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第94話:3班が出発を始めた

「お2人共、レグさんのテントへお願いします」


「あら、私もなの?」

「はい、レイライン様もお願いします」


ほう、レイラインも呼んだという事はレグ的に、俺抜きでやるか博打の様な作戦を考えたのだろう。


イルクとレイラインの2人と並んで移動すると、イルクが感謝の言葉を発した。


「ヨシタカさん、昨日のオークですが、ありがとうございます。倒し方が非常に良く、肉に関しては商人達の買い取り金額が高くなりギルドとしては嬉しい限りです。上位種がいたので、そちらの素材も薬士ギルドに売れば高額になるでしょう」

「上位種の素材はどの部位を売るんだ?」

「雄なら睾丸ですね。元々、上位種の肉は普通のオークよりも美味ですし、稀少なので肉も素材も高く売れるんですよ。」


オークの雄の上位種の睾丸は精力増強の薬の材料として、薬士ギルドに売れば良い値段で売れるらしい。貴族や娼館が買うそうだ。


「今回はジェネラルがいましたからね。肉も素材も凄い値がつきそうですよ。食べられる部分が多い倒し方が出来るのも、高ランクの証ですね」

「確かに、頭を破壊したり、身体を狙ってもほぼ1撃で倒していたから食べられる部分が多くなるわね。低ランクの連中が囲んで倒せば、身体中が傷だらけで買い取り金額が減るもの」


そうか、やはり倒し方によって買い取り金額が下がる事があるんだな。


「オークリーダーは腹に穴が空き、四肢は切断されていましたが、素晴らしいですよ。ジェネラルに関しては言う事がありません! 胴体は無傷なんですからね!」


よっぽど状態が良かったのだろう、イルクの言葉が止まらない。


「切断された上位種の手や足を回収していたのも良いですよ~。食べれる肉は少ないですが、固い皮を取り除いてちゃんと処理ををすれば美味しく食べられるんですから♪」


イルクの話を聞いているウチにレグのテントに着いた。



テントの中に入ると、Cランクの冒険者が数名とギルド職員の姿があった。


テーブルの奥の中央にレグが座っているが、その顔は憔悴し目の下にはうっすらとクマが見える。


(相当悩んだんだろうか? 俺を納得させる作戦は用意出来たのかな?)


「レイライン様、お呼びして申し訳ありません」

「気にしてないわ。何の用?」(知ってるクセに……)

「貴女にも聞いていほしい話です。同席をお願いします」

「ええ、分かったわ」

「ありがとうございます。それとヨシタカ」

「なんだ?」

「昨日はすまなかった……。あれから皆と話して、お前の言い分が正しい事が分かった。今回は唯のオークの討伐ではなく、上位種を前提とした討伐戦だ。俺達はそこを軽視していた。お前に指摘されなければ、全滅するのは俺達だったかもしれない。本当にすまない」


レグと数名の男達が俺に頭を下げた。

これならば、俺を戦力として考えて作戦を考えたと安心できる。


「いや、昨日は俺も言い過ぎた。レグ、ちゃんと寝たのか?」

「ああ、仮眠は取った。俺を舐めるな、3日程度の徹夜なんて昔は当たり前だ」


昔の話だろうが。


「飯は?」

「後で食う」


じいさんがムチャすんなよな。


「レグ、話は後だ。取り敢えず何か腹に入れろ!」


レグの側に行き、パンとさっき飲んでいた紅茶の残りをレグに渡す。


「飯なんて後でいい。今回の話の方が重要だ」

「話なんて他のヤツにさせとけ! 元とはいえ、冒険者だろうが、食える時に食っとけ。そんな状態じゃあまともに頭が働かんだろうが!」


何かのアニメでも「パイロットは休むのも仕事だ」とか「戦場では食える時に食っとけ」って言ってた気がする。


「そうよ。貴方は今回の指揮官なのだから、倒れられては他が困るのよ」

「レイライン様まで……。分かった、頂こう。キール、俺の代わりに話をしろ。何かあれば俺が横から話す」

「はい、分りました」


40代のギルド職員がレグの代わりに、今日の作戦について説明を始めた。




◆◆◆◆◆




作戦の内容事態は俺を納得させるのには十分な内容と言えたし、これ以上の内容は直ぐには出てこないだろう。


作戦の内容はこんな感じだ。

①今日は3つの集落を潰す為に、戦闘が出来る冒険者を4つの班に分ける。

②A班にレイラインが指揮を取る50人。B班にレグが指揮を取る50人。C班に俺を含めた20人。D班にベースキャンプの防衛で約20人。残り約10人は連絡係として動き回る事になった。

③A~C班はオークの集落に攻撃を仕掛けるが、C班以外のA班とB班は上位種が現れて戦況が不利になれば、C班がいる場所へ後退する。



とまあ、こんな感じの内容だった。


C班に関してこんなにも人数はいらないが、オークジェネラルが現れた際に対処を任せる俺の負担を減らす為の人員だそうだ。


これから班分けをして向かう事になり、正午に3班同時に奇襲をかける事になった。


A班とB班に求められるのは、通常のオークを倒し、上位種がいない場合はそのまま集落を完全に潰す事だ。

もしもオークジェネラルの様な上位種がいたら後退し、戦力を維持する事を優先する。


俺のいるC班は速やかに集落を潰し、位置的に近いB班、そしてA班の順に合流して上位種を倒す。


言葉で言えば簡単だが、全ての集落を潰し終わるまでに、どれだけの犠牲が出るのか未知数なだけに、初日である今日の成果が、今後の士気に繋がるだろう。




時刻はもうすぐ10時半。


3班が出発を始めた。

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