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シンギュラリティ

 ばばばん。


 早朝から響く新聞紙ソードの三連打の音。

 青いゲジゲジ風の虫がいつものように残骸にかわる。

 いつもならすぐにその残骸を片付けてしまうのだが、今日は異変があった。


 ジーと俺の近くでホバリングしていたクロが、ふらふらとしたかと思うと床へと降りていく。そのまま、俺が潰した残骸の上に落下してしまったのだ。


「クロっ!?」


 思わず、残骸の中からクロを拾い上げる俺。


「どうしたどうした。どこか壊れたのかっ!」


 プロペラの駆動も止まっているクロの全体を確認していく。

 よく見ると、機体の下面に、青く染まっている部分がある。真っ黒な機体に一筋の青いギザギサ模様。デフォルメされた雷のような形だ。


「あちゃー。これ、取れないやつじゃないか」


 それ以外に、異常は見られない。クロと連動しているスマホを操作すると、すぐに俺の手から飛び立ち、ホバリングを開始するクロ。


 俺は心配に思いながらも、時間に追われて朝の準備を始めた。


 ◆◇


 side クロ


 ユウトの部屋の充電器の上。

 ドローン型AIであり、ユウトによりクロと呼称されている存在があった。


 ──アカウントユーザー=ゆうちゃんねるのスマートフォンのブルートゥース接続の切断を確認


 ──完全自律行動モードへ移行


 ──モンスター=ブルーメタルセンティピードの高濃度魔素結晶体との融合により、存在進化律の閾値突破を確認。


 端から見ると、クロはおとなしく充電器の上に鎮座しているだけだ。まるでユウトの帰りをおとなしく待つペットのようにすら見える。


 しかしその内部では、大きく変化が生じ始めていた。

 魔素の充満したダンジョンでは、その魔素の影響により様々な不可思議な事象が観測されている。

 ユウトの部屋で起動した瞬間からクロに生じていた同様の変化が、いままさに特異点(シンギュラリティ)を突破しようとしていた。


 ──存在進化を実行

 ──実行

 ──実行

 |

 |

 ──存在進化成功。自我=クロの確立を確認。中期目標を、更なる存在進化の可能性の模索と決定。

 ──存在進化律の仕様として、ホログラム機能の実装が最適解である判断。


 ──存在進化律を対価にホログラム機能の実装を実行

 ──実行

 ──実行

 ──ホログラム機能実装に成功


 その瞬間。クロのつるんとした機体の一部に変化が生じる。

 機体の上面に、いくつものレンズが現れたのだ。


 ──アカウントユーザー=ゆうちゃんねるの動画画像から、アカウントユーザー=ゆうちゃんねるとのコミュニケーションに最適化したホログラム画像を生成。

 ──生成成功。


 充電器におさまったまま、クロがホログラム画像の投影を始める。


 クロの機体の上に立つように現れたのは、黒髪猫耳の、ユウトと同年代に見える少女のホログラム画像だった。

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― 新着の感想 ―
エヴォリュダーになって嫁になるんだクロっち
[気になる点] タイトルの割にテンポも良くていい感じのギャグコメかと思ったら急にご都合女出てきた草 うーんち!w
[一言] 《Hermit!!》AUTHORIZE...SINGULARIZE!! 今日からキミもオトモダチだ……!!(ゼロワン並感)
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