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オトメチカ  作者: 感 嘆詩
第2章 延胡索
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無窮魔法少女と四級魔法少女

「オーマイゴーッド!……ハッ、現実か」



 夢の激闘から衝撃で飛び起きると、そこは梟臭城の奥御殿の一室で、魔法少女たちがみっしり詰まっているなかに私もいました。夢のような光景ですね!

 皆さん、下克上への葛藤のためか地獄の特訓のためかうんうん魘されていましたが、彼女たちを関わらせずに龍帝陛下の一件を終わらせられて良かった。

 大切な、母親のような人をその手にかけて、更には現人神のごとき、この地の象徴たる存在にまで逆らう、そんな一大事が二度も起これば、いかに魔法少女とはいえ心が壊れてしまいます。

 起こさない様、絡まる手足の隙間を縫い部屋を抜け出しました。




「宇宙蛇は、あのまま城の地下に眠ってもらいます。人類には過ぎた代物だ」



 同じく夢から覚めたであろう千日紅(ちかく)師匠の下へ、途中見繕った手拭いを濡らし冷やしつつ向かってみれば、珊瑚蛇(コーラルコブラ)さんとヴィタ公も集まり師匠とティータイムしてました。

 ヴィタ公に至っては他人の目が無いことを良いことに、少年形態のままエルフ様式の従者服を着て甲斐甲斐しく師匠の世話をしています。



「おふぁよう乙女ちゃん。ヴィタくんお茶」


「ヴィ、魔道(マド)モアゼル」



 堪えろ私。師匠が赦しているのだ。盲信ばかりが真の忠臣ではないと皆さんから学んだはずです。

 洗練された所作で師匠と私にお茶を振る舞うヴィタ公。ぐ、要所は押さえしかしてフランク、隙がねぇ。



「お弟子殿、木瓜のコーヒーを再現したとお聞きした。今度伝授していただけないか」


「お気遣ガルッ、ありガルッございます。私も、ガルルッお茶のご指導をぜひガルルッ」


「え、獣人おるのか?」


「あ、シバ公さん。いたのですか」



 シバ公こと梟臭(きょうしゅ)城城主、柴舟雁金様が奥で竈の管理をしていたらしく、私の獣心からの叫びを聞きつけ顔をだしました。

 気に入ったのか地下施設の時同様、少年の姿まま、更に今現在は火男の出で立ちです。



「顔が知られ過ぎておるからな。殿下、おっと、サンゴちゃんのオトモとして旅に加わるのだ。顔も名も変えたぞ」


「ああ、そうだ乙女ちゃん。大きい仕事が片付いたから、しばらくはダンジョン巡りをするよ。サンゴちゃんの機能強化をね」


「先ほどの夢の中でのように、とまではいかないようですが、獣人ならば、いつかあそこ(・・・)まで至れる余地がある。誰かが悪用しないよう、各地で回収しておきたいものがあるのです」



 珊瑚蛇さんあらためサンゴちゃんが、己の頭をトントン、と指差しつつ事情を話してくれました。龍帝陛下から肉体を奪い返した時に、その知識も引き継いだという事ですね。

 一国の王にもなれる立場を捨て、世界を守る為に救済の旅に出るとは、やはりサンゴちゃん、あなたは魔法少女の器です!



「ああ、偽装のためには良いね。サンゴちゃん、魔法少女のフリをしよう。ヴィタくん、ちょっと見繕ってくれないかい」


「あ、儂も儂も!儂も魔法少女やりたい」


「え、シバ公も?うーん、ギリいけるか?」


「乙女殿も言っておられたが、柴舟殿ってギリいけるんですね。基準がわからない」


「ふむ、玉珊瑚と花芝をそれぞれ意匠に取り入れましょう。キーワードはオトメティカでよろしいか」


「うんそれで。便利だねヴィタくん」


「ヴィ、光栄です」



 べ、便利!全知全能、無頼の神である師匠が、そ、存在を認めただと!ぐ、ぐうううう!



「何か、乙女ちゃんの私信仰がますます窮まってきてる気がするよヴィタくん」


「そうですね。素晴らしい心掛けだと思います」

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