第44話 痴漢
使用したスキルブックは、回復速度アップだ。
これはSP、MP、体力の回復速度を高めるスキルで、特に休憩中の回復速度を高めてくれる。
戦闘には直接的に影響しないが、シーカーとして取っておいて損のないスキルだ。
「今はジャーキー垂れ流しだからいいけど、この先、狩る敵を変えたらそういう訳にもいかなくなってくるからな」
今の狩り方だと、常にSPMP問題が付き纏う事になる。
このスキルは後々起きるであろう問題を、多少なりとも緩和してくれる事が期待できた。
「休憩時間の回復効果も上がるんなら……睡眠時間も減らないかな?」
睡眠時間が減るという事は、その分活動時間が増える事を意味する。
そうなればより長い時間狩場に籠る事が出来、レベル上げが捗るというものだ。
「ま、いいや。さーて、お次は――」
俺はスキルレベルアップの書を手に取り、それを使って【幸運】のレベルを上げる。
「どれどれ、【幸運】レベル6の効果は……」
そしてスキル効果を確認。
なにかいいスキル効果とかが増えてるといいんだが……まあ本来はレベル5までな訳だから、スキルレベルアップの書で無理やり挙げたレベルに期待するのはあれか。
「……ん?」
俺はスキル効果を確認し、一瞬思考が止まる。
「なんだこりゃ……」
意味不明な効果が増えていたから。
「…………ラッキースケベって……なんの冗談だ」
その名もラッキースケベ。
いやこの名称見たら、そりゃ何事ってなるよな。
因みに効果概要は、対象や自身に強化や弱体化を施す。
「いやいやいや。なんでこの名前でバフデバフなんだよ。ラッキースケベって名前、絶対おかしいだろ」
どこにラッキーなスケベ要素が?
名称が意味不明過ぎる。
あれか?
幸運って名前を無理やり突っ込んだ感じか?
「まあこの際名前は置いとこう。細かい効果の詳細を確認しよう」
幸運鑑定を発動させる。
その詳細効果は――
『対象を女体化して強制的にその胸に触る。相手が敵対者ならば全能力ダウンの弱化がかかり、友好的な相手ならば全能力が強化される。その際、自身も能力が上昇。弱化及び強化中は、強制性別変更が持続」
―—である。
この効果を一言で纏めるなら。
「強!制!猥!褻!」
この一言に尽きる。
「強制的に胸触るとかどんな効果だよ。あと……一応スケベ要素はあるけど、ラッキー要素は結局皆無じゃねーか」
結論。
新効果は男にすら通用する強制猥褻スキルでした。
まる。
「なんかこう……あれな効果を手に入れちまったな……」
いやまあ、バフデバフ効果あるから役には立つんだろうけども。
どうも使いづらい。
怪人ぽい奴が男を女体化して胸触るとか、犯罪臭が凄いし。
もちろん女性にやるのは論外だ。
「いやまあ、魔物相手なら問題ないっちゃないんだろうけど……」
どうにもこうにも、もやっとする効果である。
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