第34話 フレーバー
――怪盗化。
正体不明の怪盗姿に変身し、スキルレベルに応じたステータスボーナスが付与され。
また、変身中は怪盗専用のスキルが使用できるようになる。
扱えるスキルも、レベル上昇で増えていく。
レベル1補正は、器用、敏捷、魔力が10ずつ上昇。
――怪盗化専用スキル・クリエイトカード
生成時にMPを消費し、作ったカードはカード専用インベントリに収納可能。
カードは任意で属性効果を発動可能で、発動後は消滅する。
威力は魔力依存。
――怪盗化専用スキル・カードスロー。
生成したカードを敵に投げつける。
器用さに応じてコントロール可能で、また、投げたカードはいつでも回収可能。
「怪盗に変身して専用スキルが使える感じか」
カードを生み出し、投げつける遠距離攻撃。
それプラス、属性効果による追加ダメージって所か。
シーフの、スローナイフの上位互換って所かな。
いや、ナイフの方は武器の攻撃力も影響するから、必ずしもそうとは限らないか。
強力な武器を持ってるなら、そっちの方がダメージが出る可能性は十分考えられる。
……まあそんな武器、持ってないんですけどね。
「スキルの効果は兎も角、ステータスが上がるなら使わない手はないよな」
幸運が上がってくれると最高だったんだが、敏捷性が上がるのなら悪くはない。
「ただ気になる点があるんだよな。このスキル……」
それは――
「今までのスキルにはなかったのに……なんでフレーバーテキストっぽい物があるんだ?これ」
――そう、フレーバーテキストだ。
これは、これまでのスキルやアイテムの鑑定結果にはなかった物である。
特殊なレアクラスのスキルだからだろうか?
「あと、表示されてる内容も気になるんだよなぁ」
『怪盗は正体不明の謎の存在だからこそ、怪盗なのである。その正体が暴かれるとき、怪盗のカリスマ性は消え……その能力は永遠に失われる事になるだろう』
「これ……正体ばれたら能力なくなりますよって、そう書いてるよな?」
ただのフレーバーテキストなら、雰囲気だけで、特に何もないと思っていいだろう。
だが、これがフレーバーテキストっぽいスキルの説明だったとしたら?
もしそうなら、冗談抜きでスキルの効果が失われる可能性が出て来る。
「正体ばれたらスキル効果がなくなるとか聞いた事がないけど……」
聞いたことが無い。
イコール、そんな効果は発生しない。
そう考えるのは余りにも愚かだ。
せっかくレアクラスになったのに、迂闊な行動でメインっぽいスキルを使用不能になった日にはもう……
「まあ、バレない様に注意しよう……」
無駄なリスクは排除せんと。
取り返しのつかない、不可逆な物なんだから。
「とりあえず、一回変身してみるとするか。まあ正体云々ってあるぐらいだし、変身は結構本格的な物なんだろうな」
流石に正体不明の怪盗だし、変身は本格的な物になるはず。
魔法少女物みたいな『顏丸出しですやん!』的な変身だと、秒で正体がばれるからな。
その状態で正体がばれないのは、アニメか漫画の中だけである。
取り合えず、俺は一度スキルを使ってみる。
もちろん、周囲に人がいないかを確認してから。
初回でいきなり効果ロストとか、マジで笑えないからな。
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