は高い。
「明日から武器を変えないとな」
今手にしているショートソードのは、刃渡りが30センチ以上ある。
ぶっちゃけ、ここでの狩りでは敵を一撃で倒せているので武器を変える必要はない。
が、先の事を考えると短剣類に早めに慣れておく必要があった。
「リーチの短い武器の扱いに慣れとかないと」
冷静に考えると、最初っからその手の武器を使っておくべきだったな。
剣を使う訓練を長い事していたのと、幸運に気を取られ過ぎて、つい扱いやすい木刀やショートソードを使ってしまっていた。
ま、でもこの程度なら誤差か。
「とりあえず……次からは全敵スティールだな」
ここのカエル共から盗める物はくっそ安い魔石なので、金銭的には盗む必要は全くない。
だが、戦闘とスティールはシーフにとってもはやワンセットのような物だ。
その感覚を慣らすためにも、全部の敵にスティールしていく。
因みに、スティールは消費SPが低いので、基本、全部の敵に使っても問題ない感じだ。
拙作をお読みいただきありがとうございます。
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