第7話:ゴチソウサマデス
この作品を読んでくださる皆様、本当にありがとうございます。
自分の文章がクドく感じるようになり、息抜きを込めた第7話にしました。
正直に言いますとおやつに、ぜんざいを食べてからこの内容にしました。
説明回は次にします。
「へ~。女神様も大変だね」
ちょっと他人事な返事になってしまった。(他人事だけどね♪)
他人事とはいえ、美少女の力になってあげたいと思うのが、悲しい男の性だ!(我が生涯に一片の悔いなし‼)
「ギフトに関しては以上ですね。続きまして【スキル】の事なんですが、」
「ハイハイ、スキルね。跳んだ方がいい? 一緒に跳ぶ?」
集中力が続かなくなり、ちょっとボケてみたら、クラウちゃんが可愛く首を傾げた。頭の上に?マークが見えたような気がする。
「?……、ちょっと休憩がてら、お茶でも用意しますね♪」
「魂の俺にお茶?」
「魂だけと言っても、ここは天界ですよ?ちゃんと人の姿をしているので、食事や睡眠だって取れます。必要かどうかは別ですけど♪」
ニッコリ微笑んだ彼女は、硬い錬金術士さんみたいに胸の前で、ポンと軽く手を合わせると、何処からかともなくテーブルにソファー、ティーポットにティーカップが現れた!
(これが魔法か⁉)
「申し訳ありません、ずっと立ちっぱなしでしたね。ささ、どうぞお掛けください。」
「うん……」
ソファーに座ってみても何の違和感もない。実家のモノよりも座り心地が良いのは神様仕様か? 魔法だからか?
「驚かれましたよね。簡単に言うと神の力で出しました。お茶もソファーも本物ですよ♪ お茶はイシュルガーツのモノをご用意しました。どうぞ」
そう言って、お茶の注がれたティーカップを俺の前に置いた。
見た目には特に違和感を感じない、紅茶か?
飲んでみる。
(やっぱり紅茶か? ダージリンっぽい? 品質も良さそうだ)
「如何ですか? お砂糖やミルクもありますが?」
「美味しいよ。地球の紅茶に似てるね。このままで十分だよ」
「ありがとうございます。以前の転生者の方が、お茶の栽培や加工法を広めてくださったのです。因みに、私の秘蔵の茶葉です。奮発したんですよ?」
「ちょっ! 以前の転生者って?!」
「ちょうど良いのでお話しますね。実は他所の世界からの転生、というよりも魂のトレードというのは珍しい事ではないんです」
「マジっすか?」
「はい。理由の多くは今回と同じ文明の発展、進歩の為の起爆剤としてです」
「じゃあ、俺の世界にも?」
「もちろん。わかりやすい人物で言えば織田○長さんやアインシ○タインさんがそうでしたね」
「マジか‼」
歴史上の人物や偉大な科学者が元は異世界人だったなんて‼
何とかして知り合いに教えてやりたい!
特に高校でお世話になった、日本史の木村先生には是非とも教えたい‼
何せあの人は大の○長ファンだったからな。
だって口癖が「○長の人生にはロマンがある」だぜ?
部下に裏切られて死ぬ人生にロマンは……なぁ?
「お二方は特に活躍されたそうですが、他の転生された方も歴史に名を残す事なく、元の世界の知識を活かして、自由に過ごしておられたそうですよ」
「ホントに? 神様からの指令とか無いの? 魔王と戦ったりしない?」
「それは滅多にない事ですよ。そんな事態になる前に、現地の誰かに加護やギフトを授けて何とかしますからね。要するに世界の危機に現れる様な、勇者や聖女といった救世主的な存在は、そうやって神が用意するのです」
身も蓋もない話しだが、世界の真実を知ってしまった。
竜なクエスト世代として、ちょっとは勇者に憧れていただけにショック……
「細かい事は気にせず、好き勝手に人生を楽しんで下さいね♪ あっ、お菓子でも出しましょうか」
そう言って、胸の前で手を合わせようとして……
「そうだ! 藤原さん、万物創造を使ってみましょ♪」
美少女女神様(見習い)はそう言った。
「ああ、実は俺も少し試してみたかったんだ。どうすればいいの?」
「難しく考えずに、このお茶に合うお菓子を想像してください。初めてなので、目を瞑った方が想像し易いですよ」
目を瞑ってお茶に合うお菓子を想像してみる。
何がいいかな?
年頃の女の子も居るし、ケーキかな?
いや、ここはシュークリームだ!
それも俺の好きな7コが合言葉な某コンビニの、ミルクたっぷりと○りんシューにしよう!
値段は手頃なのにクリームたっぷりで美味しいよね。
名に偽り無しだ。
「了解、それで?」
「体の中に何か感じますか?」
「お腹の辺りに何か、動いてる感じがある」
そう、お腹というか鳩尾辺りに何か、グルグルと蠢く感覚があるのだ。(決してお腹の調子が悪い訳ではないぞ!)
「さすがに魂の状態だと感覚を掴むのが早いですね。その動くモノが藤原さんの魔力、魂のエネルギーです」
「ああ、何となくそうなんだってわかる」
「では、その魔力をちぎって、想像したお菓子に注ぐイメージをしてみましょう……か………」
クラウちゃんが言い終わる前に、イメージがうまくいったのか、テーブルから50㎝程の高さから、と○りんなシュークリームが袋に入った状態で2つ現れ落ちてきた。(想像通りのシュークリームだ!)
思わず、二人で落ちるシュークリームを目で追ってしまった。
しかし!俺のセブンセ○シズが反応し、シュークリームがテーブルに到達する前にキャッチに成功!
クリームがシュー生地から飛び出る事なく、綺麗な状態を守る事が出来た。
俺は1人静かに達成感を噛み締める。
「食べよっか」
と、何事も無かったかの様にシュークリームを差し出す。
受け取ったクラウちゃんは、
「ど、どうやって食べるんですか?」
と、キラキラと瞳を輝かせて尋ねてきた。
「これはシュークリームというお菓子で、こうやって透明なこの袋から出して食べるんだよ」
「はい。異世界のお菓子は初めて食べます!」
「女神様なのに?」
「ええ、神といえど他所の世界に直接関わる事は禁じられています。自分が管理する世界のお菓子を手に入れる事でさえ、大変な苦労を伴います。ですので、シュークリームなるお菓子も初めて食べます………」
と、クラウちゃんが可愛い顔には似合わない様な、深刻な口調で語った。神様が異世界のお菓子1つで、ここまで深刻な話になるのかよ。
「気にせず食べてみて。パクっ」
ん~。
安定の旨さだ。
シュー生地に包まれた、濃厚でモッタリとしたクリームに贅沢を感じる一時。
食べ進めるうち、生地に収まりきらなくなったクリームが、唇の脇から頬に逃げようとする。
そんなクリームを指ですくい、ひと舐めすれば、気付いた時には最後の一口。
牛乳マークでお馴染み某コンビニの、大きくてツインなシュークリームと迷ったが、正解だったと思う。
あの2種類のクリームが混ざり合ったときの旨さは、素人には危険だ。
名残惜しさを感じつつ食べ終え、クラウちゃんを見れば、指や唇、顎にまでクリームを垂らすエロイ美少女になっていた……。
ゴチソウサマデス。