表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/125

第78話:コイツ、誰?

「もう昼か…。よし、休憩にしよう。」


俺達は馬車に乗っているだけだが、馬車を引く馬には適度な休憩が必要だ。


この団体が纏まって休憩を取れる場所まで移動して、休憩を始める。


すりすり


「分かった、分かった。飯の準備をするからちょっと待ってろ。」


時刻はもうすぐ13時。

馬車に揺られていただけとはいえ、俺も腹が減ったよ。


周囲の冒険者達はギルドからの配給を受け取っている。パンと水、それから干し肉の様だ。

今回の討伐戦に参加する者は、ギルド側から食事や毛布等の最低限の物資の援助を受けられる。バルム子爵からの援助物資だね。


ギルドで用意した物を、受け取らなければらならい決まりはないので、自分のメシは自分で用意した。

周囲にも、街で買ったサンドイッチやパンを食べている連中も確認できた。


料理は沢山準備している。何を食べようか?

この休憩は30分くらいらしいので、サッと掻き込めるモノにしよう。


アイテムボックスからご飯の入った土鍋と中華鍋を取り出し、深めの皿に盛る。


「ほら、エリアス。今日の昼は麻婆豆腐丼だぞ~。」


ぴょん!


「食べようか。」


ぴょん、ぽむ


いつもながら、器用に食うなぁ。


どれどれ、俺も。


バクッ!


ンン、麻婆豆腐自体は薄味気味だが、餡が米に絡むからこれぐらいの味付けでも十分に美味いな。


ヤッベ!麻婆豆腐丼って飲み物か?

マジでスルスルと飲み込んじまうよ。


「変わった物を食べているのね?」

「ご飯食べてるエリアスちゃんも可愛い~♪」


食事を受け取った3人が馬車に戻って来た様だ。


「ああ、この大陸の料理に慣れてなくてね。食事は自分で用意したんだ。」

「持ってきたの⁉」

「アイテムボックスがあるんでね。」


麻婆豆腐の入った中華鍋を出して見せる。


「貴方、本当に人間?」

「お祖母ちゃん、失礼だよ。美味しそうな料理ですね。」

「ありがとう。少し食べてみるかい?口に合うか分からないけど。」


3人に少し麻婆豆腐を分けてあげる。


「良い匂い~。」

「見た事の無い料理ね。」

「異国の料理ですか…。」


ユインは嬉しそうに、レイラインとシュウは慎重に麻婆豆腐をスプーンで掬う。


パク×3


「美味しー!」

「上等な調味料を使っているのね。」

「~。か、辛くないですか?」


シュウには辛かったか。お子ちゃま舌というよりも、しっかりとした味付けに慣れていないのだろう。

他の2人はちゃんと食べられる様だ。長年、魔法士団の副団長を務めているだけあって、普段から良いモンを食っているのかな?


「少し辛いけど、この白いのと食べると美味しいね。お祖母ちゃん。」

「スープ代りには贅沢ね。」

「味気ないパンには有り難いです。」


なかなか好評だ。




◆◆◆◆◆




休憩が終わり、移動を再会する。


空が赤くなり始めた頃、野宿の準備を始める。


移動中、あまりにも暇だったので昼寝をして時間を潰したが、寝ている間にユインがエリアスを強奪していた…。

起きたら、ユインに掴まれたエリアスの機嫌が悪かったので、キャラメルで機嫌を取った。


季節は秋でまだ10月だ。焚き火と毛布があれば野宿もそこまで苦ではない。


新人冒険者達が炊き出しの準備を始めている。

今夜の焚き火で使う薪や小枝は街から持って来たのだが、明日以降は森での調達になるらしい。


完全に暗くなった頃、食事が配られ始めた。

昼と同じパンと水に干し肉、朝と夜はスープが付くそうだ。


商業ギルドのグループから活気のある声が聞こえると思ったら、彼等はここで商売を始めていた。

品物はエールと簡単な軽食の様だ。武器の在庫もあると宣伝もしている。(抜け目がないね)


新人冒険者達は深夜に交代で寝ずの番をするが、一般の冒険者達は食べたら寝るだけとなる。

ここは街道沿いの開けた場所、夜は比較的安心して眠れるので、酒を飲んでもいいらしい。


商人達の軽食を覗いていると大きな声がした。


「おい!お前!」

「イース、止めとけって!」

「そうよ!」

「おい!そこのお前!」


何だ?揉め事か?五月蠅いなー。


フランクフルトっぽいのが焼かれてる。美味そうだな。

エリアスも頭の上で動いている感じがするので食べたいのだろう。


「2本くれるか?」

「2本だね。はいよ、銅貨8枚だ。」


オッホー!高いな~。出張価格込みなのか?


「値段はちょいと高いが味は保証するよ!」


当然、ケチャップやマスタードは無いのでそのまま食べる。


アーン!プリッ!


確かに美味いな。

聞けば、1本で銅貨4枚というのは、多少の手間賃が入っているものの、良い腸詰めを使っているかららしい。


「肉々しくて美味いな、エリアス。」


ぴょん


「おい!聞いているのか⁉」


何だよ、まだやってるのか?


グイッ!


えっ!


「俺はお前に言っているんだ!」


いきなり俺の腕を掴んできた男が大声を上げた。


コイツ、誰?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ