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レアモンスター?それ、ただの害虫ですよ ~知らぬ間にダンジョン化した自宅での日常生活が配信されてバズったんですが~【コミック三巻発売!】  作者: 御手々ぽんた
第六部 人道

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世界の危機

 すべての下準備が終わったので、いよいよ次は因果律の摘出だ。


 俺の闇と化した三本目の腕で顔面をつかんで固定している目黒さんの体。

 そのなかある異物としてはあと、早川の魂と因果律の存在が残っているだけだ。


 しかもそれを目黒さんの体に固定していたものはこれで完全に排除してある。


 そんな訳で、いよいよ因果律を引きずり出そうと、俺の四本目の闇と化した腕を伸ばした時だった。


 目黒さんの体が激しくむせ始める。


 ──あ、このまま顔面を強く握って固定しておくと、目黒さんの体にダメージが残っちゃう感じ?


 俺が、僅かに力を緩めた瞬間、目黒さんの口の部分から、何かがこぼれ出してくる。


 俺の手のひらと、目黒さんの顔面の間の隙間。そこをモゾモゾとした感触が高速で移動し、スペースへと飛び出したそれは、短めの体躯をしたゲジゲジのような虫に見えた。


 臭い的に、あのゲジゲジ風の虫が因果律の本体、本質的な存在のようだった。

 かさかさと足を必死に動かして離れていくゲジゲジ。


 俺はそれを見て、因果律を摘出する手間が省けた喜びよりも、嫌悪感と、何よりも手のひらをはい回った、虫の足を不快感が勝ってしまう。


 だからという訳ではないのだけれど、思わず発せられるのが残り少なくなった言葉を、ここで発してしまう。


 本能的に、言葉を話せなくなった時が、自身の人間性が完全に喪失する瞬間になると理解しながらも。


『めっ、せ、よ──』


 そして、二本目の手の中の懐中時計だったものを俺は指で弾く。極限まで自主的に圧縮し続けていたそれは、質量が変わらぬまま、爪の先よりも小さな球体となっていた。


 その球体で狙う先は当然、ゲジゲジだ。


 体感的に、劣化ウランよりも高密度に圧縮された元懐中時計の弾を、俺が呟きながら指で弾いた瞬間。


 そこに一筋の真っ白な線が生まれた。


 俺の二本目の腕の指先と、ゲジゲジとを繋ぐように生まれたそれは、まるで世界を二分するかのような存在感を持って、そこにあった。


 それは容易く因果律を粉砕し、その存在を原子の粒へまでことごとく破壊し尽く。しかしその白線は、とどまることを知らないかのように伸び続ける。

 世界そのものを破壊尽くしかねない勢いを持った白線の存在によって、俺たちのいるこのスペースの存在すらも軋みを上げ始める。


 ──あ、やり過ぎちゃった……?


 俺は、加減が明らかに出来なくなりつつあった。そして、その事への憂慮もかなり薄くしか感じられない。


 僅かに残った、人としての意識で、俺は加藤さんの方を見るにとどめる。

 ここでまた、俺が対策しようと何かすると、その事でもまた、新たな危機が生まれるような感覚があった。

 だから俺に、それが唯一無難に出来たことだったのだ。


 そんな視線の先で、加藤さんは、ひきつった顔をして、短槍を必死に操ってくれているところだった。


 加藤さんは素晴らしいことに察してくれたのだろう。このまま白線がスペースを突き破り、俺たちの元いた世界に達した瞬間、世界が終わることに。


 そんな訳で、どうやら加藤さんはユニークスキルで白線の進む先の空間と時間をねじ曲げてくれているようだ。


 ただ、イサイサの愛を失ってしまったからだろうか。ユニークスキルの使用の代償で加藤さんは酷く辛そうだ。

 俺は思わず申し訳ない気持ちで見守っていると、それでも何とか白線の存在をメビウス状に歪めた空間に隔離してくれたようだった。


 俺は思わず無言で、世界を救ってくれた加藤さんに向かって頭を下げるのだった。






コミックス三巻が9/27発売となります!

はやい所だと、そろそろ入荷し始めているかもです~

お見かけの際は是非お手にとってみてください~

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