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スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~  作者: まんじ(榊与一)


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第111話 救済

偶々このダンジョンに来ていて、比較的近くにいた?

もしくは、普通なら2日はかかるであろう道のりを1時間程度で駆け抜けて来た。


普通なら前者と考えるだろう。

けど、竜崎守達なら後者でもおかしくはない。

まあ何にせよ、彼らを事前に呼び出した勇気の好判断だ。


これで状況は一変した。


「りゅ、竜崎守だと!?」


「なんでこんな所に化け物野郎が!?


鬼頭達が、突如背後から現れた乱入者に驚愕する。

普通の相手だったなら、きっとここまで奴らも動揺しなかっただろう。

それなら単に頭数が増えただけだからな。


だが、相手が最強と名高い竜崎守なら話は違ってくる。


とにかくこいつの強さは桁違いだからな。

一人いるだけでこの状況をひっくり返すだけの力がある。


「俺は、大城大成さん達には大きな借りがある。お前たちがその身内に手を出すというのなら……俺が相手だ」


竜崎守の姿が竜人形態に変わる。

大城家との交流があるようで、やる気満々って感じだ。


「う、うぅ……」


「ま、まずくないか……」


「どうします!?鬼頭さん!?」


おー、おー、ビビってるビビってる。

時代劇の水戸黄門で、黄門様一行が印籠出すシーンみたいに。

まあ時代劇だとこの後『偽物だ!斬れぇ!!』ってなる訳だが……そうなっても、特に問題なく感じる安心感が竜崎守にはあるから困る。


「油断丸出しですよ。マスター」


「まあ勝ち確だし」


天魔輪廻も強いだろうし。

あの二人と組んでいる神崎エデンって人も、絶対強いはず。

正直こうなるともう、こっちの負けは絶対無いって断言できる。


ゲームとかなら勝利のBGMとかに流れてるよ。

絶対。


「皆さん落ち着いてください」


細目の猿渡が手を叩いて破裂音を出した。


「相手がどれだけ強かろうと、此方は数で優ってるんです。そもそも我々には後がないんですよ?今更恐れてどうするんですか」


「おめぇの言う通りだな。今更か……」


このまま行けば相手が降参しそうだったんだが……猿渡の言葉に、鬼頭達の動揺が収まってしまう。

こいつら、やってる事は小悪党そのものだが、流石にSランクのシーカー達だけあって切り替えが早くて困る。


「てめぇら!大城姉妹以外はぶち殺せ!!」


「おおおおおお!」


「やってやるぜ!」


鬼頭達が雄叫びを上げて動き出す。

だが次の瞬間――


「——っ!?」


―—一瞬で何人かが吹っ飛んだ。


「なんだ!?」


「何が起きた!?」


竜崎守だ。

そのあまりの速さに、鬼頭達はきっと自分達に何が起こっているのか分かっていないはず。


「はっや……」


遠目からだから辛うじて動きの影の様な物を捕らえる事が出来たが、近くだったら絶対動きは見えなかったはずだ。

明らかに俺とゲームで戦った時より早い。

それもかなり。

どうなってんだ?


「自分と戦った時より早いって思ってますね?」


「ああ」


どんどんと鬼頭達が吹っ飛んでいく。

彼らも流石に攻撃されているのには気づいているようだが、いかんせん相手が速すぎて全く対応できていない。

完全に俺達の出る幕なしだ。


「それは装備と強化魔法のせいですよ」


「ああ、なるほど」


グーベルバトルでは特殊効果なしの普通の武器防具しか使えない。

それに、現実でなら強化魔法なんかも――使えるクラスは少ないが――貰える。

だからあのバカげたスピードな訳か。


「おっと、終わりましたね」


ほんの三十秒ぐらいだ。

竜崎守の手によって鬼頭達は全員地面に伏し、ピクリとも動かなくなっていた。


因みに、たぶん誰も死んでない。

ちゃんと殺さないよう手加減してこの秒殺劇である。


「えっぐいな、おい」


仮に俺がリッチと戦ってた時のバフと幸運ブーストがあったとしても、きっと瞬殺されていただろう。

それぐらいとんでもない強さだ。


だって4パーティーいりゃ、ルーンリッチに勝てるメンツの3パーティーを秒殺してるんだぜ?


「ん?何してるんだ?」


動かなくなった奴らに、神崎エデンが何かをしている。

そして全員に触れ終わった後――


「罪には罰を。愛は痛みであり。それこそが贖罪となる。さあ、罪を償うのです。安心してください。私もあなた方と共に苦しみましょう」


―—彼女は服の袖を大きくまくって、肩に尖った何かを突き刺した。


その瞬間――


「ぎゃああああああ!」


「ぐあああああああ!!」


「いでぇ!いでぇよ!!」


倒れていた全員が肩を抑えて絶叫する。


急になんだ?

なんかホラーなんだが?


「彼女のクラススキルに、痛みの伝播ってのがあるんですよ。要は、自分の感じた痛みを相手にも与えるスキルですね。で、彼女はスキルで痛みを何倍にも増幅するスキルもあって、それを使いつつ倒れた人達と共有してる訳です」


「自分もまき来んだ拷問って訳か……」


鬼頭達の反応からやばい痛みのはず。

だが、とうの本人は恍惚の笑顔を浮かべている。

ドエムかよ、この女。


「本人は拷問とは考えていない様ですよ。愛と、愛による救済だと思ってるみたいです。いやー、怖いですねぇ。宗教って」


「……」


神崎は更に何度も肩に刃を突き立てる。

変わらず恍惚の笑顔で。


「ぎゃああああああ!」


「たすけてくれぇぇぇぇぇ!!」


「ひいいいぃぃぃぃぃ!!!」


地獄絵図にしか見えんのだが、これが愛による救済の図か。

本当に宗教って怖いな。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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