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◆16 初心のくせに


 その後、パーティーの終わりと共に俺も帰宅する貴族達に紛れて馬車に乗り込んだ。


 はぁぁ、と深いため息を吐きつつ、馬車の席に深く座り込み、揺られながらブルフォード公爵邸に戻ったのだ。



「おかえりなさいませ、ダンテ様」


「あぁ。湯浴みの準備をしてくれ。あと、部屋に軽食を持ってきてくれないか」


「かしこまりました。このままお部屋に?」


「あぁ、人払いをしてくれ。一人になりたい。湯浴みも手伝いはいらない」


「かしこまりました。ご準備ができ次第お声がけをいたします」



 足早に寝室に戻り、静かにドアを閉めてからソファーに座り、上着やらネクタイやらを脱いでシャツの第一ボタンも外し、身体の力を抜き背もたれに背中を埋めた。……が、我慢出来ず、ずるっと背中を背もたれに滑らせそのままソファーに横になった。


 とりあえず、一言。



「……あの野郎、ナカに出しやがったな……」



 しかも、あのデカさには驚いた。あんなものを俺に突っ込むなんて……そりゃ腰が痛くなるのもうなずける。


 あの時、俺のナカに出し終わった後に「はっ」と正気に戻ったような様子だった。最初はナカに出す気はなかったようだ。俺の服だってご丁寧に脱がして汚れるのを防いでいたようだしな。最初はあんなに強引だったくせして意外とそんな気遣いが出来る人物だとは思わなかった。童貞のくせに。……童貞のくせに。


 だが、まだ主導権は俺にある。



『はぁ……はぁ……』


『はぁ……だいぶ溜まっていたようで?』


『……お前のせいだ』



 その言葉を俺に掛けつつ、殿下は俺を力強く抱きしめてきた。


 あの行動が、一体どんな感情を持ってのことだったのか、だいぶ気になるところだ。だが……殿下の心臓の音が早く煩かったことはよく覚えている。未成年の殿下にはまだ刺激が強かったか。まだまだ若いな。


 俺で童貞卒業をしてしまった事に気が付いた時の、殿下の反応を見たかったが……逃げるかのようにして休憩室を出ていってしまったのだから仕方ないな。


 俺のせいにしやがったが、俺に痕を残さなかったのはありがたい。これで付けたらぶっ飛ばすところだ。屋敷の使用人に見られたらたまったもんじゃない。


 その後、カーチェスから準備が出来たとの報告を受け、腰の痛みに耐えつつも向かった。



「ふぅ……」



 前世だったら、湯船に入った後におっさん臭い声を出すところだが、憑依してからは気を付けている。いや、こんなイケメンがそんな声を出しているところを使用人に聞かせるのは少し恥ずかしいからな。


 出されたものも全部かき出し、すっきりして一安心だ。ちゃんと流して痕跡も消したから大丈夫だろう。


 殿下は、第二皇子という地位にいらっしゃる。皇族の血は流れていても俺は公爵。殿下より下だ。となると、殿下が俺に圧力をかければ身動きが取れなくなる。今は皇后陛下のおかげでやりづらくなっていることだろうが……策は打っておいた方がいい。


 だからこそ、殿下には大人しくしていてほしい。現婚約者の危機を傍観してくれるようになれば俺がやりやすい。あわよくば、協力者に、とは思うが……それは難しいか。まぁ、今後の殿下の行動次第だな。


 勝率は五分五分ではあったが、今日の事を踏まえると勝率は高い方だと思う。ダンテの眉目秀麗さで何とかなると思っていたが……正解だったな。しかも、相性ばっちりだとは思わなかった。俺だって持ってかれそうになったんだから。


 だが、俺の噂が間違っている事も証明されたしな。万々歳だ。さすがにその事実を社交界に流すことは出来ないが、殿下に知られたのならいい。



「我ながら、大胆に出たよな……はは」



 上手くいけばいいんだが、どうかな。


 まぁでも、お子様には良い刺激になったか? 俺で童貞卒業したわけだしな。


 さぁ、悩め悩め。

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