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第120話 信頼

「レベル上げの方はどうなんだい?」


買い物が終わった後、俺達は予約してあったレストラン―—顔出しを避けたかった聖がしてた――の個室で昼食を終えた所で聖がレベル状況を聞いて来た。


「今97だな。99にするには、まだもう少しかかりそうだ」


そう、レベルは97だ。


え?

1年半もかけて、レベルがたった4つしか上がってない?


いやいや、勘違いしないでくれ。

レベル97ってのは、いま装備している呪われたペンダントのレベルだ。

俺のレベルは97じゃない。


そう、俺のレベルは――95だ。


いやもっと低いじゃねーか?

まあこれには理由があるんだよ。


呪われたペンダントは、Aランクダンジョンの隠し通路で手に入れた物だ。


その効果は――


装備したら外せない。

装備者の入手経験値は、全てペンダントが吸収する。


―—という物である。


いや何その呪われたゴミ装備。

そう思っただろう。

もちろんこの能力だけだったら、俺だってこんなもの装備してはいない。

ちゃーんと隠された効果があるのだ。


呪われたペンダントは、経験値を吸収する事でレベルアップしていく。

そしてそのレベルが99になった時、その真の姿を現すのだ。

なので俺がこれを装備しているのは、その真の効果を引き出すためな訳である。


その効果は――まあ俺は知らないんだけども。

勇気曰く、それ相応の効果だそうだ。


あ、因みに、ペンダントには経験値アップポーションの効果は適用されないので、普通の経験値倍率で頑張る必要があった。


あ、因みの因みに。

ポーション飲んでも、適用されな分の経験値が俺に入って来る事はない。


それ、おかしくない?

経験値はどこに消えてるんだ?


いや、経験値は別に消えてないさ。

勇気曰く――


ポーションは俺が得た経験値を100倍にする効果で。

ペンダントは経験値が俺に入る前に、丸々吸収してる。

で、俺を経由してないから、100倍効果そのものが発動してないとの事。


なので、バグではなく正常の挙動だ。


「光は、2年半後までにはランクアップしたうえでレベルを99にするんだよな?」


「ああ、まあな」


2年半後。

この世界の運命を左右するダンジョンが出現する。

これは天魔輪廻が言い出した事だ。


最初は厨二病もここまで来たかって感じで流そうとしたんだが……


「俺は天魔の言葉が真実だって確信してるからな」


話を聞く限り、どうも本当っぽいんだよなぁ。

勇気もノーコメントって言うし。

あいつのノーコメントって、実質イエスみたいなもんだからな。


―—つまり、天魔輪廻は回帰者って事だ。


「だから聖もレベルは99にしといてくれ」


そのダンジョンは、パーティー単位でしかクリアできない様になっているとの事。

ゲームなんかで言う所のインスタントダンジョン形式で、複数のパーティーで入って協力し合ったりは出来ないそうだ。


だから複数のパーティーで協力して進めるって事は出来ず。

最強の1パーティーを作る事こそ、この世界を救う唯一の手立て。

てのが天魔の主張である。


で、光栄にも俺はその最強パーティーに誘われた訳だが……


俺はその誘いを断っている。

世界云々の、天魔の言葉を信じていない訳では無いし、自分の力に自信ないから――俺にはまだランクアップが残されてるからな――とかって理由で断った訳じゃない。


勇気が『そのダンジョンが出たとして……彼女のパーティーには入らず、別パーティーで踏破を目指した方がいいかと』と、俺に助言してきたからだ。


天魔のパーティーに入らない方がいいのか。

それとも、何らかの理由で別のパーティーを用意しておいた方がいいのか。

それは分からない。

けど、勇気がそう言うんだったら、きっとそうなんだろう。


まあ勇気はダンジョンの関係者だから、クリアを妨害するためにそう俺に言った可能性も否定は出来ないけど……


俺は勇気を信じる。

今まで協力してくれて、信頼に値する奴だと思っているから。

それで裏切られて死ぬってんなら、その時はその時である。


信頼できる仲間を疑ってまで、世界を救って長生きしたいとは別に思わないしな。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
ブーストなしで97はすごいのでは 血塗られたペンダントも覚醒しちゃうやつか
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