僕の彼女の雪山さんは雪女です ~ 僕がキスすると毎回ちょっと溶ける可愛い彼女です ~
「雪山さん、買ってきたよ」
がさがさとコンビニの袋を2つ揺らしながら校舎裏に行くと、雪山さんがベンチに座って待っていた。
「おつかれ。ほんと桜木はジャンケン弱いな」
「うるさいよ。そんなことよりほら」
そう言いながら僕は、コンビニ袋をひとつ雪山さんに渡した。
「ありがとう」
袋をがさがささせながら、中から冷たいざるそばと麦茶とそして、ソフトクリームを取り出す。僕も雪山さんの隣に座り、袋から温かい弁当と肉まんとお茶を取り出す。雪山さんは全部冷たいもの。僕は全部温かいもの。
ちなみに現在の季節は12月。それに今日は気温が10℃以下。そんな寒い時に、僕と雪山さんは外で昼食を食べる。
「ねえ雪山さん…やっぱ校内で食べない?」
僕は肉まんを握りしめ、鼻を少し垂らしながら雪山さんに言う。
「え~?校内は暖房がききすぎて熱いから嫌だぞ」
「ですよね…」
ずずっと鼻を啜り、僕は肉まんにかぶりつく。
寒さに体を震わせながら、僕が温かい肉まんを食べる横で、雪山さんは冷たいざるそばを美味しそうにずるずると啜っていた。雪山さんのロングの黒髪が、冷たい風でふわふわと僕の横で揺れる。シャンプーのいい匂いがする。
学校一の美少女と言われる雪山美鈴さんと僕は付き合っている。けど、モブキャラの僕と黒髪色白美人の雪山さんが付き合えているのには理由がある。というか、雪山さんには僕しか知らない秘密がある。
それは、雪山さんは雪女ということだ。
去年僕がスキー場で遭難した時、雪女の雪山さんに条件付きで助けられたのだ。それが…
『私はJKになり、高校で青春というものを送るという夢があってだな。ただ、その青春を送るには、恋人が必要らしい。だから、JKになった私と付き合ってくれるなら、お前を助けてやるぞ』
よく分からなかったけど、死にたくなかった僕は適当に頷き、雪山さんに助けられた。
そしてその数日後、雪山さんは人間に…JKになって僕の学校に転入してきた。
「やはりこのそふとくりーむは美味だな」
ざるそばを食べ終わった雪山さんは、ソフトクリームをもふもふと食べる。すると。
「あ、雪山さん」
「ん?─…」
ちゅっと。
僕は、雪山さんの口許についていたソフトクリームを唇で取った。
「クリームついてたよ…わー!」
僕がそう言うと、雪山さんは顔を真っ赤にしながら顔をどろどろと溶かした。
雪山さんは真夏でも溶けたりしないけど、僕がキスしたりするとこうしてすぐに溶けたりするのだ。