表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

196/319

第五部 プロローグ

「あ、冷蔵庫、簡単に動きそう」


 肩を寄せあっていた早川が腕を伸ばして冷蔵庫を引っ張りながら告げる。

 間近に見える早川のワクワクした横顔がどこか眩しい。


「──早川、さすがにまずくないか。これは」

「えー。ユウトは気にならないの?」

「いや、まあ気にはなるけど。ほら、人には知られたくない秘密、あるだろ?」

「ふーん。ユウトもあるの? そういうの」


 少しだけ冷蔵庫を引っ張り出したところで、早川は動かすのをやめてくれる。


「いや、俺はないけどさ。単なる平凡な高校生だし。ほら、戻しとこうぜ」

「はーい。……でもさ、この裏にゴキブリが隠れてないかは見た方がいいんじゃない?」

「うっ……ん。そうかも……」

「ほら、少しだけなら大丈夫だよ。目黒さんも準備に時間かかるだろうしさ」

「本当に、少しだぞ」

「じゃあユウトも手伝ってよ。その方が早く済むよ」

「仕方ないなー」


 俺は両手で冷蔵庫を抱えるように持つ。隣にいた早川も、再び同じように冷蔵庫を持とうとする。


「──あ……一人で大丈夫だから。その、早川は、入り口の方、見ててくれ」

「あ、うん」


 腕に感じていた温かい感触が離れたところで、俺は冷蔵庫を引っ張る。

 まるでそう設計されているかのように、スムーズに冷蔵庫が引き出されていく。


「動かしたぞ」

「どう、いた?」

「いや、見当たらないな」

「残念。……やっぱりこれ、ドアだよね。ユウト」

「ああ。さ、冷蔵庫戻すから。早川、下がって」

「ね、少しだけ開けてみようよ? えい」

「あ、こら」


 俺の背後から手を伸ばした早川が、ドアらしき壁に触れる。向こう側に開くように移動する壁。

 それは、やはりドアだった。

 その開いたドアの先が見える。

 下へと向かう階段がそこにあった。









【書籍化情報】

GA文庫より3/15発売となります!


イラストはkodamazon様@kodamazon_kdmです!

公式サイトはこちら~

https://www.sbcr.jp/product/4815623180/


書籍化に伴いタイトルを変更しました!


ちなみに、同じタイミングで刊行されるGA文庫のラインナップ、錚々たる作品ばかりでした……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ