第65話 攻撃力は……
―—アニマルダンジョン2層・西側。
「ガオオオオオオン!」
アニマルダンジョン最強の魔物。
獅子丸が俺に気づいて雄叫びを上げた。
獅子丸のレベルは69で、見た目はライオンの首元からヒヒが生えている様な姿だ。
馬+人のケンタウロスの、ライオン+ヒヒ版だと思って貰えばいいだろう。
因みに上のヒヒは長めの槍を握っており、それで攻撃してくる感じだ。
「さて……」
獅子丸はパワー、スピード、タフネスが売りの脳筋タイプで、バーサーカー・ラーテルを除けばこのダンジョン最強の魔物となっている。
勇気との訓練前は、ヒヒの長い槍が届くギリギリの範囲からひたすらカードを投げつけるという、中距離戦で処理していた。
近付きすぎるとライオンの噛みつきや前足の攻撃が加わり。
間合いを離しすぎると、ヒヒによる回避のきつい超高速かつホーミング効果のある投げ槍——しかも投げた後、一瞬で奴の手に戻る――があるため、中距離で戦うのが一番楽だったからだ。
まあ楽とは言っても、それでも手ごわい敵だったけど……
「じゃあ行って来る!」
俺は真っすぐ獅子丸へ向かって突っ込む。
今回はラッキースケベは無しだ。
というか、スキル全般なしで戦う。
もちろん変身も。
地力がどれだけ上がったか確認するには、それが一番体感できると思ったからだ。
勇気もその条件でも楽勝だって太鼓判押してくれたしな。
あ、因みに……ラッキースケベした際に揉むのは、ヒヒではなく、ライオンのお腹の当たりになる。
なので本体は下のライオンって事だ。
まあ名前も獅子丸だからな。
「ふっ!」
俺を狙ったヒヒの投てきが飛んで来た。
俺はその超高速で飛んできた槍を、手にしたミスリルダガーを使って軌道をそらす様に弾く。
誘導効果のある武器ではあるが、こうして弾いてしまえば問題ない。
もちろんこんな真似、以前は変身してても出来なかった。
勇気との修行の成果だ。
「よっと!」
そのまま速度を緩めず、俺は一気に獅子丸との間合いを詰めた。
ヒヒの手に槍が戻り、突きを放ってくる。
俺はそれを最小限の動きで避けつつ、突き出された槍を掴んで強く引っ張りヒヒの体勢を崩してやった。
俺は筋力を上げていないため、普通に槍を掴んで引っ張っても相手の体勢を崩す様な真似は出来ない。
だが、相手の突きの動きに合わせれば話は変わって来る。
「はっ!」
俺は更に間合いを詰める。
スキルなしである以上、短剣を使って接近戦一択だから。
そこに本体であるライオンの噛みつきが襲い掛かってきたが、俺はそれを横周りするように躱してその首筋にミスリルダガーを突き立てた。
◇◆◇
「グウゥゥゥ……」
俺の一撃が獅子丸の眉間に突き刺さり、ドロップ品だけを残して奴の体が霧散する。
「本当に楽勝だったな」
懐に入ってやり合う戦法だと、相手側の手数が大幅に増える。
以前なら考えられなかった戦い方だったが、まあ完勝だ。
かすり傷一つ負う事もなかった。
「まあでも、やっぱ時間はかかるな」
技量の向上でより鋭く最適化された攻撃を出来るようになったとはいえ、使ってるのが短剣類ってのもあって、それで劇的に火力が上昇したりはしない。
結局、力こそパワーなのである。
遠距離攻撃に至っては何の変化もないしな。
「まあ攻撃力ばっかりは、技量であげるのには限界がありますからねぇ。まあそこは装備で何とかしていけばいいんじゃないかと。マスターにはそのための能力がある訳ですし」
「まあそうだな」
Sランクダンジョンでドロップする装備や、素材から作られた物なんかは、今使ってるミスリル装備なんかとは比べ物にならない程攻撃力が高いと言われている。
そして当然だが、そういった装備はくっそ高い。
数十億を余裕で超えるレベルで。
普通ならそんな簡単に手は出ないだろう。
だが俺には確変による1日1回のレア確定と、幸運によるレアドロップの超補正がある。
なので、お金で買うにせよ、自力で手に入れるにせよ、他のシーカー達より遥かに入手難度は低いのだ。
「装備頼りってのは若干イメージ的にあれだけどな」
「今更イメージ気にしてどうするんです?ダブルG何て呼ばれてるのに」
「う……もうそろそろ、みんな忘れてる頃だから。たぶん」
「夢見がちですねぇ、マスターは。ま、なんにせよ、しっかりした装備を揃えるのもシーカーとしての腕前みたいなもんですから。装備頼り、大いに結構じゃありませんか。強力な武器と防具。それにタリスマン関係も、ジャンジャン集めて行きましょう」
「ああ、そうだな」
さて、それじゃあ……楽しい楽しいレベル上げの再開だ。
目指せレベル99!
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