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レアモンスター?それ、ただの害虫ですよ ~知らぬ間にダンジョン化した自宅での日常生活が配信されてバズったんですが~【コミック三巻発売!】  作者: 御手々ぽんた
第二部 胎動

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エクストラスキル

 皆が抹茶に手をつける。

 飲み物を飲むのが初めてのクロは、周囲を見回してから、不思議そうに抹茶をすする。


「──にがい」


 一口飲んで、茶碗を遠くに置く。どうやら幼女の体の味覚には合わなかったようだ。

 とんっと、椅子から降りると、トコトコとその短い足を動かして台所へ向かうクロ。近づいてくるクロに、台所にいた目黒の顔が青くなっていく。

 私も思わず立ち上がりかけるが、クロは目黒をスルーして加藤先輩の前に立つ。


 隠れて、いままさに羊羹を食べようとしていた加藤先輩の動きがとまる。


「ん」


 そう一言発して、加藤先輩の羊羹を指差すクロ。


「……えっと?」

「ん」


 どうやらクロは加藤先輩に口直しに羊羹を寄越せと言っているようだ。

 加藤先輩は、アトミックビーの蜂の巣騒動の時にクロに助けられてから、どうやら苦手意識があるらしく、素直に手をつける直前だった羊羹を皿ごとクロに差し出す。


 トコトコと皿を持ってクロが戻ってくると少し嬉しそうに二個目の羊羹を食べ始めるクロ。

 オボロがそんなクロに何か言いたげだが、結局そのまま何も言わずに抹茶をすすっている。


 とりあえず何事もなくて、私はほっとしながら浮かしかけた腰を下ろす。


 ──良かった。加藤先輩には良い天罰ね。目黒はあとでばっちゃんに叱られそうだけど。それにしてもなんでオボロさんは何も言わなかったのかしら。


 慌てた様子で麦茶の入ったグラスをクロの前に置く目黒を見ながら私はそんなことを考えていた。


 クロは二つ目の羊羹を食べきると、じっと麦茶を観察し始める。しばしあとに、そっと麦茶に口をつけている。


「──あまくない」


 そう呟きながらも、麦茶は飲めるようだ。


 そんなちょっとしたトラブルはありつつも、とりあえず平穏にお茶の時間が過ぎたところで、私は気になっていた本題をオボロとクロに切り出すことにする。


「オボロさん。クロ。今回のこと、ユウト君にはどう伝えるつもりでいますか?」


 無言で首をかしげるオボロさん。どうやらこちらは何も考えていなかったらしい。

 そんな様子にクロも呆れた顔を浮かべるも、こちらもオボロさんに対しては何も言わないようだ。


「こちらを」


 そういって麦茶を置いたクロが片手をあげる。


分体生成(ワケミタマ)


 クロがスキルらしきものを発動させる。聞いたことのないものだ。


「驚いたね。38番目かい? クロちゃん」

「んん。エクストラスキル」


 ばっちゃんが驚いたようにクロに訊ねるも、クロは首を横に振る。


 そんなクロの手のひらの上には、一体のドローンが浮いていた。それは、かつてのクロのドローンと全く同じに見える。

 そしてドローンがホログラムを展開しまとうと、そこに現れたのは猫耳の早川に似た顔立ちの少女。

 幼女のクロとは、まるで姉妹のようだった。

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