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モラトリアムの波の中で

「ごめん、つい…」

寝ぼけている私に、頬を桃色にさせて謝る彼。

「むしろ嬉しいんだけど」

あなたが私にこっそりキスしてること、私は実は気づいていた。

でも、そのちょうど2年後には別の男性にときめいてるなんてことは分からなかったよ。


これはまだまだモラトリアムを満喫していた20歳の私が、大人になる物語。




-----


20歳、それは成人1年目。

大人たちの中では、一番子どもに近い年齢。

とはいえ、20歳になって変わったことはお酒とタバコを合法で嗜むことができるようになったことくらいだろうか。


つい最近20歳になったが、心が変わった気はしない。

5歳の頃に思い描いていた「20歳」とは大きくかけ離れ、まだまだ大人になれていないことだけ実感している。


「まだそのゲームやってるんだ」

「面白くはないんだけどね、暇つぶしにぴったりなんだよね」

「そのゲーム未だにやってるのなんて、世界でニーナだけだよ」

私の手元にあるスマホの画面を見て、ナツキは半ば呆れつつも私に笑いかける。

大学1年生の入学式で隣の席になって以来、私とナツキはなんだかんだ同じ授業を受け続けている。

同じ授業を選んでいるわけではないが、目指したゼミが同じだった故に単位の9割がお揃いになった。

必然的に、一緒にいることは多くなる。


多くの時間を共にして、その上で私はナツキに憧れている。

美人で賢くて、さっぱりした性格で運動もできる。

ナツキのようにしっかりした女性になりたい、と思うのに時間はかからなかった。


「今日一緒に課題やろうよ。このあと食堂でさ」

あー今日は彼氏に会わないといけないんだよね、とだるそうにナツキは答える。

綺麗な見た目と爽やかな人となりのナツキは、もちろんモテるし常に彼氏がいる。

しかも彼とは長続きするため、今の彼氏も気づけば2年経っている。


「デートか、それはお邪魔できないや」

「いや、今日別れる予定」

あっけらかんというナツキ。

イケメンなんだけど女好きすぎてもう無理、とナツキは続ける。


ナツキの一番尊敬しているところは、恋愛で冷めたら悩まずに速攻切るところ。

悩んでいないわけではないと思う。が、その決断の早さは私がランチを決めるよりも早いのではないだろうか。

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