( ^ω^)魔法中年ラディカル・ダディのようです
(’A` )「議員宿舎に突撃するぞぉぉッッッ!!」
( ^ω^)「まてーいッ!!」
(’A` )「何奴!?俺は怪人ゲスゲゲス!!」
(’A`;)「なんだ貴様!女児向けアニメの魔法少女が着るようなフリルドレスなんか身に着けやがって!!」
( ^ω^)「私の名は、『魔法中年ラディカル・ダディ』!!」
( ^ω^)「世にはびこる変態怪人め、私が退治してくれよう!」
(’A` )「……」
( ^ω^)「さぁ、来るなら来い!」
(’A` )「いやぁ、ちょっと……それは兄さん古いわ、もう」
(;^ω^)「ふ、古い!?」
(’A` )「オッサンが魔法少女風のカッコしてぇ……うわキッツみたいな笑い」
(’A` )「魔法少女という概念が誕生してから、何十年もずっっっと擦られてんのよ。『魔法中年』というアンチテーゼは」
(;^ω^)「す、擦られていない!それに市民は私を笑ったりもしない!!」
(’A` )「そりゃあ、加齢臭のするギャグじゃあ笑えないでしょ」
(’A` )「それに今は多様性の時代。アンタみたいな変な格好の輩であっても、みだりに笑ったりしたらいけない。そういう風潮もある……」
(;^ω^)「ぐ……ぬ……」
(’A` )「魔法中年はな、多様性にトドメを刺されてんだよ」
(;^ω^)「そんなコト言うな!!」
(;^ω^)「その多様性のおかげで、この活動ができてんだ!」
(’A` )「まぁ、それもあるかもな。背格好が普通に不審者だし」
(’A` )「で、戦うの?魔法で?」
( ^ω^)「ああ、そうだ!『魔法中年ラディカル・ダディ』は七つ魔導具を使う!!」
(’A` )「へぇ~、どんな魔導具があんの?」
( ^ω^)「いいだろう!冥土の土産に見せてやる!」
( ^ω^)「七つ魔導具その①『ニューナンブ・マジカル60』」
(’A` )「はい、もうダメ」
(;^ω^)「え……なにが……ッスか?」
(’A` )「あのねぇ……『魔法を使いまーす』というフリから、拳銃とかバールとか、普通の武器を取り出すくだり」
(’A` )「それももう擦られすぎてます。もはや展開に裏切りもなんもない、ボケにもなってません」
(;^ω^)「いや別にボケてる訳じゃ」
(’A` )「魔法少女の格好が既にボケじゃない。ツッコミ待ちじゃないのなら、そんな格好はしないでしょう?」
(’A` )「で、魔法少女の格好したオッサンが懐から拳銃を取り出す……」
(’A` )「アンタそれで市民が笑顔になると本当に思ってんの?」
(;^ω^)「止めろッ!!!」
(;^ω^)「止めてくれ……もう……」
(;^ω^)「俺も……こんな格好は、したくないんだ……」
(’A` )「ん?どういうことだ?」
( ^ω^)「マネージ……妖精が突然、『お前、魔法少女になれ』って」
(’A` )「死刑宣告かなにか?」
(’A` )「というか妖精ってオッサンの所にも来るのか。今はどこに?」
(^ω^ )「あ、すぐそこに……」
( ・∀・)「どうも『魔法中年ラディカル・ダディ』の妖精です」
(’A`;)「背広のお兄さん!?」
( ・∀・)「はい。妖精兼マネージャーをやらせて貰ってます。池田です」
(’A`;)「じゃあお前はもうマネージャーの池田じゃ!!」
(’A`;)「というかマネージャーってなに?魔法中年ってマネージャー付いてんの?」
( ^ω^)「一応……はい。怪人の出現情報に魔導具の調達、報奨金の管理とか、色々やってもらってます」
( ・∀・)「まぁ専属って訳じゃなくて、3~4つのグループに妖精1人って感じスね」
(’A` )「え、なに?魔法少女って芸能事務所的なヤツに所属してるの?」
( ・∀・)「そうスね。芸能っていうかヒーロー事務所みたいな?」
(’A` )「あぁ~……」
(’A` )「そういう設定のヤツもチラホラ見たことあるわ」
( ^ω^)「そういうこと言ってると人生つまらなくない?」
(’A`;)「ぐっ……貴様、誹謗中傷は止めろッ!配信するぞ!」
( ^ω^)「はっはっは!怪人という絶対悪を"市民"が擁護するわけない!」
( ^ω^)「どうせ貴様が逆に叩かれて終わりだ!」
(’A`;)「愚民どもめ!!」
( ・∀・)「形勢逆転だ!いけ、ラディカル・ダディ、トドメだ!」
(’A`;)「……ッ!!」
(’A` )「あれ、ちょっと待って……ラディカル・ダディ」
(’A` )「ダディって……もしかしてアンタ、子持ち?」
(;^ω^)「ぐぬッ!!」
(’A` )「え、お父さん?」
(’A` )「お父さん、そんなカッコでこんなコトしてていいの?」
(;^ω^)「ぬぅぅぅッ!うるさい、子どもを育てるにも金が要る!」
(;^ω^)「仕事を選んでいる場合じゃあないんだ!!」
( ・∀・)「そうだ!必死に働く父親の気持ち、怪人ごときに分かるまい!」
(’A` )「あ~あ、分からねぇなぁ!!」
(’A` )「悪いことすれば、たんまり金が転がり込んでくるからなぁ!!」
(;^ω^)「なに……?」
(’A` )「ラディカル・ダディ……貴様の給料はどれくらいだ?」
(;^ω^)「にじゅっ……手取りで月16万……」
(’A` )「くははははっ!新卒の手取りみてぇだな!」
(’A` )「よくもまぁ、そんなんで子どもを作ろうと思ったもんだ!」
(’A` )「嫁も可哀想になぁ!こんな甲斐性のない男が旦那なんて!」
(;^ω^)「ぐあああああああああああッッッッッッ!!」
(;・∀・)「中野ぉぉぉぉぉぉッッッッ!!!」
(’A` )「教えてやろう……俺の先月の稼ぎは2500万だ」
(;^ω^)「け、桁が違う……だと?」
( ^ω^)「一体、どうやって、そんな"力"を……」
(’A` )「"闇の力"さ」
( ^ω^)「"闇の……力"だと?」
(;・∀・)「ま、まさか……コイツ!」
(’A` )「池田は気付いたようだな……そうさ、闇バイトさ」
(;^ω^)「"闇バイト"……ッ!!」
(;^ω^)「そんなに稼げるのか!?」
(’A` )「ああ。段ボール箱を運んだり、自転車や自動車をスクラップにしたり、著名人が参加するパーティーの準備をしたり……たったそれだけだ」
(;^ω^)「そ……それだけで……俺の10年以上は……一体」
(;・∀・)「聞く耳を持つな中野!アイツのやってることは犯罪なんだぞ!?」
(;^ω^)「う、うう……でも……」
(’A` )「くくく……モラルなど無価値!現代資本主義においては金が絶対なのだァーーー!!」
(’A` )「なぁラディカル・ダディ……?お前も俺と一緒に稼がないか?」
(;^ω^)「え……」
(’A` )「いい仕事を紹介してやろう。そうすれば、毎日好きなものを食べられるし、海外旅行だって行ける……」
( ^ω^)「ぐぅぅ……羨ま……」
(;・∀・)「ダメだ!中野、闇の力に飲まれるな!!」
(’A` )「さっきから俺はちゃんとラディカル・ダディって呼んでるのに、何故お前は本名で呼ぶんだ」
(;・∀・)「うるせぇ!!俺は中野がラディカル・ダディになる前からの付き合いだ!」
(;・∀・)「中野!お前は。それでいいのか!?闇の力で金を手に入れて……それを芽姫子子ちゃんに胸を張って言えるのかよ!?」
(’A`;)「中野芽姫子子ちゃんッ???」
(;^ω^)「──はっ!そうか!」
( ^ω^)「俺には、愛する妻と愛する子どもがいる!!」
( ^ω^)「いつか呼ばれたいダディ・クール!」
( ^ω^)「こんな所で法律違反して、その夢を台無しにしてたまるか!!」
(’A`;)「チッ……なにが愛する妻子だ!反吐が出る!!」
( ^ω^)「ふん。怪人には分からんだろうな。"愛の力"って奴が」
(’A` )「ああ、理解する気もない。"闇の力"が全てだ」
( ^ω^)「……ならば、その身に教えてやろう!」
( ^ω^)「芽姫子子!増鳥子!」
( ^ω^)「俺に力を貸してくれぇぇぇッ!!!」
(’A`;)「お前の嫁、増鳥子っていうの???」
(’A`;)「なんでそんな────ッ!!!」
( ^ω^)「七つ魔導具その⑧ラディカル・ビーム!!」
(’A`;)「ぐあああああッッ!!」
( ・∀・)「やった!悪は滅びたッ!!」
( ^ω^)「いや……悪が滅びることはない!!」
( ^ω^)「悪はゴキブリの如く、再び現れる!」
( ^ω^)「俺達に出来ることは、出てくる度に退治するだけ!」
(’A`;)「ぐ……クソ……油断してた……」
( ・∀・)「あ、本当だ。しぶといなぁ」
(’A` )「最後に一つ、教えてくれ……ラディカル・ダディ」
( ^ω^)「……いいだろう」
(’A` )「お前の……名前は……?」
( ^ω^)「……中野」
( ^ω^)「中野 武郎堂詠だ」
(’A` )「中米じゃねぇのかよ」