第82話 Sランク装備
「よし、落札だ」
シーカー協会が開いているネットオークション。
それで狙った商品を俺は落札する。
物はSランクの短剣で、値段は50億程だ。
「安く済むのは短剣の最大の利点だな」
短剣を使うクラスはかなり限られている。
俺が知らないヒーロークラスの可能性を考慮外にするなら――
ノーマルクラスのシーフ。
レアクラスのアサシン。
同じくレアクラスのバトルダンサーの3つが短剣を使用するクラスとなっている。
因みに、アサシンはシーフの上位クラスではない。
ゲームなんかだとシーフの上位互換みたいに扱われたりもするが、アサシンはハンター系列の上位クラスだ。
なので、シーフの代名詞ともいえるスティールは使えず、弓も扱える戦闘スタイルになっている。
特殊クラスであるシーフには火力が求められず。
レアクラスのバトルダンサーは、他クラスに比べて圧倒的に数が少なく――レア中のレア。
そしてアサシンはレアクラスの中では弱い方なので、高レベル帯に少ない。
そういう事情から、短剣は格安で手に入れる事が出来るのだ。
え?
50億は全然安くない?
まあ確かに、一般的には50億なんて額は超が付くレベルの大金ではある。
もちろん俺から見てもくっそ高いぞ。
50億も出せたのは、レア確定やボス狩りのお陰だ。
それが無かったら、こんなもんポンと購入することは出来なかったぞ。
それでも安いと言ったのは、Sランク武器で短剣は最低レベルの価格だからである。
他のは100億越えがゴロゴロしてるからな。
「防具は……90までには絶対貯まらなさそうだな。高すぎ」
Sランクの防具の落札履歴を覗くと、もっとも安い物で200億近くしていた。
90までに防具一点買えたら、御の字って感じの価格である。
「命あっての物種ですからね。Sランクでの狩りの厳しさを考えると、どうしても防具は高くなっちゃいますよ。誰だって死にたくはないですから」
死なない事を第一に考えるのなら、確かに防具は重要だ。
それがお値段に反映されるのも致し方なしである。
「出来たら、防具もSランクにしときたいんだがなぁ……」
「まあ、当たらなければどうという事はないって、どっかの誰かが言ってたり言ってなかったりしますから。敵の攻撃なんてものは回避すればいいんですよ」
「俺の腕前で、Sランクの魔物完封できるもんか?」
「無理ですね、絶対」
「じゃあ駄目じゃねーか」
幸運ガードによる99%カットがあるとはいえ、Sランクレベルの魔物の攻撃は桁違いだ。
とてもではないが、カットだけでどうにかなる様なものではない。
なので攻撃を喰らう前提なら、ある程度しっかりとした防具が必要になってくる。
「まあ隠し通路のアイテム次第で、防具は無くても行ける可能性はありますんで。取り敢えず悩むのは、それを回収してからでいいんじゃないですか?」
「お、そんな素敵なアイテムが手に入る訳か」
「可能性の問題ですよ。可能性の」
とぼけちゃってからに。
本当は何があるのか知ってる癖に。
「ま、じゃあ明日から頑張って隠し通路探しを始めるか」
因みにSランク装備ってのは、レベル90以上のSランクシーカーだけが装備できる特殊な装備の事を指す。
まあ正確には90未満でも装備できるんだが、その場合本来の性能を発揮しないと言われており、その性能はミスリル以下になるそうだ。
ああ、後、タリスマンもSランク装備に入るか。
90以上のシーカーが装備したら特殊な効果を発揮する護符で、価格はピンキリだな。
雑魚が落とすような物は効果が低く安価で、ボスのレア枠なんかはくっそ高い。
まあタリスマンは6個も装備できるから、6個全部揃えるなら、安い物でも防具以上にお金がかかるだろうけど。
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