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第86話:本当に人間か?

昨日宣言しましたので、明日の24時までにあと2話分を投稿します!


日常のグルメもありますが、やり遂げてみせますので、宜しくお願い致します。

何か、太陽にほえてるぞ!


声がした方向に顔を向けると、獣人と男の姿が目に入った。


どうやら獣人の方が声の主の様だ。気合いの入ったポーズで大口を開けている。

もう1人の男の方は見覚えがあった。確かイースとかいう奴の仲間だったはずだ。


気にせず、作業を続けていると向こうから近付いてきた。


「ヨシタカ、さんだろ? この状況はいったい……」


イースの仲間が声をかけてきた。


「俺達が知らない間に少数で奇襲をかけたのか⁉」


獣人が続く。犬獣人だ。


「周りをよく見ろ、他には誰もいないだろうが。俺とエリアスでやった」

「「エリアス?!」」

「俺の頭にいるだろうが」

「スライム?」

「オマエ、スライム連れてるのか?」


ぴょん


「邪魔するならどっか行け、手伝うつもりがあるならオークの死骸を集めてこい。邪魔だ!」

「ああ」

「おう」


二人は蜘蛛の子を散らす様に、離れた場所に横たわるオークの死骸を協力して運んできた。


「ヨシタカさん、何をするんですかい?」

「気付かんか? こうやってオークの死骸をアイテムボックスで回収してるんだ」


2人が運んできた死骸をアイテムボックスに収納する。


「アイテムボックスに物が入るとこを初めて見たぜ」

「……、俺もだ」

「解ったらさっさと持って来い!」

「「はい!」」


別に人手に困ってはいないが、邪魔されるくらいなら手伝わせた方がいい。状況の説明なんて帰り道ですればいいのだから。



2人が手伝ってくれたので5分もかからなかったが、1人でやっても5分も要らなかっただろう。


「ヨシタカさん、詳しい話を聞かせてくれますかい?」

「そうだ! 大量の血の臭いがしたから来てみれば、オークの集落が1つ完全に潰されてるんだ、説明してくれ!」


獣人の方は少し興奮気味だな。カルシウムが足りてないのかな? オークの骨でもかじっとけ。


「ベースキャンプに戻りながら説明するから付いてこい」


そう言って軽く走り出しだ。


この森に点在する集落の位置は脳内マップを実体化したのでこの場所を去る。他の偵察役よりも役に立ってしまうな……。




付いてくる2人にスピードを合わせつつ、お互いに情報を確認する。


イースの仲間の名前はビニッツ、獣人がナデタというらしい。共にDランクで見知った間柄。


今回の斥候役は2人1組で偵察を行っていたそうで、この2人が担当するエリアの調査を終え、少し進んだ辺りでナデタがオークの血の臭いに気付き、この場所に着いたらあの光景が広がっていたそうだ。


俺の方はギルマスから自由行動を認められているので、彼等とは別口で偵察を行い、戦意高揚と俺の実力を示す為に1人で集落を潰した事を伝えた。


「ハァ、ハァ、アンタ本当に人間か?」


失礼なヤツだ、同じ事をレイラインにも言われたな。


「1人で集落を潰したって、ハァ、冗談にしか聞こえませんぜ、ハァ、ハァ」


2人とも息が上がっている、この速さでもキツイのか?


「大丈夫か? キツイならスピードを落とすぞ?」

「お願いします、ヨシタカさん」

「ああ、俺でもキツイぜ」


2人はだいぶ暗くなった森の中、周辺にはオークの集落があるという状況でのストレスで神経と体力を磨り減らしているのだろう。


獣人は冒険者に限らず、子供でも同年代の人族に比べて身体能力が高い種族である。

そのナデタがキツイと言うのなら、本当にこの速度は辛いのだろう。




◆◆◆◆◆




オークの集落を出て、ベースキャンプに着くのに1時間かかった。


辺りはすっかり暗くなり、ベースキャンプ周辺だけが異常に感じる程に明るかった。


俺達がベースキャンプに入ると、俺の姿を見た連中から声が上がった。


「どうした!オークか!」

「大丈夫か!何があった⁉」


こんな感じ。


うん、俺は大丈夫だよ。これ全部オークの血だから。


神気刀や黒神獣の皮鎧等、俺の装備品自体は壊れないし汚れない。

しかし、顔や腕に付いたオークの血はそのままで目立つ。


こんな姿を見れば、何かあったと思っても不思議ではない。ここはオークが異常繁殖している森の近くだ。


「ビニッツ、レグを呼んでこい! ナデタ、広い場所を確保しろ!」

「分かりましたよ」

「おう」


2人に指示を出して進む。


「どいてくれ! 場所を空けてくれ!」


俺の姿に集まった冒険者達を掻き分けて、ナデタがベースキャンプの中で場所を作る。


ベースキャンプの中は大量の松明や焚き火の炎で明るくなっているし、炎の熱で暖かい。


「おまっ! どうしたんだその姿は!」


ビニッツに呼びに行かせたレグが、来るなり俺の姿に驚く。


自分でもヤバイ姿なのは解ってるって……。


「来たか。これを見てくれ」


そう言って、オークジェネラルとオークリーダーの死骸をアイテムボックスから出した。


「これは!オークリーダーと……、ジェネラルか⁉」


流石にレグは一目見れば解ったか、話が速くて助かるね。


「オークの集落を1つ潰してきた。これがその証拠だ」


ナデタが作った空間にオークの死骸を出していく。


「マジかよ……」

「3人でやったのか⁉」

「オークリーダーとかオークジェネラルなんて初めて見たわ」

「確かアレって、Bランクのルーキーだよな?」


周囲の冒険者達はこの光景に驚きつつ、周りの者と言葉を交わす。


「お前ら3人でやったのか?」

「いえ、ヨシタカさんが1人でやりましたよ」

「俺達2人が集落に着いた時には、集落にはオークの死骸が広がっていた」


2人の言葉にレグは俺を見た。(変な目で)


「オマエ、本当に人間か?」

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