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オトメチカ  作者: 感 嘆詩
第2章 延胡索
33/54

神様だから崇めよソウルメイツ!

「この桃色珊瑚の印紋(シルシ)を、忘れたとは、いわせねぇぜ!」



 白昼堂々、梟臭(きょうしゅ)城内の庭園に仮設されたお立ち台にて、皇孫珊瑚蛇(コーラルコブラ)さんがお着物をペロンとめくると、おヘソ(蛇の獣人さんなので臍はないですが)の辺りにピンクの刺青が現れました!

 あの刺青は!確か、砂糖卸の武装商人さんの馬車で師匠と揺られていたときに暑気払いにと果物の差し入れを持ってきて下さった、女中見習いのお姉さんの入れてた紋々(もんもん)じゃないですか!

 お姉さん、いや、その本性は珊瑚蛇さんなのでお兄さん。女中見習いの時は、神話の踊り子もかくやの露出具合かつお顔だけヴェールに覆われていて、何とも神秘的な方だと思っていましたが、滲み出る神性がそう感じさせていたのですね!っていうか男性だったのですね!あの体つきで!



「確かに余は見たぞ。獣人に変装していたが、隊商を襲撃したのはお前たちだろう?」


「な、何を根拠に我輩たちと?」


「いや、ちっちゃい女の子達がブカブカの兜締めて刀に重心振り回されてたらわかるって。縦も横も足りてないのよ獣人にしては」


「ご明察。その頭頂眼(天眼)と両の竜眼は確かに父祖から受け継いでおられますな!」


「ん、ん~。称賛、受け取っておこう。……何でみんな誉めながら殺しにくるの?誉め殺しってそういう意味じゃないから。情緒どうなってんだろ家臣」



 元・城主で現・梟首の柴舟雁金さんに徴用されてた兵隊さんたちにはお給料補償してお家へ返し、武装商人さんの私兵と皇孫殿下の精兵だけで夜逃げの準備を終え、さあ作戦会議だみんな城内の庭園へあつまれ、との号令に従えば、皇孫殿下が諸肌脱いで、モカ姐さんことプライベートモカさん(獣人ver)の弾劾を始めたのでした!何事なのでしょうか!?



「殿下。ここからは私が。少輔(すないすけ)さん内膳正(ないぜんのかみ)さん」


「ハッ。平伏せよ平伏せよ。この仕込み杖を見よ」



 番頭さんAが、武装商人さんに呼ばれて仕込み刀を抜き放ちました!あ、あれは!ホワイトエルフ(ミルク)の彫金にダークエルフ(カカオ)の漆塗りが重なるはバンブーエルフ(タケノコヤマ)秘伝の竹鞘!刀身はマッドエルフ(パウンドケーキ)のセラミック・ソー?そんな馬鹿な!氏族同士の仲が目茶苦茶に悪い、何なら個人個人の仲もハチャメチャなエルフの皆さんが団結して1つの作品を仕上げるなんて、そんなの、よっぽどの……まさか、ッ!?あの(はばき)に刻まれた家紋は!ハイエルフ(キンジョウ)の御紋!!



「このお方こそ、畏こくも(さき)耳長神国(ブルーボーン)副王、ヴィタヴィクティム公にあらせられるぞ!」



 番頭さんBの明言!確かにこんな代物、高位のエルフでなければ持てません!ほ、欲しいぃ!千日紅(ちかく)師匠の箔付けに1本貰えないのでしょうか!



「久しいな。千日紅先生に聞いたよ。プライベートモカ、と名乗っているそうだな。二等兵(プライベート)か、確かにその立ち振舞い、足軽(プライベート)の頃の君にそっくりだよ。フォーミュラモッカ(・・・・・・・・・)



 抜かれた仕込み杖を受け取り、モカ姐さんへと切っ先向ける武装商人さん、いえ、ヴィタ公。話しの流れから察するに、モカ姐さん、敵の間者だったのですね!?



「魔法に指向性を持たせる手段として現在は呪文(フォーミュラ)呪具(デバイス)呪印(サークル)があるけれど、それのうち、呪文を開発した魔法の呪文(マジックフォーミュラ)の偉大な木瓜(先駆者)。あるいは、フォーミュラ木瓜(陳腐化した定型文)。女郎花領でキキキが放熱板を飛ばしたり、隠し通路を解放したのも、この呪文による恩恵さ。最強の魔法少女の一角にして最弱の魔女が彼女の正体だよ」



 私の耳元で囁く千日紅・オミナエシモード・師匠。今の神懸かりでない、通常の師匠には内緒の秘密、《魔女》のワードがでました。魔法少女にして、魔女、師匠以外にもいたのですね。



鳥巣(ちょうそう)の魔女、Abundant()&Attendant()。扱うは窠紋(かもん)の魔法。本来はおまじないレベルの魔法だよ。鳥の巣を模した呪印(サークル)に祈ることで、親鳥が守る鳥の巣のように、家内安全と鎮護国家が比較的近付く。その程度の不確かな力。でもその効果が及ぼす範囲は広い。一昨日の昼に解決する、と宣言した(ちかく)の未来視がずれたのも多分これが原因。龍帝の御簾の帽額(もこう)に織り込まれているのが一番有名だが、祈りの込め方と解釈で暗殺防止(抱卵)離間工作(托卵)にも使っていたらしいから、呪文の先駆者の二つ名は伊達じゃないよね」



 オミナエシモード師匠、饒舌で捗りますね!普段の師匠ももっと喋っていただきたい!!いえ、まだ師事して3日過ぎたくらいですが、今の一瞬だけでその3日間よりもお声を聞いた時間長い気がします!



「どうせ、近くに魔法少女たちを待機させているのだろうが、間に合わない、間に合わせないよフォーミュラ木瓜(モッカ)。皇孫と副王が名乗りを上げたのは、世に功績甚だしい貴女へのせめてもの手向けだ。ここで死ね」

 

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