「婚約を破棄する」と心の中で思ったならッ!その時スデに行動は終わっているんだッ!
とあるナーロッパ世界のとある国、とある学園。
卒業パーティーで王太子である第二王子が婚約者に向かってタイトルの台詞を告げた。
「…もう一度、聞かせて頂いても?(こいつも転生者!しかも、ジ◯ジョファンだと!?)」
「二度は言わぬ。そしてお前はこれから『できるわけがない』というセリフを4回だけ言っていい」
「さすが王子!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ そこにシビれる!あこがれるゥ!」
(え!?あのモブも転生者!?いやモブじゃなくて王子の側近Aか)
この世界が乙女ゲームなのかどうかは知らないが、攻略対象者っぽい宰相の息子だった。
そして王子に寄り添うピンク髪の男爵令嬢が言う。
「すみません、わたしと王子は愛し合ってしまったの!大人しく身を引いてください!王妃にはわたしがなります!祝福しろ」
「できるわけがない!」
「ガタガタぬかすな。いいか、てめーが婚約破棄される原因は…一つだぜ…たった一つの単純な答えだ…『てめーは俺を怒らせた』」
「そんな…王妃教育と王子の公務の肩代わりで忙しくしていたわたくしが王子を怒らせることなど…できるわけがない!」
「うるさい!とにかく婚約破棄はもう済んだ。いいな!王命は無視する」
「できるわけがない!」
「本当に4回言う気か?(もしかしてこいつも転生者?)」
「王命で無理矢理好きでもない男と婚約させられて、なぜか最後は婚約破棄された…。な…何を言っているのかわからねーと思いますがわたくしも何をされたのかわからなかった…」
「お前もジョジ◯ファンかよ!」
「いいわ!受け入れます!王子の覚悟が!『言葉』でなく『心』で理解できた!」
「バ…バカな…か…簡単すぎる…あっけなさすぎる…」
「わたくしが婚約破棄を悲しむとでも?この公爵家の姫であるわたくしが金やちやほやされるために王妃を目指していると思っていたのかァ―――――ッ!!激しい「喜び」はいらない… そのかわり深い「絶望」もない………「植物の心」のような人生を… そんな「平穏な生活」こそわたくしの目標だったのに………」
その言葉に騎士団長の息子が感銘を受ける。
「おめえ…なんか、ちょっぴりカッコイイじゃあねーかよ…」
「って思ってたけど、これで昔から好きだった第一王子と結婚できる!最高に『ハイ!』ってやつだアアアアア!」
側妃腹の為に立太子されなかった第一王子が戦慄する。
「俺ってどうしてこう…変な女ばかり寄ってくるのでしょう…。臣籍降下して静かに暮らすか聖職者になるつもりだったのに」
「結婚できればわたくしの勝ち!勝てばよかろうなのだァァァァッ!!」
そうして強引に第一王子は結婚させられ、強力な後ろ盾を得て立太子することになる。それから公爵令嬢の熱烈アタックを受け続け、やがて、王子は…考えるのをやめた…。
立太子の為に後ろ盾として公爵家と縁を結ぶ予定だった第二王子は廃嫡され、取り巻きは後継の座を降ろされ、男爵令嬢は修道院に送られた。
「勝った!第一部完!」
公爵令嬢はガッツポーズしたッ!!
To Be Continued...