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オトメチカ  作者: 感 嘆詩
第2章 延胡索
28/54

神業だけどその3!!

「サヨナラ ミナサン ドウカ ゴブジデ」


「サブちゃーん!!」



 ひしゃげたアームで精一杯のサムズアップを作り、空穂舟(サブマリン)搭載され(やどっ)ていた人工知能(電子妖精)のサブちゃんは濁流に呑まれ消えていきました。夢見ていた海の底で、どうか安らかに眠ってください。



「海に着く前に消えちゃうんじゃないかな。また今度出して上げるよシンキローで」


「ありがとうございます師匠!」


「酔ったわ我輩。おボェェ」



 千日紅(ちかく)師匠の契約しているモンスター、シンキローさんの能力で増水した川を下り、見事、梟臭(きょうしゅ)城へ侵入を果たしました!



「じゃあ、私は暗殺してくるから、上手いこと騒ぎながら自衛しててね二人とも。はばたけ ガムシャラ」


「か、かぁー」



 小鳥の姿のモンスター、ガムシャラさんに吊られる形で師匠が天守へと飛んでいきます。すごい馬力ですガムシャラさん!



「我輩は神社(テンプル)へ向かうぞよ。罰当たりの方が兵士どもは吊れるだろう」



 流石は現地民たるモカ姐さんことプライベートモカさん大衆心理を理解した的確な判断!例え陽動と見抜かれようが注力せざるを得ない場所を襲撃するのですね!



「ならば私は馬を燃やしてきますね!」


「ほう。無い視点だったの」



 倫理的にも金銭的にも大事ですからね!馬!





「続くなら只の災害、治まるなら奴らの先触れだ。魔法少女とはそういうものよ。修復、警戒、怠るなッ」


「大将!鎧を着てください」


「暇がないッ。奴らを知らんのだお主らは」



 どなたですか?と言わんばかりのつぶらな瞳でこちらに鼻先を向けるお馬さんたちを前に、倫理的に手を出せないでまごついていたらぞろぞろと兵隊さんが来てしまいました。三途河国(トライビアリバニア)で会った獣人の方々も大きかったですが、この人たちは更に大きい。戦闘のエリートと言った風体です。



「ほうら居たよ。魔法少女だーッ。であえぇい」



 とっさにお馬の隙間に挟まってみたのですがバレました!

 お馬さん、戦術戦略的にも大事だから、有事では真っ先に心配されて様子見に来ますよね!迂闊でした。



 獣人特有の片刃剣を担いで、皆さんこちらに殺到してきます!あ、一人の指笛に反応して、お馬さんたちが一斉に駆け出しました!馬バリアーが使えない!絶対絶命です!



「ナムサァァン!!」



 一際大きい獣人さんが、気合いとともに武器を振り上げ、



「げこぉぉぉぉぉ!!」



 角材を抱えたカエルさんが降ってきて刃を受け止めました!砕ける角材、翻るマント!

 私が契約していたモンスターのカエルさん。そう言えば滑落した馬車から脱出する際、召喚してそのまま出しっぱなしにしてました!追いかけてくれてたんですね!けっこうあっちこっち行ってたので、大分大部分徒労だったはず。ごめんなさい!



「げこ」



 サムズアップ!カッコいいです。



「なんとも美々しい!さぞ名のあるカエルに違いあるまい。お手合わせ願おうか」


「げこう。げーここう」


「かたじけない。そちらは得物、こちらは具足、不足あっても不満はないな?」


「げこもなし」



 確かにカエルさん、無手です。私を探す途中、もしかしたら川の増水にでも巻き込まれて、カエルさんは自慢の大剣を失ったのかも。私が出しっぱなしにして片付けなかったたばなりに!



「あ、再召喚したら武器も戻るし消耗した体力も戻りますね!今ならデスペナもリキャストタイムも無いし」


「ええ……なら儂も一回戻って鎧着てきて良い?ズルくない?」



 確かに確かに!戦士の決闘に水を差してしまいました!


鎌足不動アプレンティス・バロン


 忽然と、草の影から現れたかのように、この場にいる全員の意識の間隙を突き、プライベートモカさんが水差され獣人さんを拘束しました!真っ赤な衣装の袖から伸びる2本の捕具は、下手人の腕と胴をがっちり挟み込み、獣人さんの腕力ですら剥がせないパワーがあるようです!

 そのまま軸足を、獣人さんが腰に締めた力帯にかけ、もう片足は輪を作るようにしてその太い首にかけ、



「モカ……ッ。なぜ貴様が、その姿はッ」


「さらばじゃ柴犬(シバ)



鎌首もげたバヤデールバリエーション


 回転とともに一瞬、足が黄金に輝いて、獣人さんの首が稲穂のように刈り取られました。



「柴舟雁金討ち取ったり、争いは無用だ!城を開けよ!!」

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