第10話 鑑定してみた
「失敗か」
俺はさっそく、【幸運】のレベルアップで手に入れた鑑定を発動させる。
手にしていた短剣に向かって。
因みに、スキルの発動方法は念じるだけでいける。
そして初回は失敗。
「ふむ……失敗時は消費なしみたいだな」
ステータス欄を確認したが、SPは減っていなかった。
SPってのは、物理系のスキルを使う際に必要になるエネルギーだ。
これがないと消費のあるスキルは使えなくなってしまう。
「まあ、普通に考えて……成功率は低めだよな。幸運もまだ20しかないし」
運20でバンバン成功するようなら、もはや本家本元と大差なくなってしまう。
流石にそれはないと思われる。
「クールタイムは……失敗する分には0か」
連続で鑑定を発動させる事が出来たので、少なくとも失敗時にクールタイムは無い様だ。
そして2回目の失敗。
三回目。
四回目。
そして5回連続で使った所で――
「お、成功した」
成功率5分の1。
そして幸運が20。
幸運の数値の%が成功率の可能性が……まあ偶々の可能性も高いか。
その辺りは要検証だ。
「消費も少ないな」
連続で使えるし、失敗時は消費もなし。
そして成功した際の消費SPも大したことが無い。
あれ、これひょっとして……本家レベル?
消費なしで連打できるのなら、実質成功率100%と大差ない。
「いや、まさかな。たぶん、見れる情報に差とかあんだろう」
因みに短剣の鑑定結果は――
鉄製の短剣。
重量150グラム。
若干損耗。
――と出ている。
ゲームの様に攻撃力などはなく、かなり簡易的な物だ。
消耗しているのは、この3日間短剣でカエルを倒していたせいだ。
武器は延々使い続けられるものではないので、消耗するのは当たり前の話である。
まあとは言え、シーカーが使うと相当長持ちする訳だが。
シーカーの身に着ける装備には魔力が宿る。
だからこそ、魔物を倒せるわけだが。
実はこの魔力、武具の損耗を抑えてくれる効果もあった。
だから3日も使って、若干損耗する程度で済んでいるのだ。
普通の人間が手入れせず短剣で延々肉なんか切ったら、1日で相当切れ味が悪くなってしまうはずである。
「次は盾を――」
次いで盾を鑑定する。
今度は4回目で成功。
表示された内容は、短剣同様、売ってる店で聞けるレベルのどうって事のない物だ。
「ふむふむ……」
それ以外も鑑定していく。
来ている服や、水入りのペットボトルなど。
「やっぱ20%位だな」
全部だいたい5回前後で鑑定が成功しているので、今の所そんな物だと思っておく。
成功するまでやるから、まあ確率は余程低くない限りどうでもいいっちゃどうでもいいが。。
「あ、そうそう。これが一番重要だ。スキルの鑑定!よくよく考えたら、これ鑑定したら確率とか一発で分かるわ。我ながらうっかりしてた」
という訳で、俺は【幸運】自体を鑑定する。
「全然成功しねぇぞ」
さっきまでは数回で鑑定できていたのに、何度やっても成功しない。
100回。
200回。
300回。
「まじか?全然成功しねーじゃん。ひょっとして……鑑定する物によって成功率が変わるのか?」
それを確認しようとスティールを鑑定してみると、数回で成功する。
短剣マスタリーも。
スキルだからって鑑定の成功率が低い訳ではない様なので、【幸運】だけ成功率が低い様だ。
更に【幸運】の鑑定を数百回試みるが、鑑定は成功しなかった
「ふむ、成功しないな。成功率が滅茶苦茶低い……もしくは、鑑定自体出来ないか。うーん、でも……感覚的には出来ないってよりも、単純に失敗してるような感じなんだよなぁ。ま、もう少し幸運を上げてから改めてやってみるか」
次は魔物でも……
ふと、俺の鑑定はどこまで鑑定できるのだろうかという疑問が過った。
例えば、そう、このダンジョンなんかは鑑定できるのだろうか?
「ダンジョンを鑑定できるって話、ネットにはないよな。まあ普通に考えて、壁面の材料の鑑定が出るだけな気もするし」
普通に考えりゃそうだよな。
だとして、このダンジョンはなにで出来ているんだろう?
それがちょっと気になったので、俺はダンジョンの壁面を鑑定してみた。
すると――
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