神の座へと至れよ皇子5!!
「金属の破片?へぇ。どうやら珊瑚蛇の偽物、実物大の人形だったみたいだね。獣人の古代技術とやらの仕業なのかな」
「なぜ、生きてる?森田千日紅」
「記憶も心も模傚出来るのかい?君のモンスター。戦闘に使いづらくない?用途が違うのか」
「巌窟王!《眠りのルーン》を」
キィン、と高音を鳴らし、強化外骨格の肘から突き出た刃が夏都シダレモモさんの姿を借りた契約モンスターさんを両断しました。
「秘密を暴け シンキロー」
強化外骨格の隙間という隙間から水蒸気が噴出。霧のようにこの最下層を包み、偽装されていたらしき壁が消えました!そしてそちらに気を取られている内に強化外骨格が、がらんどうのバラバラに!師匠いずこ!?
「こっちも人形用意したんだ夏都。ってもう聞こえちゃいないか」
先程まで師匠がガッションガッションしていた力強い強化外骨格とは別、スリムな造形の強化外骨格がキュピキュピと静穏な動きで近づいてきます。師匠、お色直しされていたのですね!
「もうちょっと我慢しててね乙女ちゃん。珊瑚蛇も運んでくる。此処はガムシャラに任せて先へ進もう」
師匠は底が知れません!何でも有りのやりたい放題ですね!
偽装の壁を暴いた向こう側、細い通路を越えた先には、
「あれが本体かな?モカ姐の」
ギンギラの金属に囲まれた、獣人の着物を着た只人のおばあさんが寝ていました。そしてその後ろに、ガラスの大きな筒。筒の中には妙齢の女性がプカプカ浮かんで眠っています。新キャラが二人も現れました!だれか解説を!と祈れば折よく、ガラス筒の裏から夏都シダレモモさんが現れ、新キャラ二人を庇うようにこちらへ一歩、近付きました。
寝ているおばあさんの横に並び、凛々しい従僕スタイルで佇む様は、最後の忠臣の自称にふさわしい姿です。師匠がパシャリと一枚、薄い本の写真機能を使用しました。後で見せてもらわねば!
「やらせはしない。森田千日紅。この国は、御簾の帽額は、私たちが守る!」
「見得を切ったね夏都。どうやって私から守るんだい?お前と、お前の仕える死にかけの御前とでかい?お前の後ろのそれは使える戦力なのかな」
「ああ、そうさ。この方こそ。わが国の最高戦力。やっと反撃の時間だ」
「反撃?何かに抗ってたのかい夏都。知らなかったなぁ教えてよ」
「あなたに!この国に!運命に!全てにだ!」
「こんなメタくその国より先に片付けておく障害扱い。失礼なやつだ」
「……メタくそですみません」
ああ!師匠の小脇に抱えられたままの珊瑚蛇さんがしょんぼりしています。私と珊瑚蛇さん、ガムシャラさんのスキル効果範囲外へと抜けた後もそのまま荷物の様に強化外骨格師匠に抱えられておりまして、物理的にも活躍的にもお荷物ですからしょんぼりしますね!
更に珊瑚蛇さんは、今回の争いの当事者なはずなのに実際は除け者なので心中ズタズタでしょうね!
「さあ、起きてくださいまし!メカフォーミュラ木瓜!!」
グワシャー!とガラス筒が弾け飛び!妙齢の女性が液体を滴らせながら目覚めました。メカフォーミュラ木瓜!モカ姐さん、育ったらこんな感じになるんですね!獣人に負けないくらい背が高い!メカって何ですか!?
「フ、フフ、ハーハッハッハッ!よくぞやったダレモちゃん!全盛期の我、再臨!爆誕!優勝!」
「凄くうるさい。大人になって落ち着くかと思ったら、足軽時代よりうるさいんだねモカ姐」
「じゃじゃじゃじゃーん!衣装の意匠は木瓜!花言葉は『先駆者』!呪文の偉大な先駆者超絶魔法少女フォーミュラ木瓜!花言葉は『平凡』!経済、政治の画期的な政策を連発し陳腐定型化させてしまう最強筆頭家老フォーミュラ木瓜!花言葉は『熱情』!フォーミュラもプライベートも!冬に咲く木瓜の花のように真っ赤に燃える我が魂!正に我こそ正義のヒーロー!フォーミュラ木瓜!拝謁を許そう。苦しゅうないちこう寄れ!!!」
名乗りの文量も凄く増えてますね!!!さすがモカ姐さん!!!




