罪科裁くその3!!!
「さけろ!《剃刀花》」
「引き寄せろ シンキロー。石兵八陣」
死人花さんは拳で戦うタイプかと思っていたのですが、以外にも遠距離タイプでした。
おそらくあれは火と風を複合した魔法。独自の呪文を組み込む事で彼岸花の花弁の様な、鋭い魔法の刃を打ち出しているのです。
それに対して千日紅師匠は、シンキローさんのスキルによって、石柱が林立する建造物を作成。石柱の並びが空気の流れを操作し、死人花さんが生んだ魔法の刃を、意図しない方向へ飛ばして無力化しました。
「流れに逆らえない風魔法。石も穿てない火魔法。はははは。それでも魔法少女なのかい死人花。ほら、上手くやれよ」
「あぶなっ!普段どんな化け物とっ、戦ってんだよこの人ッ」
師匠が、おそらく石柱の生み出す気流によって加速させた礫、を断続的に飛ばして死人花さんへ反撃。
師匠には、身動き取れなくしてから距離を詰めて仕留める、というイメージを抱いていたのですが遠距離戦も凄いです。弟子歴3日目の私ごときの浅学では、とても師匠を推し量ることなど出来ませんね!
「慣れてきたかな?ちょっと本気だすけど死ぬなよ死人花。さあ、羽ばたけ ガムシャラ」
きぃぃぃん
追い討ちをかけるため、師匠はガムシャラさんを召喚。杖を止まり木にしたガムシャラさんを生体ハンマーとして、掬い上げる軌道でぶん回して石礫にインパクト。死人花さんを仕留めにかかりました!
「指導でもしてるつもりかよ!舐めんじゃねぇぇぇ!満開、《剃刀点花》!!」
こぉぉーん
死人花さんの全身から炎が吹き出し、高速で迫る礫を吹き飛ばしました!朝焼けに合わさり真っ赤に輝く、彼岸花の様なその姿は、ザ・熱血魔法少女!といった風合いで、コシとハリがある上質なシルクのような肌触りですね!美味!
こぉぉーん
こぉぉーん
こぉぉーん
「なんだよこれ、何の音だ?」
死人花さんが異音に気付き、纏う炎の出力を上げました。
二人の側面から観戦してる私には見えます。反響しているのです。師匠が連続して打ち込んでいる礫が石柱に当たる音が。
死人花さんの方へと到達せず、1つ2つ、3つと石柱にぶつかり、ぶつかりぶつかり、どんどん石兵八陣の内部でストックされていっているのです。スピードを維持したまま、いずれきたる破局に備えて。
「なんで、そんなに連発できる……ッ?」
「魔法じゃなくて、ただの石ころだからだよ。コスパ良いだろ」
時間切れで消えることもないし。と呟き打ち続ける千日紅師匠。
時間切れ。そうか、シンキローさんのスキルで生み出す建造物は、規模が大きいほど維持できる時間が短くなるリスクがある!この礫と石柱の組み合わせは、そのリスクすら利用した恐ろしい罠だったのです。
「解き放て シンキロー。石兵八陣」
「うおおおお!《剃刀点花》ぁぁぁ!!」
崩壊した石柱から大量の礫が放たれ、死人花さんに殺到!危うし!!死人花!!!




