第13話 スキルレベルアップ
「あれ?スキルブックじゃないのか?」
隠し通路の宝箱から手に入れた本を鑑定し、出てきた結果に驚く。
てっきり、スキルブックだとばかり思っていたから。
いや、宝箱から出た本ってなったら、普通はそれ連想するよな。
けどまあ、これは……
「あたりと思っていいよな?」
本は、スキルレベルアップの書という物だった。
レベルのあるスキルに使用すると、そのスキルの最大レベルと現在のレベルが上がるという効果だ。
シーカー協会のデータベースにこんなアイテムは無かったので、未発見、あるいは未申告のアイテムである。
「これ……ユニークスキルも強化できるなら、下手なスキルブック以上の価値があるよな?」
スキルブックには当たり外れがある。
そのため、一概にスキルブックと言っても値段はピンキリであった。
最も安いのが、低ランクダンジョンで出た未鑑定品で、数百万円ほど。
鑑定済みの有用スキルだと、物によっては数十億はいくと言われれている。
因みに、より高レベルの場所で手に入れた物ほど有用なスキルである確率が高いと言われており、低ランクなダンジョン産は鑑定されずに売りに出される傾向が強い。
鑑定代、物凄く高いからなぁ。
高い金出してゴミみたいなスキルだったら、目も当てられない。
「これ、協会の競売にかけたら数億とか行くかもな」
もちろん、売りに出す気はさらさら無いが。
俺にとって重要なのは、金よりシーカーとして上に登る事だ。
「自己強化出来る物を売り飛ばすなんてありえない」
まあ、ユニークスキルに効果がある事前提の話だけど。
効果がないなら価値は激減するし、シーフのスキルを強化するより、これを売って未鑑定品をギャンブルで……
って、そういや俺には鑑定があるよな。
つまり、未鑑定品の当たりを引き放題って訳だ。
俺は。
まあ購入前に実物が見れれば、だけど。
購入後に渡されるとかだと、事前に鑑定できないからな。
「なんにせよ……」
取り敢えず使ってみよう。
使い方は簡単、本に手を置き、念じるだけである。
俺は念じる。
【幸運】のレベルアップを。
「お、使えた」
本が光へと代わり、俺の中に入って来る。
スキルを確認すると、レベルが上がっていた。
「【幸運】はレベル3で更に効果が増えるのか」
本当に面白いスキルである。
増えた効果は、重複クリティカルと、重複ガードというものだった。
どちらの説明も、クリティカル、もしくは幸運ガードが重複して発動するようになるとある。
「重複か」
クリティカルやガードの重複って何だ?
言葉だけで捉えるなら、重なって発動するって事だよな?
例えばクリティカル。
クリティカルの効果が敵の防御半減だから、その効果が重なって、半減された物をさらに半減させた75パーセントダウンになるとか?
もしくは、加算処理で相手の防御が0になる?
はたまた、全く別の効果になるとか?
わからん。
まあ発動したらわかるだろうし、戦いながら手探りで確認していくしかない。
……鑑定さえ効いてくれればなぁ。
そうすりゃ一発でわかるんだが。
そんな事を考えつつ、鑑定を発動させる。
もうちょっと頑張ってみようかなと。
新しく出て来た効果が死ぬほど気になるから。
まあ無駄骨に終わる気もするけど……
ダメ元の鑑定だった。
だが驚くべきことに――
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