業腹だから罪科裁く!!
モカじゃないよ木瓜だよ
キュウリじゃないよ木瓜だよ
クソボケじゃないよ草木瓜だよ
「ハァーッハァーーッ、ハ、ハハ、ハーハッハッハッ!そ、想定内、こんな事は想定内なんですよ森田千日紅」
「むぅ。あれを生き延びるとは。敵は恐ろしい手練れだ。気を引き締めて乙女ちゃん」
暗殺者魔法少女の夏都シダレモモさんを筆頭に、土まみれの女の子がいっぱい出てきました。全員魔法少女なのでしょうか。あんな攻撃を受けて生還しているんなんて、魔法少女、凄いです。
「もう一回、摩天楼爆撃をしかけよう。乙女ちゃん、振り落とされないよう」
「はい!師匠!」
フクロウ型の大きなモンスター『タタリモッケ』ちゃんが羽ばたき、再び風に乗ります。
私も直ぐに布を食み、加速に備えます。
「まてー!まてまてまて!我々は!《パジャマパーティー》を開催する!」
「「「スタンバイ、オトメティクス」」」
土まみれの女の子たち、シダレモモさん、そして私と師匠、全魔法少女の口から魔法少女の宣言が発せられました。
土汚れごと戦装束が光る粒子にかわり、お相手さんたちは変身していきます。
何でしょう、この感覚。三途河国のクーデター中の、シダレモモさんと決闘した時とはまた別の肌触りに戸惑いました。
「この質感。……これは、団体戦、ですか?」
「へぇ、そんな機能があったんだ。発見した?いや、開発したのか?」
千日紅師匠は何事か関心しつつ、手慣れた所作で可愛いらしい衣装へと服を置換していきます。
よく見ると他の魔法少女の皆さんも、各々の仕草と見得を決めてスタンバイを完了していきました。
ベテランって感じで格好いいです!
「余裕の態度も今のうちですよ森田千日紅!私の強力な腹心たちを紹介しましょう!この団体戦、我々とあなた方の戦力差は4対2!勝ち目はないぞ!さあ、名乗りを上げよ同志たち!」
「衣装の意匠は月桂樹。花言葉は『裏切り』。
本の表紙は畳。死ぬ時はお布団の上で死にたいですねぇ。至福ロールリエ、参ります」
ああこれは なんとも甘美 ゲッケイジュ
被ってよし
煮詰めてよし
「衣装の意匠は彼岸花ぁ。花言葉は『独立』。本の表紙は刑場!親父の死に様を忘れねぇ。死人花ジーパングッド、参る!」
悲願とは 掛詞だぜ ヒガンバナ
僻んでるのは
内緒なんだぜ
「衣装の意匠は天竺葵。花言葉は『真の友情』と『偽り』。本の表紙は村祭り。手品芸をまたみたい。巌窟王、推参」
紅白の チカチカ映る ゼラニウム
この手に持つは
お花か銃か
何でしょう。全員、裏切りそう!
「……大丈夫?君の腹心三人、凄く不穏だけども」
師匠も同じ感想を抱いたようです。知らない人を悪く言うのはよく無いとは思うのですが、その、悪そうな方たちです!
「そして私、夏都シダレモモ、参る!!」
何だかちょっと自棄っぱちに見えますシダレモモさん。あ、これも私の偏見なんでしょうか!?
「森田千日紅、参る」
「五月女乙女、参ります!」
あ、何故だか名乗りを省略できました。良かった。師匠の前で眼球宣言という、恥ずかしい思いをせずに済みました。
「4対2だ!絶対絶命だぞ森田千日紅!お前だけはここで確実に仕留める!!皆っ、全力だ!!共に行こう《シェイプシフト》!」
「うふふ。至れり尽くせり《至福者の島》」
「咲いて裂いて割けろ!《剃刀花》!!」
「《待て、しかして希望せよ》」
相対する4名の魔法少女から、魔法や、何か、その応用によるとっておきが発動しました。
それらの暴力は、あっという間に私たちの元へ殺到し蹂躙していくでしょう。
「ふむ。こと此処に至ったなら仕方ないかな。復唱しろタタリモッケ。《真名書き》終食め、迦……」
「ちょーーーっと待ったーーーーー!!」
「何奴!?」
シダレモモさんが声の方向へ誰何。すかさず師匠へ睨み付けます。おお!師匠のお知り合いが助っ人に!凄い!劇的です!
遥か上空から現れ、摩天楼によって耕された地面も何のその。華麗に着地して見得を切る。燃えるような真っ赤な衣装にはゴールドがブレンドされていて、すっごく派手です!
「足し算の美学ですね!さぞ名のある方とお見受けしました!何とお呼びすれば?」
「いや、知らない人だね。誰だろう。そもそも何処から入ってきたんだろ?」
知らない人でした!師匠の知らない人で、シダレモモさんが知らない人で、もちろん私も知らないならば、本当に何奴です!
「じゃじゃーん!衣装の意匠はモカ!花言葉は『情熱』。正義のヒーロー、プライベート・モカ!拝謁を許そう。苦しゅうないちこう寄れ!」
凄く偉そうな方です!何者なんでしょう!




