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 藤乃たちが接近すると、スパルヴィエロも既に戦闘態勢に入っていた。甲板や両舷、さらには艦体下部からも防空機関砲を展開し、接近する斥候型セプテントリオンを迎撃している。


『聞こえるか、ジャップ』


 レーザー通信を繋いできたのはスサンナであった。


『補給を終えたらお前たちは直掩(ちょくえん)に入れ』

「でも隊長が!」

『そっちは私に任せろ』


 スパルヴィエロから飛び出した閃光が、藤乃とペトラの間を斬り裂くようにして飛び去って行く。

 その姿はまさしく『誰よりも速い脚と誰よりも速い剣』。セイバーモードを使ったスサンナである。藤乃たちがそれに気が付くよりも早く、スサンナは視界の外へと消えた。


「いまの、スサンナさん……?」


『私がお願いしたの』次に通信を繋いだのはイングリットだ。『セイバーモードの特性から考えて、スサンナよりペトラちゃんのほうがこっち向きだから』


 イングリットはセイバーモードを作戦に組み込んでいるらしい。本人はその使用に否定的だが、作戦遂行のためには必要だというのが前線指揮官としての判断なのであろう。空中でイングリットとすれ違った藤乃とペトラはスパルヴィエロの甲板に強行着陸した。

 駆け寄ってくる整備クルーに抱きかかえられながら藤乃とペトラはまたカタパルトに立つ。

 休む暇はない。カタパルトのレールに再度固定されたままミサイルを装着し、推進剤を充填したらすぐ出撃である。手渡されたゼリー状の栄養剤を藤乃は無理やりに吸い込む。


「藤乃、大丈夫?」


 シェルヴールの簡易チェック中、藤乃は動けない。藤乃は声をかけてきたリンファに栄養剤を飲みながら頷く。


「……んっ、イングリットさんのバースデーパーティは?」

「中断したよ。終わったら続きやろうね」


 ぽんぽん、と肩を叩いたリンファが藤乃の前に立ち、プラウラーのエンジンを噴かして離陸する。それにラヤーン、そしてヘシカとカティアが続く。哨戒、偵察、そして通信中継が主な任務の予備航空隊だが、今回の襲撃ではプラウラーも重武装で戦闘に参加している。


『……そういえばあの食いかけのカップケーキ、誰のだったんだ?』

『ペトラ先輩、です』

『うっわ。よくそんなの覚えてるねえ、カティア』

『うん。見たもの、忘れない』

『マジかよ。後で謝っておかないと』


 作戦行動中とは思えないようなゆるい会話であるが、短波通信を使った機体間の通信はセプテントリオンの注意をスパルヴィエロから反らすためのものだ。


「碓氷藤乃、行けます!」


 ハードポイントの多いペトラはまだ補給中である。一歩先に補給を終えた藤乃はカタパルトに立ち、離陸許可を求めた。


『碓氷少尉、離陸を許可します』

「碓氷藤乃、F-4EJ改、エンゲージ!」


 エンジンを目一杯に噴かし、藤乃は再度スパルヴィエロを飛び立った。

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