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第123話 参加

―—聖と買い物に出かけた翌日。


「ん?」


朝食後に振動を感じ、俺は右腕を見る。

右手に付けているウォッチ状の《《勇気》》を見ると、そのモニター部分にメッセージが表示されていた。


「なになに……天魔からのメッセージが届いたのか」


どうやら勇気に、天魔からメッセージが届いた様だ。

ウォッチ状態になっている勇気から、彼用のスマートホンが飛び出して来たので俺はそれを受け取る。


あ、因みに……今の勇気の姿は簡素化(ローバッテリーモード)だ。

レベル70になった事で勇気が習得したスキルで、モニター付きの腕時計状に変わる事で、エネルギーの消耗を抑える事が可能なスキルとなっている。


俺は10年の寿命を支払って、八咫烏である勇気を召喚している。

呼び出された勇気は、俺の10年という寿命をエネルギー源として活動しているため、その活動期間は最大で10年となっていた。


―—そう、最大でも10年だ。


強敵との戦いなんかには、普段よりずっとエネルギーを消耗する事になる。

そうなれば当然、勇気を維持するための時間は短くなってしまう。


そして天魔輪廻の言う、人類の運命を掛けた超高難易度ダンジョンに於いて、勇気のエネルギーが激しく消耗される事は予想に難くない。

だからその時のために、勇気はもう1年以上前からこの形態へと変化しているというわけだ。


一応この状態でも意思疎通や、スマホのやり取り、それと、俺の指示でちょっとしたスキル――レア確定などなど――なんかは使用可能となっている。


「ふむ……ボスに挑むから手伝ってくれ、か」


勇気のスマホで、天魔からのメッセージを確認する――ロックは受け取った時点で解けてた。

そこにはレベル97のあるボスを討伐するから、手伝ってほしいとのメッセージが。


「ついに97レベルのボスに挑むのか」


この1年半で、天魔達と一緒にSランクボス討伐を行ってきたが、そのレベルは最大で96までだった。


91のボスを瞬殺できるぐらい天魔輪廻に火力があって、そこに竜崎守までいるのに、96止まりだったのか?


そう思うかもしれない。

だが、Sランクのボスはレベル一つ違うだけでその強さは跳ね上がる。

なので以前戦ったレベル91のルーンリッチと、レベル96のボスでは、もはや別次元と言って良いくらいの差があった。


彼女達がいくら桁違いの強さを誇るシーカーだったとしても、俺と勇気を含めた5人で安定して倒せるのは、レベル96が限界だった訳である。


「て事は……アレックスや光さんのレベル上げが終わったって事か」


光ってのは俺の事じゃないぞ。

キャッスルギルドの大城光の事だ。


実は彼女、天魔にスカウトされて彼女のパーティーに入っていた。

ああ、別に彼女はキャッスルギルドを辞めたわけじゃないぞ。

いうなれば2足の草鞋だな。


キャッスルギルドの為の仕事をこなしつつ、それと同時に、世界を救うためのパーティーに参加してって感じだ。


天魔輪廻は、世界の終末についてネットを使って大々的に公開していた。

まあほとんどの人間は与太話的な物として真面に取り合っていないが、大城光はそれを信じ、スカウトされた事で天魔のパーティーに入った訳である。


因みに、彼女はレアクラスのダンサーだった訳だが、今はもう別のクラスに変わっていた。


グーベルバトルの大会。

その優勝報酬であるランクアップポーションを使って、ヒーロークラスにランクアップしたため。


大会優勝者は、天魔達だからな。

そう、天魔《《達》》である。


実は大会には競技が2種類あった。


一つは個人戦。

これはグーベルバトルでやってる、通常の物とほぼ同じだ。

まあ若干違うけど。


そしてもう一つが、パーティー戦である。


パーティー戦は2名以上、7名以下の、パーティーによって争われる競技で。

天魔は、竜崎と神崎――事情があってグーベルバトルに登録していなかったそうだが、勇気がなんかやって参加出来るようにしたそうな――それに……新加入したアレックスを加えた4人のパーティーで優勝している。


なので天魔達の優勝な訳だ。


あ、俺はそっちは不参加な。

聖達はギルド員だけでパーティー組んでて、入り辛らかったし。


で、2つ手に入れたランクアップポーションの一つを、大城光に。

そうしてもう一つは、新加入したアレックスが使っている。


アレックスってのはアメリカで有名だったシーカーで、グーベルバトルでスピードスターを名乗っていたシーカーだ。

PVで出てたあいつな。

大会優勝で得るランクアップポーションを報酬に、海外ギルドから引き抜いたそうな。


因みに、俺もランクアップ前に一度アレックスと対戦した事があるが……まあ圧勝してる。

基本動きが単純な上に、魔眼で魔力の流れをある程度読めた――訓練して前より精度が上がっている――お陰で、滅茶苦茶簡単に動きが読めたからな。


いくら素早くても動きがバレバレだと。まあそりゃ楽勝よ。

カウンター合わせ放題だし。

まあ無敵化はちょっと面倒臭かったけど……言ってそれも短時間だったしな。


まあ今はランクアップしてレアクラスになっているので、以前のようにはいかないかもだけど。


「97って行けると思うか?」


成功できるかどうか、腕に嵌めている勇気に尋ねてみる。

天魔的には、ランクアップした大城光とアレックスさえいれば行けるって算段なんだろうが……


挑戦する予定の97レベルのSランクボスは、2年ほど前にフランスのセイファーギルドが失敗して42人も亡くなっている奴だ。

いくら竜崎や天魔みたいな超人がいなかったにせよ、高レベルのSランクシーカーが42人居て失敗しているんだから、そりゃ心配にもなるってもんよ。


『まあ大丈夫じゃないですか』


モニターに表示される、勇気からの返事はそっけない。

つまり、行けるって事だ。

やばいなら、絶対勇気は止めるだろうから。


「そっか。じゃあ、オーケーの返事返しとくか」


という訳で、レベル97ボスの討伐に参加だ。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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