表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

218/319

黒雪だるま、空を舞う

 上空へと舞い上がったクロのもとへ、散開していたワケミタマドローンから次々に情報が届けられる。


「みなさん、善戦されていますが……。急がなければなりません──」


 ワケミタマドローンより映像として届けられた各、魂の簒奪者との戦い。いぶ、加藤とイサイサの三名とも、それぞれ苦戦している。


 一方、氷漬けにされてしまったシロたちのもとへは、ダークコボルドたちが無事に到着したようだ。しかしこちらも救助活動は難航しているようだった。

 幸いなことに、全身の氷はすぐに剥離され、シロたちも抱えられたままだったダークコボルドたちも命に別状はなさそうだった。ただ、不思議なことに意識が戻らない様子が見える。


「あの加藤が雪女とよんだ魂の簒奪者の攻撃の本質は、どうやら物理的に氷漬けにするだけではなさそうですね。すると、いま一番危険なのはいぶ殿……」


 ドローンであった時の本能のままに情報収集と分析をするクロ。しかし現状、収集した情報が少なく、クロとしても打開策といえるものを導き出せないでいた。


「どうやら綺麗に戦力を分断されてしまいました。この状況を打破できるとすれば……。おぼろを解放し、そこに秘められているはずの進化律の力の一部をもって大穴ダンジョンへと『ダンジョン&キングダム』の接続を復旧させること。そうすれば、あとは……」


 その推察の先は、自らの禁忌に触れると思考を止めるクロ。

 すでに一度、頼るべきではないのに頼ってしまっているのだ。


 ユウトの安寧。ドローンであった時は何よりの至上命題だったそれが、人となったクロのなかでは、いま、徐々に揺らぎつつあった。


 そして、その要因は複数ある。そのことで事態はより複雑化していた。


 クロ自身の、複数の人々との繋がりから生まれる情。

 ユウト自身が関わりのある者たちに不幸なことがあった場合、ユウトが感じるであろう感情が推察出来るようになってしまったこと。

 そして何より、一人の人間としての、クロの抱えるユウトへの抑えきれない感情。


 結論の見えぬまま、黒雪だるまは空を舞う。


 そしてついに、その眼下に、囚われたおぼろの姿が見えてきた。

本日はこちらの作品の書籍発売日となります~

お見かけした際は是非お手にとって頂けましたら幸いです~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ