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オトメチカ  作者: 感 嘆詩
第1章 千日紅
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策士と暗殺者

「おかしい。ゴブリンだけじゃないワン。全てのモンスターが増えている」


「間引き出来ていない?……《担当が殺ウサれてる》可能性は」


「通常よりも数が多い。多分、《餌を蒔いてる》。ニャンと残酷ニャ」



 ああ、こいつか。



「《その両方》だね。正面から来るよ。多分、あなたたちが本来想定してた刺客」


「あら、バレましたか。半数は消しておきたかったのですが」



 ダンジョンの暗がりから従僕(フットマン)然とした格好の少年が出てきた。場所に見合わない目立つ格好、いや、色合いは地味だから目立たないのか。


 視えにくいな。動きがどうも読みづらい。暗殺者ってのはこれだから厄介だ。



「征くニャフンガー!」



 猫獣人キキキが即断即決。放熱板に偽装していた武装キャットナインテイルを射出。鈍く光るそれらが暗殺者に殺到する。



「「これは予想外だな」」



 暗殺者とユニゾンしてしまった。

 四肢を突き刺し無力化する軌道で飛んでいたナインテイルが失速、ダンジョンにガラガラと散らばったからだ。



「まさか、獣人に魔法少女がいるなんて。しまったなぁ。これを視られたのは不味い」


「キミ、魔法少女キャンセラーをもっているね?良く手に入れたねそれ。懐かしいな。知り合いなのかい?元気にしている?おっと逃げないでくれよ。ムダ、ムダ、ムダ、ほら、もうちょとおしゃべり出来そうだね」


「不味い不味い不味い」



 何か仕掛けようとしてくるが、都度、機先を制す。

 取れる手段を、出すことすら出来ずに潰されていくというのは、この手の連中には特に利く手だ。そこら辺は、あっさり捨て身になる騎士武士連中と違ってやりやすい。命の捨て所というのは、職業やら立場やらで変わってくるものだからね。



「っと。まだ死ぬわけにはいかないので、ここは人質を取りますね?」


「あっ。師匠!」



 不確定ながら視えていた暗殺者の軌道が雲散霧消。気付けば乙女ちゃんが人質に取られていた。


 そっか、私の未来視では魔法少女は視えづらい。乙女ちゃんに関わる行動をされると、あっさり予測を越えて裏をかかれるワケだ。こんな弱点があったとは。



「安心してください。危害は加えません。ですのでお願いだから人質ごと消し飛ばすような手段は取らないでくださいね」


「必死!でも確かに師匠ならヤりかねません!」



 むう。まあ、確かに私は基本的に弱いからな。全部ダメになってしまうくらいなら、次善の選択を採ることは多い。今まで視てきた数々の選択肢も、諦めないといけないものばかりだったし。


 でもここはまだ、取捨選択する程の難事じゃないさ。



「乙女ちゃん、召喚魔法を使うんだ」



 首筋に、暗殺者の手を添えられた乙女ちゃんへレクチャアする。



「召喚魔法なら魔法少女キャンセラーの阻害が弱い。君が求めたモンスターが、君を守るために現れるよ。私の召喚じゃピンキリピーキー過ぎて何も起きないか何もかも再起不能(・・・・・・・・)かどっちかになっちゃう。君が使うんだ」


「私が、あんな凄いモンスターを?」



 どれの事だろう?どれにしてもこの場の解決は出来ないから、どうかまともな子を召喚して欲しいものである。



「名前を呼びな乙女ちゃん。わかるはずさ。胸の奥から湧き出てくるよ。その子の名が」


「…!召喚!来てっ。『カエサル』!!」



 淡い光がダンジョンを照らし、モンスターが肉体を構成する音が響いた。

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