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オトメチカ  作者: 感 嘆詩
第2章 延胡索
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神業だけど宿らぬ細部!

「他国から徳を積みに来た流しの魔法少女たちだと思っていました」



 ここ尾長(ヘビ)帝国は獣人の国だからです。

 しかし、只人でしかも魔法少女である夏都(ザナドゥ)さんたち御簾の帽額(カーテンヴァランス)のメンバーはこの国の出身だと千日紅(ちかく)師匠は言いました。



龍帝(ナーガ)は人材マニアだったからね。三途河国(トライビアリバニア)の前領主様とか、元々地元の名士の出だったのを龍帝が領主まで引き上げたくらいさ。他国への干渉でそれくらい無法をやるんだ。自国ではもっと自由にやった。龍帝の賄い方…私たちで言う執事(バトラー)は元・農民の魔法少女。彼女が他国からかき集めた身寄りのない少女達が、御簾の帽額(カーテンヴァランス)の正体なんだろうね」



 むぅ。なんでしょう。深味?雑味?師匠から父性を感じます。何が混ざってしまったのか!解釈ち……いや、一致していますが!欲しい味では、いや!師匠を自分のものの様に語るのは失礼!!というか!



「日が沈みますよ師匠!お昼どころか、1日が終わろうとしています!」


「むう、読み違えた」


「人里に着くのすら半日以上かかるよ?どうやって全部終わらす気だったのさ?」



 プライベートモカさんの、豆を煮詰めながらの詰めるかのような質問に、師匠はむうむう言うだけのミニマムお姉ちゃんになってしまいました。獣人さん達から物資を盗み出してくれたり、夜営の指示をしてくれたり、こうして可愛い生き物を生み出してくれたり、感謝しかありません!居ていただいて助かりました!



「え?でへへ。我輩が居て有難いの?いやー参ったなーまた我輩救っちゃったかー下々を」


「そうだね。助かったよ。その渋豆のジャム、うまそうだね」


「ジャ……このアンコの事かな?感謝の言葉は受け取ろう。しかし二度とアンコのことを豆ジャムとか呼ばないでね」


「何か現地民の逆鱗に触れた」



 口調が普通の女の子に戻るくらい怒ってますね!



「しかし、この辺の軍閥、砂糖そんなドバドバ入れられるくらいの余裕あるんだね」


尾長(ヘビ)は未だ流通の大動脈だからな。保存に使えるし士気もあがるから便利であるぞよお砂糖」


「お金持ちなんだね。……うわ、渋豆だけじゃなくて苦豆まで煮てるの?正気?」


「小豆とコーヒー豆だよ!食べろ飲め美味しさに震えな!!」



 モカさんが、スライスしたパンにアンコとやらを乗せ、コーヒーを添えてお出ししてくれました。

 使っている調理器具や食器は全て、師匠の契約モンスター、シンキローさんがお出ししたものなので何時消え去るかわかったものではありません。早めに食べねば!



「あ、待つのだぞい下々よ」


「むむ!何それ。未知なる甘味の予感」


「どさくさでシダレモモの荷物からくすねて来た。練乳。魔法で作ってる我が家の秘伝だぞよ」



 聞けば牛乳から魔法で水分を飛ばし、砂糖を加えて長期保存用に加工した嗜好品とのこと。戦いではなく、日常に魔法が存在する!絵本で見た魔法使いのようです!!



「お子ちゃま二人にはコーヒーは苦かろう。ほれぽちゃぽちゃ」


「ありがとうお婆ちゃん」


「誰がお婆ちゃんじゃ!」



 確かに!口調が古風だし面倒見も良い!何か既視感があると思ったら、生家の曾祖母さまを彷彿とさせます!お婆ちゃん魔法少女!新しく、古い玄妙な味わいです。深味と雑味を縫うように行き来する、人を魅了してやまないこのコーヒーの様に!!



「そうだモカ姐さん。この木瓜(キウリ)もジャムに出来ないかな?生食出来ないんだって。果物のくせに」


girlish・(魔法少女てぃ)ghoulish(ーぱーてぃー)が品種改良する前はだいたいそんなもんだったぞい。ふむ。木瓜か」



 師匠が姐さん呼び!旨あじ!と舌鼓うっているとモカ姐さんは木瓜を横に割り断面を少し見つめ、



「ふむ。良い形じゃ」



と、しみじみ呟きお鍋に投下しました。制限時間付きの器具で煮きれるのでしょうか!ハラハラドキドキです!


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