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作者: 西園良

 僕の名前はA。そこそこ偏差値の高い高校に通っている2年生だ。テストの点数は平均点かその少し上くらい。

「なあ、昨日のテレビ見たか」

 休み時間。話しかけてきたのは、Bという僕のクラスメイト兼友人だ。テストの点数は赤点にならない程度の点数である。

「見たよ」

 僕が答えると、Bはにこりとして、話す。

「テレビでCって歌手が歌ってたんだが、お前見たか」

「僕も見たよ」

「見たか。いやぁCは素晴らしい歌手だなあ」

 Cとは最近ブレイクした新進気鋭の歌手だ。その歌声は僕達若者を魅了する。

「うん。歌声が良いね」

 僕が褒めるとBは表情を崩したまま続ける。

「わかってるじゃねぇか。C最高」

 Cを褒めたかと思ったら、急に真面目な顔でBは言った。

「なあ、知ってるか。最近この辺りで『鬼』が出没しているらしい」

「鬼」

「そう、鬼だ」

「鬼って言うと、金棒を持っていて、角が生えた怖い顔の鬼のことかな」

「その鬼であってる」

 Bは顔をしかめる。

「それは本当なの」

「ああ、ま、ただの噂だけどな」

 僕の質問に気楽に答えるB。それが本当なら、かなり不味い事態だ。学校を休校にしなければならないくらいにだ。まあ、信じていないから、休校なんて、ありえないのだろうが。


 放課後。僕は帰宅部なので、すぐに家に帰るところだ。僕の自宅は学校の近くにある。だから、僕は徒歩通学をしているのだけれども。

 考え事をしながら、帰っていると、前方から実際に見たことない生物がいた。トゲ付き金棒。頭に角。そして、怖い顔。鬼だ。噂は本当だったのか。

「うわあー」

 僕は叫んで逃げ出した。全力で。家から遠ざかっていく。

 あちこち逃げ回った末に、僕は行き止まりの道に来てしまった。前方から鬼がどしどしと歩いて来る。怖かった。恐怖のあまり叫び声すら出なくなった。身体が震える。

 鬼が金棒を僕に向かって振る。金棒は僕の頭に当たり、倒れた。激痛と何かが流れるのを感じながら、僕は意識を失った。


 俺の名前はD。妖怪退治の専門家だ。今日は組織に所属する上司Eに呼ばれたので、上司のところへ行った。

「〇〇高校のAという男子生徒が亡くなった」

 Eは沈痛そうな顔で言った。

「組織に連絡が行くということは妖怪関連ですね」

「そうだ」

「相手はどんな妖怪ですか」

「鬼だ」

「鬼ですか」

「ああ、そうだ」

 鬼か。手強そうに見えて、実は大したことはない妖怪だった。弱点も知っているしな。まあ、支給される武器によるが。

「Dよ、やってくれるか」

 上司はそう頼むが、実質命令だ。断れない。

「ええ、わたくしでよければですが」

「ありがとう」

 上司はにこやかに礼を言った。

「どういたしまして」

「さっそくだが、妖怪退治用の刀を支給しよう。鬼を殺した後には、返すのだぞ」

 刀か。銃が良かったが、仕方ない。刀でも十分に倒せるからな。

「もちろん、警察からの許可は取っているから、安心するのだぞ」

「はい、ありがとうございます」

「では、さっそく実物を渡そう。これだ」

 そう言って、上司が渡して来たのは、何の変哲もない刀だった。だが、妖怪を退治するための特殊な力が宿っているのが、よく分かる。特殊な力が何なのかはよく分かっていない。しかし、その内分かるだろうと俺達は気長に待っている。解明されなくても、実際に使えたら、問題ないしな。

「ありがとうございます」

「ああ。じゃあ、そろそろ生徒Aが殺られた時間だから、現場まで行ってくれ」

「分かりました」

 そうして俺は鬼が出没する現場に向かうのだった。


 現場に着いた。人通りはない。恐らく鬼が人よけの何かをしているのだろう。助けを呼ぶのは不可能と言って良い。まあ、助けなどいらないが。

 前方から鬼が来た。これが生徒Aを殺した鬼か。よし、やるか。

 どんどん近づいてくる鬼。俺は持っていたあるものを鬼の顔面に投げつける。

「があー」

 鬼は顔面を押さえて怯んでいる。そうあるものとは、焼いたイワシだ。鬼はイワシに弱い。そして、怯んでいる隙に俺は刀を持って走り出す。それから、鬼の心臓のある部分に刀を一突き。

「うがあー」

 叫びながら、鬼は倒れた。そして、光のように全身が消えていった。よし、妖怪退治完了。

 俺は上司に鬼をやっつけたことを報告するために、組織に行くのであった。

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