第131話 切り札は即切る
「うっ……」
天魔輪廻のフェイバリットと、シヴァティの爆弾が、召喚され動き出す前の子ネズミ集団に炸裂する。
凄まじい爆風と熱に煽られ、俺は腕を前にしてそれに堪えた。
「すっごい威力……ひょっとして全部倒しちゃったりして……」
大城光がそんな言葉を漏らす。
もしそうなら楽でいいんだが、もちろんそんな訳もない。
「「「「「「ぢゅおおおおおお!!」」」」」」
爆炎をかき分け、子ネズミ達が勢いよく突っ込んでくる。
どうやら倒せたのは2色の奴らだけの様だ。
3色と、透明の奴の数は減っていない。
とは言え、それでも結構なダメージは与えたはずである。
ここからは各個撃破を中心に敵の数を減らしていく。
そのためには―—
「幸運ブースト!」
―—俺が奴らを抱え込み、時間を稼ぐ。
幸運のペンダントの効果で、コイントスは当然表。
効果2倍だ。
これにより、俺の全ステータスが幸運分(100)上昇する。
この状態の俺は、パワースピード耐久力、どれをとっても超一級品だ。
更にクリティカルガードによるダメージ99%カットもある。
30匹近くからなる敵の猛攻を完全回避は流石に無理ゲーだが、ある程度は喰らっても大丈夫なはず。
「行くぞ!」
強力なヘイト効果を持つスポットライトを発動させ、敵に向かって突っ込む。
「ぢゅあああああ!」
そんな俺に、先頭の子ネズミが飛び掛かってきた。
俺はその攻撃を、ラッキースケベを使って別の子ネズミを盾にする事で防ぐ。
「ぢゅあああああ!」
他の奴らも俺に殺到して来る。
出来ればラッキースケベをばら撒きたいが、あれは俺自身の動きも一瞬とは言え止まってしまう。
胸を揉むために。
本当に一瞬なので、普段なら問題ない程度の隙だが、このレベルの敵が雪崩の様に畳みかけて来る状況で迂闊に使うとタコ殴りに会いかねない。
慎重に状況を見切りながら、使っていく必要がある。
「ミステリアス!」
なので無敵を使ってすり抜ける。
そして奴らの集団を抜け解除。
そのまま走り抜けようとして――
「ちっ……」
―—透明なスケルトンの子ネズミ共に進路を遮られ囲まれる。
俺のすり抜けに合わせて転移してきやがった。
短距離転移があるのは聞いてたが、ここまで効果的にやって来るとはな。
想像以上に厄介だ。
判断能力が思ったより高い。
仕方ないか……
ミステリアスに体捌き、それにあのスキルだけじゃ長時間抱えるのは無理っぽい。
なので、あれを使う。
俺の切り札……とはあまり言いたくないんだが。
とにかく、使うと決めたらガンガン使っていく。
あのスキル。
そう、スカンクバスターを。
出来れば使いたくなかったんだけどなー。
格好つけて追い込まれるのも腹立たしいし、ま、しゃーない。
『スカンクバスターを使うぞ』
そう念話でパーティーメンバーに告げ、俺は早々にスカンクバスターをぶちかますのだった。
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