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オトメチカ  作者: 感 嘆詩
第2章 延胡索
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ウリ科4!!!

「私の手の内バレてそうだから、これはギリギリまで隠しておくつもりだったんだけどね」



 仮眠して夜明け前、千日紅師匠が巨大な鳥のモンスターを召喚しました。

 この巨鳥モンスター、三途河国(トライビアリヴァニア)でのクーデターにて、オミナエシ家の前領主と刺し違えたと評判の鳥獣人、ハーピィ特別降下隊007番、"偉大なる"ブリトニーが契約していた子らしいです。確かにどこか面影がありますね。

 敵討ちに協力してくれた師匠へ、生前に譲り渡す約束をしていたそうで、師匠の顔の広さには感嘆です。



「あれ!という事は、あの方は魔法少女だったのですか!」


「……ん、まあ」



 獣人の魔法少女が2人も至近にいただなんて、驚きです。意外と、普段は素性を隠して生活している魔法少女の方は多いのかもしれません。

 魔法少女の持つ契約の魔法書(スマートホン)、持っているだけで身元確かな好人物、というパブリックイメージが強いので、誰しも魔法少女と公言するものですが、でも人には色んな事情がありますもんね。



「さあ、この子に乗って上空から捜索だ。敵の拠点を見つけたら、シンキローに摩天楼(ビルディング)ださせて挽き潰そう」



 師匠の全力、恐ろしいです!




 まだ暗い空を、巨大な梟のモンスター『タタリモッケ』の背に乗って駆ける体験は、窮状を忘れてしまうほど素敵でした。

 負ぶい紐で固定された体が、タタリちゃんの翼で受け止めた空気の厚み(・・)を感じ取り、まるで自力で飛んでいる様に錯覚しました。

 魔法、すごいです!



「あれ、なんかでかい建物出来てる」


「敵ですか!?」


「多分。ガムシャラの視界を視た時は無かった。一晩で作った?何のために?…躱せ」



 視界が急転!足元に星空が!くぅーっ、素敵!

 時期外れの流星群まで降り注ぎ、師匠出来すぎです!と叫ぶ所でしたが、よく見ればそれらはキラキラ光る、炎や氷で出来た飛礫でした。



「魔法!?魔法の攻撃です師匠!」


「ああ。私対策なのか。あの一夜城」



 どうやら賊は、篝火も焚かずに一晩、現れるかもわからない私達を待ち構えていたという事らしいです!しかも多分、魔法少女の方が大勢いそうです!!



「どうせやることは変わらない。お昼までに終わってるのも変わらない。近付いて落とす。落とされない様、気ぃ付けててね乙女ちゃん」



 負ぶい紐を掴み、口内に布を含ませて準備しました。師匠に、事前に言い含められていた行動です。



「復唱しろ タタリモッケ 《加速(ブースト)》」


『ブ ー ス ト』



 師匠の声を真似て、タタリちゃんが呪文を唱えます。魔法に指向性を持たせるために開発、定型化された文言たるそれを。魔法少女でなくモンスターである彼女が。

 モンスターが持つスキルでも人が持つアビリティでも、相対する者が放つ異能なら何でも、おうむ返しの様に自身も発現させる《真似っこ(ミミクリー)》。

 それが彼女の持つスキルなのです。

 当然のように魔法少女の魔法も発動することが出来る。



「魔法の出力が低い私でも、大きい魔法が使えて嬉しいよ。この子は私にとってまさに加速装置(ブースター)だね。さあ、敵地まで突っ込むよ」


『突 っ 込 む よ』



 魔法の雨も何のその!あっという間に一夜城は目前に!死ぬかと思いました!布噛んでて良かった!



「挽き肉にして殺せ シンキロー」



 巨大な摩天楼(ビルディング)が空中に出現。師匠とタタリちゃんのダブル《加速(ブースト)》の勢いをのせ摩天楼が、一夜城に叩きつけられました。

 オミナエシの領主城すら脅かした摩天楼です。小山に建つ一夜城なんて、まるごと更地する体積と質量なのは言うまでも有りません。



「はははははは!朝飯前に終わるとはなぁ!!」



 空が白んで来て、師匠の瞳に光が灯りました。この未明の星空のように、青くキラキラした瞳。



「無敵です!師匠!」

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