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オトメチカ  作者: 感 嘆詩
第2章 延胡索
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神様だから崇めよソウルメイツ3!

 目を覚ます。袖に張り付ていたテントウムシが蹌踉(よろば)い飛び立つ様を、寝惚けながらみつめる。この虫も眠っていた?ざぁ、と鳴る葉擦れが、まるで木が呼吸を再開した音のように感じました。眠っていた。人も虫も木も。



「おはよう。スキルを切られた。こちらから踏み込んで叩き切って(ハック)やろうとしたんだけど、それは嫌らしい。ダメージが現実にも反映されるタイプなのかな」



 向かい側に師匠が座る、ここは、幌馬車?砂糖卸の武装商人さんに連れられて、三途河国(トライビアリヴァニア)のオミナエシ領から抜け出した山道に、なぜ今いる?もしや、



「一時間も経っていません!この三日間は全部夢です!」



 魔法少女が持つ契約の魔導書、薄い本(スマートホン)を開き、日付を確認して驚く。獣人兵に扮した魔法少女たちの襲撃も、山中の一夜城による敵対魔法少女たちとの団体戦も、梟臭城での斬首作戦も、全ては夢だった?師匠の茄子色!!



「流石はプリンセス階級。少なく見積っても、この山から梟臭城まで一帯の生き物全てを眠らせた。とてつもない規模の魔法を使うね」



 隊商のメンバーも次々起き出しては状況を把握。武装を整えている最中のようです。



千日紅(ちかく)先生。しばしお待ちを。荷を棄てて騎馬を組織します」


「そうだね。敵は梟臭の城を獲ってる。今度こそ瓦礫にしてあげよう」



 武装商人さんが、幌越しに師匠へ報告に来ました。影を見るに、踊り子風衣装に身を包む皇孫珊瑚蛇(コーラルコブラ)さんを伴って後方のこの馬車まで伺いにいらしたようです。

 身分が割れている現状でも、師匠に対するこの敬意の表れ様。一番弟子の私が霞んでしまうじゃないですか!



「ふむ。視える範囲……深度?彩度?上がってるな。先達に触発されたのかな」



 師匠の独り言。おそらく、私を魔女として弟子にした影響でその《未来視》の魔法の威力が増した事を不思議に思っているのでしょう。気付かれていないようです。私に魔女としての力を授けたのは、師匠の体を一時的に借りた女郎花の元領主の采配でしたので。



「梟臭城、地下に何かあるね?珊瑚蛇は知ってる?」


「守れないなら壊せ、とだけ」


「ああ、だから瓦礫と視たのか」



 師匠は珊瑚蛇さんに髪を整えて貰いながら、陣中食と生のキュウリを交互に齧り、地図を目に焼き付け、戦支度を次々済ませていきました。

 まだ鼻先で奥ゆかしく香るコーヒーの臭いに顔をしかめつつ、私も地図を薄い本(スマートホン)の写真機能で保存。西瓜を小間切れにしたりシャーベットにしたり四苦八苦しながら、お腹を満たしました。



「おや、覚えの早い子だ」



 混ざりもの師匠に頭を撫でられる。ぐぅぅ。複雑!

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