表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

立ち食いそば屋にて

作者: 御田文人

本羽香那様「一足先の春の詩歌企画」参加作品。

最後に川柳を添えています。

 会社で出店するイベントの設営に駆り出された。

 昼に商談があるのだが、午前中のスケジュールが空いており、かつ、商談の場所とイベント会場が近いので断れなかった。


 やることはもっぱら搬入作業。要は力仕事だ。

 大小さまざまな段ボールや、テーブル、椅子等をひたすら運ぶ。

 これは絶対、明日筋肉痛になるやつだ。

 

 作業が終わると、熱い缶コーヒーを1本だけ振舞われ、その場はお開きとなった。


「せっかくだからイベント見て言ったら?」

 とも言われたが、大型会場で凄まじい入場者が見込まれる。

 申し訳ないが、人混みは苦手なので辞退して外に出た。


 開場時間よりまだ少し時間があるのだが、すでに列が出来ている。

 抜けて正解とばかりに駅に向かった。


 駅もかなりの人混みだ。

(ちょっとこの駅で電車に乗りたくないな・・・)


 次の商談まではまだ時間もある。二駅なので歩いてしまおうと思った。

 線路に沿って数分歩き、次の駅に辿り着く。この調子ならもう一駅は余裕だ。

 私はそのまま歩いた。


(今日は暖かいな)

 肉体作業をしていたこともあり、歩いていると汗ばむぐらいだった。 


(外で汗をかくなんて久しぶりだ)

 周りを見ると、今日は軽装な人が多い。そう言えば天気予報では『昼は3月下旬並みの陽気』って言ってたっけ。

 気持ちはまだ正月気分が抜けて無いが、もう節分もバレンタインも終わっている。そろそろ切り替えなきゃな。


 目的の駅に着く。たった二駅隣とは思えないぐらい落ち着いている。

 時間を見るとまだ少し余裕があった。

 ここは何度も商談で来ており、勝手知ったる地。心にも余裕が出来ると腹が減って来た。

 

 蕎麦ぐらいなら食べる時間はある。

 やはり、勝手知ったる駅前の立ち食いそば屋に入った。


 店内に入ると、むわっとした熱気に襲われる。

 歩いてきた身には暖房なんていらない陽気なのだが、空調が噛み合わないのも季節の変わり目あるあるだ。


 私は額の汗を軽く拭って券売機に向い、メニューを軽く物色した。

 鴨南蛮って気分でもないな・・・

 さて・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 コート脱ぎ

  冷やし掻き揚げ

   稲荷2個




ー了ー

最近あった「春っぽいな」と思った光景を書いてみました。


本当はこの前文のような光景を5、7、5だけで浮かばせるのが俳句なんだろうけど、その腕が無いのでこうした次第。。。


しかし、これは俳句になるのだろうか?

季節っぽいワードは入っているけど・・・「コート脱ぎ」は文なので、季『語』ではない気もするし、冷やし掻き揚げ蕎麦も今は年中あるので季語ではない気がする・・・


と言うことで前書きには「川柳」と書いています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
何となく「孤独のグル○」が思い浮かびました。 あのドラマの影響で、お一人様で食事をしていても、退屈しなくて済みます(笑) もう一人の自分が居るから
『外套』『コート』だけだと冬の季語になります。 『蕎麦』は季語じゃないけど、『新蕎麦』は秋、『夜泣蕎麦』は冬の季語。 『冷やし蕎麦』も季語じゃないけど『冷素麺』は夏の季語だったり。 ──ホント、季語…
二駅歩いてお蕎麦屋さんに入るまでの、何気ない日常から春を感じる。 こういうお話すごく好きです! 最後の川柳も美味しそうでした(´ρ`) 働く、歩く、食べる。 あと何年、そうやって季節を感じることが出…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ