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ハロウィンの日は大人こそ楽しみたい。……地味こそ遊びの本領です。

せかぼく(終わる世界と狭間の僕ら)より、ハロウィン話。

書いているのがハロウィン当日。

せかぼく本編を読んでる方も、読んでない方も、どうぞ日常をお楽しみください。

ハロウィン……2年前の天使の襲来で宗教系のイベントが縮小した中、それは特別だった。


先日忍と話したように


「え、ハロウィンてあの宗教イベントじゃないの? 元々別? ならやってもいいよね」


みたいな感じで、起源の解釈が広まったところで意識が切り替わったらしくまっさきに復活を遂げたイベントだ。

もともと魔界系なイメージもあったし、そこに本物の神魔が当たり前のように行きかうこのご時世。

悪魔のヒトたちの姿は、盛り上がりに拍車をかけている。


日本人の頭は異常なほどに柔軟だ。



とはいえ、まだ昼には遠い午前中。


「司さん、白上家は今日何かイベントがあるんですか」


これから外交に向かうオレはいつものごとく忍と司さんと待ち合わせていた。

忍がまだなので、聞く。


「特には。シンはあまり派手な祭りは好きじゃないしな」

「……わかるようなわからないような」

「イベント商法も、パッケージだけ変えて中身がふつうの菓子が売り出される意味が分からないと言っていた」

「わかりました」


それはオレもなんとなく思ってはいた。

クッキーの中身もハロウィン仕様なら買ってもいいかなと思うが、中身が通年仕様って……


と思いつつ、買ってしまうのが日本人なんだろうが。


「しかし、今日はハロウィンだからな……他のイベント日とは一味違う」

「え、それってどういう……」

「秋葉、司くん、お待たせ」


まだ時間前だが、忍もやってきてメンツがそろった。

そして、次に開口一番忍がオレに言ったのは



「秋葉、今日はハロウィンですね」

「……お前もあんまりイベントに乗るタイプじゃないよな?」

「そうだけど、今日は特別です」


司さんと同じことを言っている。


「?」


ただ意味が分からず首をかしげるオレに続ける忍。


「さぁ選んでください。トリック オア トリート」


そう来たか。

そうか、今日はそういうのもあった。

でもそれ、子供がやるやつじゃね?


と、言いたいところだが、こいつのトリックは大人が十分驚くことをするので、侮れない。


「この状況で菓子なんて持ってるわけないだろ。とりあえず、悪戯はやめて」

「二択だから必然的に、消去法でトリックに決定か」

「待って! 後にして! 何やらかしてくれるの? 今仕事中」

「司くん」


オレの処遇が決定したところで今度は同じことを司さんにまでするつもりらしい。

ていうか持ってるわけないだろ!

司さんが菓子間食するタイプに見えるかお前!


「トリックオア……」


司さんは黙ってポケットからキッ〇カットを取り出して忍に手渡した。


持ってた、普通に持ってた。


「司さん……」

「恒例行事なんだ。防衛策くらいは心得ている」

「……」


そうか、いつ何時これをやらかしてくる人が周りに何人かいるもんな。

まずい、オレも何か用意しておくんだった。


さすがの忍も沈黙している。


「……お菓子が欲しいわけじゃないのに」

「それ普通に悪戯したいだけだろ!」

「子供はお菓子で喜ぶかもしれないけど、大人は遊び心を満たしてほしいんだ」


ため息をついて、あらぬ方を見る忍。

遠い目するな。


「あ、秋葉くんと司だ」


背後からもう聞き覚えた声がかかった。

司さんの双子の妹、シンさんだ。


「おはよう忍ちゃん」

「おはよう。秋葉はお菓子持ってないからトリック枠決定だよ」

「その事前情報いらないだろ、二人して何か仕掛けてくるつもりなの?」


しかし、ふーんと森さんはそれを聞いて、納得したようだった。

……いや、何を納得してるんですか。


「じゃあ司。トリックオア……」


司さん、今度はキャンディを取り出す。

そこらへんで売ってるおばちゃんが持ち歩くような奴じゃなくて、ちゃんとハロウィン仕様のかわいい包装のやつだ。


「……司、まだ最後まで言ってない」

「恒例だから」

「言っておくけど恒例でさばかれると思ってる?」


…………。


4人それぞれに落ちる沈黙。


「森ちゃん、私も後半まで言い切る前にチョコもらった。どうするこれ、半分食べる?」


いや、何の話してるの?

確かにキット〇ットは、真ん中から二本に折れるけども。


「とりあえず、司の出方を見てからにしよう」


何を企んでいるんだ女子二人。


「もう一回いうよ、司くん」

「何度言われても菓子ならたくさんあるから」


言われる前に二人の手のひらに大量のキャンディ包みの小さなチョコを落とす司さん。

ちょっと待ってください。

それどこに持ってたんですか。

ていうか、この事態も想定済なんですか。


しかし両手いっぱいにチョコをもらった森さんと忍……

顔を見合わせてから言った。


「司」


今度は森さんが先に言う。そしてハモる二人。


「「トリック オア トリック」」

「………………………………………」


それ一択! デッド オア アライブ どころかデッドオアデッドになってるから!


さすがの司さんもこれには返せなかった。

救済トリートのない選択肢。


それになんの意味があるのか、疑問を抱きつつ……



ハロウィンの朝は始まったばかりだった。


「終わる世界と狭間の僕ら」連載本編は以下URLか、作者名からリストへどうぞ(*'ω'*)

https://ncode.syosetu.com/n2406gf/


シリアスパート時の短編避難所なので、こちらの更新は不定期になります。

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