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レアモンスター?それ、ただの害虫ですよ ~知らぬ間にダンジョン化した自宅での日常生活が配信されてバズったんですが~【コミック三巻発売!】  作者: 御手々ぽんた
第六部 人道

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283/319

みっちり

「一番槍はいただく。『婚約破棄からの逆ハー(イケメンラッシュ)』」


 メラニーによって召喚されるイケメンモンスターたち。特にメラニーが持つ中でも機動性に優れた者たちがメラニーの影から飛び出し、巨大な赤ん坊へと向かう。


「補佐は任せてくれ。『結界(えんがちょ)』」


 ドーバーナは固有スキル結界(えんがちょ)を展開する。場所は、迫りくる魂の簒奪者たる、巨大赤ん坊の正面。

 巨大赤ん坊のハイハイ突進を結界(えんがちょ)が受け止める形だ。


 両者が激突する。ビリビリと大気が震える。

 巨大赤ん坊の突進はからくも止まるも、衝撃で、結界(えんがちょ)にヒビが入る。


「なんて重さ……ぐ、ぐぅ──でも、まだまだーっ」


 プルプルと震え始めるドーバーナの全身の筋肉。しかし、ドーバーナは自らの首に巻かれた首輪にそっと触れ、気合いを入れ直す。


 ヒビだらけになりながらも、なんとか形を保ちつづける結界(えんがちょ)


「これが飼い犬の意地っ!」


 ユウトが聞いたら全力で首を横にぶんぶん振りそうなことを叫びながら、事態を拮抗させるドーバーナ。


 そこに左右から挟撃するように、メラニーのイケメンモンスターたちが巨大赤ん坊へと襲いかかる。


 一見すると、プニプニの柔肌にしか見えない巨大赤ん坊だが、そのきめ細やかな肌は、その場にいる誰の想像よりも強靭かつしなやかで、何よりも固かった。


 突き立てられたイケメンモンスターたちの牙はほんの先っぽだけしか通らない。

 そしてその噛みついた隙を、巨大赤ん坊は目ざとく見逃さなかった。


 巨大赤ん坊は、ハイハイ突進を止められる形にはなっていたが、その巨体から繰り出される四肢の振り回しだけでも、十分な威力を誇っていた。

 まるまるお手々の薙ぎ払い。軽く振っているようにしか見えないそれだけで、イケメンモンスターたちが次々に吹き飛ばされていく。


「加藤、イサイサ。すまんが助力を」


 その様子をじっと冷静に見つめていたオボロが、そう加藤に告げる。

 それは異例の事態だった。

 戦いこそが本懐たるオボロが、手を出す前から誰かに助けを求めるということ事態が、目の前の魂の簒奪者の強さを暗に物語っていた。


 そしてそれは当然、加藤とイサイサにも伝わる。


「オボロ様、了解です」

「ああ、俺ももちろんだ」


 なんとなく加藤はイサイサと顔を見合せ、二人ともすぐに快諾をする。


「ふっ。よし、ゆくか」


 そんな二人にニヒルな笑みを見せると、オボロは天躯を使い、一気に巨大赤ん坊へと迫る。

 遅れじと加藤も駆け出し、イサイサも両耳の七武器を振るうのだった。


 ◆◇


「なんとか、倒せたか」


 激しい激闘の末、疲れきった加藤の視線の先には魂の簒奪者だった存在が黒いもやへと変わっていく風景があった。

 加藤たちは無事、誰一人欠けることなく、魂の簒奪者を倒すことに成功する。


 疲労困憊の加藤が安心のあまりそう、呟いてしまったのは仕方のないことだったのだろう。

 しかし、それは当然フラグとなる。


 加藤たちのいる空間のダンジョンの壁の一面が、そのタイミングでがらがらと崩れ始める。


「──くさっ」


 悪臭のあまり鼻をおさえるコボルドたち。


「おいおい、嘘だろ……」

「あー。これは不味いな」


 加藤とオボロもすぐに崩れた壁の先に現れたものを視認する。


 そこにはつい先ほど倒したのと同じ、巨大な赤ん坊たちがひしめき合っていたのだった。


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