第82話:俺が悪者じゃんか!
本日分の2話目です。
感想と共に、誤字のご指摘とこの作品で気になった部分のご指摘をいただきました。
誤字に関しては、今夜から明日にかけて訂正させていただきます。
誤字にしても、作品の内容に関するご指摘もですが、私の拙い作品を真剣に読んで下さっている方がいる事に、とても嬉しくなりました。
皆様、今後とも宜しくお願い致します。
ここからは白兵戦だ!
魔力は半分ちょい残っているが、この距離で魔法を早打ちする技術も自信も無いので素直に刀で戦う事にする。
俺の武器はクラウちゃんに貰った神気刀、ちゃんと一撃でも食らわせられれば致命傷は必至。
人並み以上のステータスで立ち回れば、やってやれない事はないゼ。
いくぞ!
3体のオークが壁の様に並んで迫って来るが、刀を軽く高めに構え、一気に左斜めに斬りかかる!
俺から見て右と真ん中のヤツをぶった斬り、そのまま返す刀で左上に斬り上げる。変則的なVの字斬りだ!
太って身体が分厚いオークの身体は、神気刀でも深く斬り込まないとその身体を貫通する事は難しいのだが、流石にこうも派手に斬りつければその命は断てる。
固い背骨ごとスパッと斬るのだから当たり前か。
血しぶきや返り血を浴びるが気にしてはいられない。
俺のステータスをもってしても、オークの体重が乗った一撃を食らえば無傷ではいられないだろうから、さっさと次の攻撃対象を探す。
幸いな事に、オークの死体が障害物となって、俺に近付こうとする奴等の邪魔をしているみたいで、オークどもは連携して攻めてはこれない様だ。(ラッキー♪)
!、気配感知に反応があった。
身体の表面がゾワゾワする。こんな感覚は初めてだよ。
棍棒か木の幹か判別出来ない武器を振り回しながら、複数のオークが攻撃してくるのをかわしつつ倒していくと、突如気合いの籠った大きな雄叫びが聞こえた。
「ブフォォォォォーーーーン!」
俺に襲いかかろうとしていたオーク達が動きを止め、雄叫びのした方向を見る。
俺に余所見なんて選択肢は用意してない。そんなモンはさっき捨てた。
チャンスとばかりに、連中の視界の外から斬りつけて2体のオークを葬った。
神気刀の切れ味は落ちないが、俺の神経が摩耗してゆく気がする。
息も荒く、身体の至るところから汗が吹き出る。
急ぎ、声のした方から距離を取るべく素早く走り、残りのオーク達とも距離を取りつつその姿を視界に納める。
ハァ、ハァ、ァ…。
俺の10数メートル先に3体のオークがいる。
更にその先から異様な気配を感じる。どうやら上位種のお出ましの様だな。
さっきの雄叫びはオークリーダーかオークジェネラルのモノだろう。雄叫びだけでも力強いモノを感じたよ。
この肌がゾワゾワする感覚も上位種の放つ気配を感じ取っているからだと推測出来るが、その存在感はこれまでのオークとは格が違う事を現している様だ。
脳内マップで残りのオークを確認したら、目の前の3体のオーク、視界に捉えだした3体の上位種、更にその先に4体のオークがいた。
(不味いな…)
無事にオークジェネラルを倒しても、奥にいるオークを仕止め損なって他の集落に合流でもされたら、俺の襲撃がバレてしまう。
そうなったら、明日以降の討伐作戦にとっては厄介な事になるかもしれない。
オークジェネラルよりも奥の4体を先に倒したいな。
そんな事を考えている間に、3体の上位種が俺の前に立つオークと合流した。
たぶんだが、オークジェネラルを真ん中に、両サイドにオークリーダーが立ち、その外にオークが並んでいる。(水戸○門みたいな布陣だ)
オークリーダーの見た目は普通のオークよりも、身体が大きい。肌の色だって、オークはピンクっぽい肌なのに対して少し濃い目の色合いをした肌だ。
オークジェネラルに至っては、身体の大きさはオークと変わらないものの筋肉質で多少、引き締まった身体をしているし、肌も黒い。
オークとオークリーダーが相撲取りと表現するならば、オークジェネラルはレスラーという感じだろう。
この状況でも解るが、オークジェネラルはヤバいぞ!
オークが進化してリーダー、ジェネラルへと至る訳だが、やはり1段階進化するだけで強さと存在感が跳ね上がる様だ。
オークを雑魚と例えると、オークリーダーが中ボス、オークジェネラルがラスボスだよ。
ちゃんと準備して挑まないと、中ボスでさえゲームオーバーを覚悟せんとな。
そりゃあ、今回の殲滅戦を急いだギルマスの気持ちも解ったよ。
オークジェネラルが1体いるだけで、集まった冒険者が全滅する可能性があるのだ。早めに殲滅してジェネラルの誕生を阻止したかったのだろう。(遅かったが…)
う~ん、どうやって奥の4体を倒そうか…。
悩んでいると、オークジェネラルが大きく息を吸い込んだ。(さっきの雄叫びがくるのか⁉)
チャンスとばかりに、6本の雷の矢をイメージする。
「サンダーアロー!」
魔法の発動と同時に、姿勢を低くして走り出す!
上位種に対して、どれだけのダメージを与えられるか分からんが、意表を突いた攻撃で隙を作れたらそれでいい。
雷の矢を顔面に受けたオークは崩れ落ちる様に倒れるが、オークジェネラルはほぼ無傷で、自分が吸い込んだ息でむせて咳き込んでいるだけ、オークリーダーは自身の腕でガードしていた。
期待はしていなかったが、不意打ちでも多少のダメージすら与えられなかったね。
そんな事は構わずに向かって左のオークリーダーに刀を構えながら走る。
向こうも俺に近付きながら、お粗末な武器を振り上げる。
「エリアス、しっかり掴まってろよ!」
この戦闘中でも頭の上から離れなかったエリアスに声をかける。
とたんに、俺の頭全体を何かが覆う感覚がした。
オークリーダーに迫りながら、視界の隅で他の2体を確認すると、動く気配がなかった。(よし♪)
オークリーダーの棍棒を神気刀で真っ二つにし、その横っ腹を軽く斬りつけて、オークリーダーを通り過ぎる。
サンダーアローからの一連の流れはこの為だ。
ハナっからコイツ等を倒す事は後回しにしたかったのだ。
俺の目標は奥にいる4体のオークなのさ。
こうなれば後は全力疾走あるのみ!
一瞬で、奥で固まっているオークが見えた。
(マジかよ…)
そこにいたのは小柄な子供のオークと胸の張ったオークだった…。
これって、あれだろ?
集落が襲われて危険かもしれないから、子供とその母親らしきオークが後方に避難している構図だよね?
うわー!
これじゃあ、まるで俺が悪者じゃんか!




