第45話 初恋の味
謎のスキル効果、ラッキースケベ。
その効果のほどを確認すべく、アルマジロを狩りにやって来た。
「どれ……効果のほどは……」
ハードアルマジロが突っ込んでくる。
それに向かって発動させてみた。
「うおっ!?」
スキルを発動させると左手が勝手に前に動き、そして目の前に突如アルマジロがワープして来た。
丸まって転がっている状態ではなく、無防備に二本足立ちしている状態で。
そして感じる柔らかい感触。
見ると俺の左手は、アルマジロの腹部にあるふくらみをしっかりと握っていた。
元から雌なのか、スキル効果で雌化したのかは不明だ。
力が湧いて来る……
恐らくバフ効果だろう。
しかし柔らかいな。
うん、柔らかい。
「うおっ!」
感慨深く胸をにぎにぎしてたら、アルマジロの前足で思いっきりぶっ飛ばされてしまった。
だが安心して欲しい。
ダブルガード効果に加え、自身への強化バフ。
さらに相手のデバフがあるので大したダメージではない。
まあ女子の胸をうっかり触ってしまって、ビンタされたんだと脳内変換しておく。
「という訳で……もうお前は用済みだ!」
ハードアルマジロにカードをぶつけまくって成敗。
「対象が消えるとバフも消えるのか」
魔物が消えた瞬間、俺にかかっていたバフが消えてしまう。
どうやら対象ありきの強化の様だ。
「じゃあ次は……」
アルマジロは、二匹一組で行動している。
次は後衛、遠距離攻撃してくる属性アルマジロだ。
「お前もラッキースケベになるんだよ!」
属性アルマジロにラッキースケベを発動させる。
相手の遠距離攻撃が飛んでくるタイミングを狙って。
「さあ自分で喰らえ!」
その目的は飛んできた魔法を、瞬間移動して来たアルマジロで防ぐ為だ。
そして狙い通り、雷がアルマジロに直撃する。
我ながら完璧な頭脳プレーだ。
そして柔らかい。
「おっと、ビンタは一度で十分だ」
アルマジロのフックを躱し、素早く処理。
「ふぅ、これで魔物に効く事が分かったな」
もし魔物に効かなかったら、この効果、完全に痴漢専用という絶望的な物になってたからな。
そうなったら永久封印待ったなし。
ちゃんと効いてくれてよかったよかった。
俺はドロップ品を拾い。
その内、ジャーキーだけをガジガジ齧る。
使ったMPSP回復用に。
「ジャーキーは初恋の味!」
うん、言ってみただけ。
いくら童貞とは言え、胸もんだだけでアルマジロを好きになったりはしない。
顔も重要だからね!
そもそも、もしそれで本当に好きになってたとしたら、迷わず殺して残ったジャーキーを食いながら『ジャーキーは初恋の味!』って叫ぶのは完全にサイコパスである。
「次は強化が重複するか確かめるか」
二匹同時に掛けた場合、強化は2重にかかるのか?
あと、一度掛けた相手に連続して掛けられるのか?
なんかを調べよう。
この二つは結構重要だからな。
「さて、じゃあ魔物は……と」
ダンジョンマップを確認する。
以前は地形だけが表示されていたマップだが、現在は青と緑の大量の光点がダンジョンマップ内で輝いていた。
これは【幸運】のレベルが上がり、鑑定効果が成長した結果である。
青がシーカーで、緑が魔物だ。
で、その中に光の淵が赤くなっているものがあるんだが、これはおそらく戦闘中を表してるんだと思う。
淵が赤いのは全部青光と緑光が接触してる状態だからな。
「これのお陰で索敵が捗りまくりだ」
探す手間が省け、一直線に向かえる訳だからな。
あと、ダンジョン内で休憩する時とかも、魔物の位置が分かれば休憩しやすいってもんである。
え?
休憩は神出鬼没を使って家に帰ればいい?
神出鬼没は結構MP消費が大きいんだよな。
仮にも瞬間移動だし、そりゃね。
だから現地での休憩で済ませられるなら、そっちの方が効率は良くなる。
往復分のMP回復気にしなくていいし。
後、その理由から、索敵にも神出鬼没は使えない。
マップのマーカー移動もMP消費はそこそこするので、併せて使ってた日にはあっという間にMP切れを起こしてしまう。
「だから敵の位置が分かっても、移動は結局ワイヤー頼りって訳だ」
まあそれでも歩くより遥かに早いからな。
俺はミスティックワイヤーを飛ばし、高速移動で次の獲物の元へと向かう。
拙作をお読みいただきありがとうございます。
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