第85話:太陽にほえてるぞ!
短いですが、区切りが良かったので投稿します。
明日、明後日の2日間で3話分を投稿したいと思っています。
投稿時間は何時になるか分かりませんが、宜しくお願い致します。
今夜が楽しみだ♪
本当は今すぐにでもエリアスに俺の魔力を与えてみたいが、もうすぐ日が暮れる。
さっさと戻ってゆっくりと試したい。ガマンだな。
それよりも先にやる事がある。オークジェネラルの始末と、後片付けだ。
「エリアス、あのオークジェネラルも任せて大丈夫か?」
ぴょん
「そうか、ちゃんと止めを刺したらシュークリームをやるから頑張るんたぞ? 俺はあっちの死骸を回収してくるからな?」
ぴょん!
オークジェネラルもだいぶ弱ってきている様なので、エリアスだけでも大丈夫だろう。
オーク達の死骸に近付くが、目の前にはえげつない光景が広がっている。
四肢や頭を失った無数のオーク達の【裸】の死骸。
そう! 【裸】の死骸だ!
戦闘中は気にしない様にしていたが、オーク達は裸だったのだ。
実はオーク以外の魔物、ゴブリンやコボルトも服など着ていなかったが、オーク達は身体が大きいので、色んなモノが目についてしまう。
オークジェネラルやオークリーダーなんて、興奮していて股間のアレが自己主張しまくってたもん……。
人に近い体型をしている魔物は、倒した冒険者の鎧や衣服を剥ぎ取り着用する奴もいるそうだが、生憎とここのオーク達は全て全裸でしたとも。
せめて腰に布切れ1枚あると嬉しいな……。
神様、この辺は何とかなりませんか?
たぶん無理だろう。諦めて死骸を回収する。
1体ずつ手を触れて、アイテムボックスに収納していく。切断した四肢や頭も忘れずにね。
もしも、俺が残した部位を食べに他の魔物がここに集まる、なんて事態を避ける為に。
現在、この森にオーク以外の魔物が極端に少ないのは、オーク達が食料にしているからと思われる。
このままオークが増えていき、森の動物や魔物では食料として足りなくなたった時、同族争いが起きるか森を出て活動する事になるのだろう。
そうなれば大変だ、スタンピードが起きるかもしれない。
やはりこの討伐作戦は成功させなければならない。
見知らぬ他人とそれを襲う魔物、どちらが大事かと問われれば、間違いなく見知らぬ他人と答える。当たり前だろうな。
流れ作業の様に死骸やパーツを回収して、エリアスの所に戻る。
エリアスも終わらせていた様で、俺に向かって跳んでいた。
ぴょん!
またも両手でキャッチ。
ぴょんぴょんぴょん
「わかったわかった、シュークリームだろ?」
ぴょん!
ブレないお前は俺の癒しだよ。
グリグリ
思わず、おでこでグリグリとしてしまった。
すりすり
そんな俺にエリアスが更に身体を擦り付けてくる。
(癒されるわ~)
アニマルセラピーならぬ、スライムセラピーか、心が落ち着くよ。
エリアスを片手で持ち、空いた手にとろりんなシュークリームを出す。
やっぱり、エリアスは大きくなっているよ。
以前は片手で余裕だったのに、今では片手でやっと納まるサイズになっている。
それでも、まだそのサイズなので小さくて可愛いぞ。
こんなエリアスがどんな風に変わるのか、考えれば想像が膨らむね。
口で袋をちぎりシュークリームをエリアスに差し出すと、その小さな身体を伸ばしてシュークリームを受け取る。
この動作が堪らんわ~。
シュークリームを吸収する事に集中しだしたエリアスを、いつもの定位置に置いてオークジェネラルを仕舞う。
あとは戦闘を始めた辺りに横たわるオーク達の回収か……。
喉の乾きを思いだし、自分へのご褒美に缶ビールを出す。
プシュッ!
ゴク、ゴク、ゴク、ゴク!
「カーーーー!!! 生き返る!」
この世界でこれまで飲んだ、どのビールよりも美味かった
それは一言では言い表せられない惨たらしい光景が広がっていた。
無数どころか、大量のオークの死骸が横たわり、その周辺には血の大海が形成されているのだ。
誰がやったのかと問われれば、俺がやったと答えるしかないが、戦闘中は俺も必死だったんだよ?
凄惨な現場の中、オーク達の死骸を回収していると、大きな声が響き渡った。
「なんじゃこりゃー!!」
何か、太陽にほえてるぞ!