神様だから崇めよソウルメイツ2!
「おおおお!《鎌足不動》ッ」
エルフのみが使役出来るという精霊。砂糖卸の武装商人さん改め、エルフの副王ヴィタヴィクテム公の放つその精霊達を、モカ姐さん改めフォーミュラ木瓜さんが弾き飛ばしました。
「なんて膂力だ。導べ犬では抑えきれん!」
「ヴィタ様離れて!珊瑚銃を撃つ」
その宣言とともに龍帝の皇孫、珊瑚蛇様の左腕が展開しました。
左腕は縦にも横にも4つに割け、中から光沢のある金属が、樹珊瑚のように伸び、腕の先から光が
「《鎌首もげた》」
「そんな!足一本で弾くなんて。鉄だって溶かすのに」
眩しく早く、良く見切れませんでしたが、太陽のごとき光の線が珊瑚蛇さんから発され、それをフォーミュラ木瓜さんが弾いたようでした。
「魔法少女、これ程までか」
珊瑚蛇様が畏怖と感嘆からそう呟きました。自分の首が狙われている時に、刺客を天晴れと称賛できる大器。流石は皇族ですね!
「いや、魔法少女で、これ程か?」
ずっと、「見」に回っていた千日紅師匠が、両者割って入るように玉音を賜りました。
「何で魔法を使っていないんだい?家伝の秘技こそ隠し持っているだろうが、所詮はそこまでの、ただの王弟や皇族ごときに何で後れをとっているんだい?貴女はプリンセス階級の偉大な魔法少女だろう?記章は第7まで持っていたはず」
味方陣営に衝撃が走りました。周りを囲む精鋭たちからもどよめきが聞こえます。魔法を使っていない?あれだけの動きをして?
「それ、その腕とか足とか、偽装しているけどモンスターのスキルだよね?エルフの精霊対話や獣人の古代技術のように、召喚契約モンスターが持つ魔法のごとき力。魔法のもどきのような力。そんなものを使うから拮抗してしまうんだよ。七級の魔法なら城ごと……いや、使わない、でも、使えない、でもなく、既に使っているのかな?ああ、これ夢か。どおりで、魔法少女に未来視が効きづらいからといって、全く見えない訳じゃない。行きずりの怪しいプライベートモカに対して、私が視ることを怠るなんてあり得ない。何で使わないのかと自分でもうっすら考えていたが、これ夢の中独特の歯痒さだね」
一歩、千日紅師匠が木瓜さんの方へ足を向けました。
「私が魔法のブースターとしてタタリモッケを使ったのとは逆に、契約モンスターのスキルを、魔法で強化しているのか。何のために?夢の中で暗殺では無く、時間稼ぎに終始している」
三歩、四歩、水の中を進む様な、妙にゆっくりとした踏み込みで、五歩六歩、
「まあ、聞くのが早いか。自覚したら楽なものだ。お邪魔するよフォーミュラ木瓜」
《天上天下唯我独尊》
師匠が七歩目を踏み込む前に、フォーミュラ木瓜さん、が操っているらしき、魔法少女の姿を真似た召喚モンスターのスキルが発動。
途端に、これが夢であることを私も自覚しました。




