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第53話 被害者の会

「よし!スキルブックゲット!」


通算4体目で2冊目のスキルブックを獲得する。


「キシャアアアア!」


「君からの贈り物は大切に使わせて貰うよ!」


出会いがあれば分かれもある物だ。

一期一会の精神と、彼女からの贈り物を胸に、俺はさっさとトンズラする。


「さーて、どんなスキルかな?」


お楽しみの幸運鑑定。

気分はスキルガチャである。


「お…………おおおおおおおおおおおおお!大当たりだ!!」


鑑定結果に興奮し、俺は雄叫びを上げる。

Cランクダンジョンのボスが落とすアイテムの中では、間違いなく最高峰の当たりスキルを引けたからだ。


―—出たスキルは【獣殺し(ビーストキラー)】。


パッシブスキルで、効果は獣に分類される魔物相手のダメージが50%上昇すると言う物だ。

種族限定とはいえ、全てのダメージが50%アップするこのスキルは間違いなく大当たりと言えるだろう。


「装備を整える為に売るべきか……」


キラー系スキルで人気なのは竜殺し(ドラゴンキラー)悪魔殺し(デビルキラー)天使殺し(エンジェルキラー)の三つで、これらは軽く100億を超える物だ。

それ以外のキラーは人気がワンランク落ちるが、それでも数十億はくだらない。


数十億あればかなりいい装備が集められるだろう。

けど――


「いや、使おう!金よりスキルだ!金なんか無限ラーテル編でいくらでも稼げるからな!」


売るかどうか一瞬迷いはしたものの、俺は【ビーストキラー】を自分に使用する。


「ふはははは!自分磨きに数十億を投資!女子連中も顔負けよ!」


自分磨き、きんもちいいいいいい!

一皮むけた感が凄いぜ。

まあだからって、ラーテルさんと戦かったりはしないけどな。


レディーを傷つけるなんてジェントルメンのする事じゃないからね!

DVよりも断然ヒモ!


いかにお宝を引っ張り出すかが男としての腕の見せ所である。


―—というわけで、再会。


「ち、しけてやがる」


5匹、6匹、7匹、8匹、9匹目と、5連続でスカを引く。

幸運さん。

もっとちゃんと仕事してください。

こっちも暇じゃないんですから。


因みに。ハズレ枠はグレートジャーキーというアイテム。

ジャーキーの凄い版だ。

結構SPMPが回復するので売値は100万と高めだが、如何せんスキルブックに比べれば小粒と言わざるえない。


「ま、気長にやるからいいけどな」


数日籠る覚悟だ。

なのでラーテルちゃんとは長いお付き合いになる事だろう。

俺の人生最後に走馬灯があるなら、きっと歴代元カノの如くラーテル達が流れ続ける事であろう。


「さーて、記念すべき10体目はスキルブックを出してくれるかなぁ」


さあ記念すべき、まあそこまで記念すべきって訳でもないけど、とりあえず10体目。

テンション上げて行こう。


「ん?」


祭壇に手をかざすと、一瞬だけ光るがそのまま消えてしまう。


「まさかもう打ち止めとか?まじかー」


無限ループできるとばかり思っていたが、どうやら回数制限があった様だ。

まあビーストキラーも手に入ったし、十分美味しくはあったが、それでもやっぱり残念である。


駄目元でもう一度手をかざす。

すると――


「なんだ!?」


祭壇が明滅する様に赤く輝き、そしてブザーのような音が鳴り響く。


『不正使用を検知しました』


次いで女性の声が。


「なんだなんだなんだ!?」


『システム不正利用者にペナルティを課します』


不正。

それにペナルティ。

その祭壇から流れる女性の言葉(アナウンス)に不吉な物を感じた俺は、神出鬼没を使ってその場から退避を――


「なんだ!?スキルが発生しない!?」


再使用時間はとうに過ぎている。

MPも足りている。

にもかかわらず、神出鬼没が発動しない。


「くっ!やばいぞこれは!!」


神出鬼没で逃げられないなら走って逃げよう。

そう足を踏み出した瞬間。


「どこだここ……」


世界が変わる。

遺跡から、一辺五十メートルほどの四角い真っ白な空間へと。


祭壇はなくなったが、ブザー音は続いている。


「閉じ込められた……」


神出鬼没を使ってみるが、やはり発動しない。


『過剰召喚された魔物の処理タスクと、不正者のペナルティを同時に実行します』


再度女性の声が響く。

と同時に、鳴り響いていたブザー音がピタリと止まる。


「……」


数瞬の静寂。

だがそれは直ぐに破られた。


『『『『『『『『『『キシャアアアアアアアアア!!』』』』』』』』』』


獣の雄叫びによって。

それも一つや二つではない。

大量の雄叫びだ。


「あ、ああ……」


そして落ちて来る。

俺を取り囲む様に、円の形に黒い獣達が10体。

全てバーサカー・ラーテルだ。


「ウソだろ……」


『タスク開始カウントします』


ラーテル達の俺を真っすぐ見ていた。

その口元を歪まで、早く始めろと言わんばかりに涎を垂らしながら。


『10』


人間欲ばると碌な事にならないから、程々が一番だぞ。

子供の頃、優しかった父に言われた言葉を思い出す。


『9』


清く正しく。

路を踏み外した外道には因果応報が待っている。

世界はそうあるべきだ。


けど神様……俺、そんな酷い事しましたか?


『8』


泣きそうになる俺の気持などお構いなしに、カウントダウンは進む。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


『面白い。悪くない』と思われましたら、是非ともブックマークと評価の方をよろしくお願いします。


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最強執事の恩返し~転生先の異世界で魔王を倒し。さらに魔界で大魔王を倒して100年ぶりに異世界に戻ってきたら世話になっていた侯爵家が没落していました。お世話になった家なので復興させたいと思います~
大魔王を倒して100年ぶりに戻ってきた勇者が、没落した侯爵家を執事として再興させるお話になります
素行不良で僻地に追いやられた第4王子、自分が転生者だった事を思い出す~神様から貰ったランクアップで楽々領地経営~
王家から追放された無能な第4王子が転生者である事を思い出し、神様から貰ったランクアップのチートで自領を発展させつつ面白おかしく生きていくお話
― 新着の感想 ―
周知してあるならわかるが 警告もなしでペナ執行とは運営はゴミクズだな
クソ運営すぎるw 問い合わせ出来ないんだから、出来たらそれは仕様と判断しても仕方ないだろw あとからペナルティってゲームなら炎上案件w
>けど神様……俺、そんな酷い事しましたか? 無理やり性転換させておっぱい揉んで、大事な物を盗んだらすぐにポイして逃げてた。 刺されても文句言えないくらい酷いことしてるんだよなぁ…
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