表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/40

第25話 影響

「ゲイブスーツ一点。魔力短剣一点。炎のルーン一点。以上、合計三点で1,358万円になります」


ゲイブスーツは、Cランクダンジョンに出るゲイブという魔物がドロップする糸で作られた装備である。

見た目はただの黒い全身タイツだが、保温性が高く、防刃性能もあり、更に薄いにもかかわらず衝撃吸収能力まで備わった優れモノだ。


鉄製のフルプレートメイル。

それをタイツ状にして着てる様なもんだと思って貰えばいい。

Cランク以上御用達のインナーアーマーで、これの上から別の防具を装備する事でさらに防御力を高める事が可能だ。


次に魔力短剣だが、これは魔力鋼というダンジョンドロップ品と、鉄を混ぜた合金製の短剣となっている。

柄の部分に、属性付きの魔石を加工したルーンをはめる事で、対応した属性の追加ダメージを与える事が出来る、いわゆる魔法武器だ。


で、炎のルーンは火属性の力を魔力短剣に付与する魔石を加工したアイテム。


「あ、はい。支払いはシーカーカードで」


シーカーカードは、シーカー協会発行のカードである。

普通のクレジットカードと違って、口座——魔石の売却益などは全てのこの口座に振り込まれる――に入っている金額を限度額としてくれるので、こういった高額品の買い物では非常に便利だ。

金さえあれば信用不足で限度額が、って事にならないからな。


まあそもそも俺、普通のクレジットカード持ってないけど……


覚醒前は所詮フリーターだったので、審査が通るか怪しかったので申請していなかった。


「お買い上げありがとうございます」


商品と証明書を受け取り、店を出る。


「はぁ……予定してた装備、買えなかったな」


本当はスーツの上から着込む軽めの防具も買うつもりだったが、予算の都合上断念せざるえなかった。

予算不足になったのは、ゲイブスーツのせいだ。

めっちゃくちゃ値上がりしてた。


店員さんに聞いたら、数日前の事件のせいだそうだ。

事件ってのは、あの近所で起こった大量殺人な。


ああいう事があって、本来なら手の出せない低ランクシーカーが自衛のために無理してゲイブスーツなんかを購入し、品不足で値上がりした。

というのが、今回の値上がりの原因である。


「想定通り稼げて買えないとか、ほんと迷惑な話だよ」


因みに、今回狩りに要した期間は20日。

稼いだ額は1400万円程。

日当にすると70万とかいう破格である。


え?

狩りをしたのは13日だけじゃないのかって?


実はあの後、俺は一週間ほど熱を出して寝込んでいた。


医者に行ったら――


『ストレスと疲労からくる過労だね。若いからって無茶しちゃだめだよ。ちゃんと休憩しないと。そういう事ばっかしてると、歳をとった時体がボロボロで後悔する事になるから。気を付ける様に』


――と診断される。


まあそうだよな。

弱い魔物なら兎も角、何だかんだで事故死のありえるケトラを2週間近く休みを挟まず狩りするとか、正気の沙汰じゃないからな。

そりゃ過労で熱も出るって話である。

次から気を付けないと。


で、狩りの13日に寝込んだ一週間をたして20日、という訳である。


Eランクで日当70万もでるとか、シーカーはどんだけ儲かるんだ?


いやいや、俺だけだぞ。

幸運によるドロップ&レア率アップに、シーフとしてのスティールありきの数字だからね、これ。

殲滅速度もダブルクリティカルのお陰で、適正レベルのシーカーの中じゃ、かなり高い方だったと思うし。


なので、普通のシーカーだったら10分の1以下。

よくて精々、日当2から3万って所に収まる筈。


まあそれでも月に20日働いて月収40万以上だから、ここでの狩りを生涯の仕事にする人がいてもおかしくはない。


と、思わせておいて……そういう事は絶対なかったりする。


魔物を倒した際に経験値が入るのは。レベルが4つ上までだ。

当然、そういう制限はドロップでも発生する。

経験値程極端ではないけど、5レベル以上差があくと、ドロップ率が十分の一になってしまうのだ。


そうなると、日当は2、3千円にまで急落してしまう。

とてもではないが、この額で生活するのは厳しい。


まあでも、Cランククラスになると、十分の一になっても普通に生活できるほど稼げるようになる。

シーフをパーティーに入れれば猶更だ。

上を目指さないドロップアウト勢が、Cランクに多いのもそのためである。


因みに、シーフのスティールはレベルによるペナルティを一切受けない。

なので、レベルが相当下の魔物からも普通にアイテムを盗む事が出来た。


そしてだからこそ、シーフはパーティーで人気なのだ。

上を目指す事を止めたシーカーのパーティーにとっては、いるかいないかで稼ぎが全然違ってくるから。


まあ俺はそんなパーティーに参加する気は毛頭ないが。

強スキルの【幸運】を手に入れたのだから、ガンガン上を目指すぜ。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


『面白い。悪くない』と思われましたら、是非ともブックマークと評価の方をよろしくお願いします。


評価は少し下にスクロールした先にある星マークからになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ