第6話:女神様も大変だね
ちょっと説明が次の話にも続きますが、お付き合い下さい。
「良かった~。私の名前はクラウ。女神クラウです」
と、第一印象を裏切らない可愛らしい声が聞こえた。
(美少女ってホントに居るねんなぁ~)
(いや、この場合は美少女よりも、美少女女神様の方がシックリくるな~)
などと不謹慎な事を考えていると、美少女女神クラウちゃんが俺を上目遣いで見つめる様に話し始めた。
「あちらの世界でタナトス様から伺っていると思いますが、藤原さんにはこれからこの世界で転生していただく事になります」
「……みたいだね……」
「はい♪ と言っても、魔王を倒すとか何処かで国を作って繁栄させる、みたいな目的は有りません! 好きに生きてもらえれば十分です♪」
「えっ! そうなの?」
「はい♪自由に過ごしてもらって、周囲に何かしらの影響を与えてくれるだけで良いんです♪ 難しくないでしょ?」
「ああ、言うだけならそうかもね」
「それに!転生していただく皆さんには、転生する際に転生特典を差し上げていますので、これからの人生は勝ち組確定ですよ!」
「転生特典?」
「はい♪」
ゴクッ!
思わず喉が鳴ってしまった。
だってそうだろう?
ついさっき、ダンディー神(タナトス様)に【万物創造】なんてチート能力を貰ったとこなのに、今度は美少女女神クラウちゃんからもチート能力らしき【転生特典】なるものが貰えるんだぜ~。
そりゃあ、美味し過ぎて喉も鳴るわいなぁ。
「それで、転生特典っていうのは何を貰えるの?」
「はい♪ わかりやすく順番に説明しますね!」
そう言って、美少女女神様はニコニコと満面の笑みで詳しく説明してくれた。(1時間かけて)
長いよ‼
よーするにこんな感じだ。
①こっちの世界には、個人の持つ能力の一部として【ギフト】と【スキル】という、2種類の能力がある。
②【ギフト】は個人が生まれ持つ特殊な能力。又は、神様からの贈り物である特殊な能力なんだそうな。タナトス様から貰った【万物創造】はギフトの部類に入る。(ギフトはスキルよりも強力で希少な能力だそうだ)
③【スキル】は生まれつき持っている事もあるし、努力して手に入れる事も出来る能力の事なんだって。
④今回の転生者にはもれなく、3種類の【ギフト】と幾つかの【スキル】をくれるそうだ。(これって大盤振る舞いの様で、それ程に期待しているらしい)
⑤3種類のギフトとは【イシュルガーツ言語】・【神の知識(限定版)】・【神眼】の3つ。
このギフトの内容は
【イシュルガーツ言語】
イシュルガーツにある全ての言語を理解し、読み書きが出来る。
【神の知識(限定版)】
イシュルガーツ内において、神が把握している膨大な知識を得る。
しかし、神のみが知るべき知識等の一部の内容は対象外の為、限定版となる。
【神眼】
様々な対象のステータスを見る事が出来る異能。
鑑定スキルの上位版。(鑑定スキルもあるんだ~)
と、いう説明を1時間にわたって聞いていたが、ある事が気になり、腹を擦ってしまった。
「……?」
「どうかされましたか?」
「……いや、長い時間、タナトス様やクラウちゃんと話しているのに腹が減らないし、トイレに行きたいとも思わないんだ。さっきちょっとだけ喉が渇いたけどね」
「成る程。それは藤原さんが魂の状態だからですよ。だから所謂、三大欲求すら感じません。そして喉の渇きは条件反射や、思い込みによる擬似的な感覚ですね」
「そうなの?」
「ええ。今の藤原さんは自分自身の魂のエネルギーで活動していますからね♪ っていうか見習い女神とはいえ、ちゃん付けで呼ぶのはやめてもらいたいです!」
「えっ、見習いなの?」
「はい……。まだ修行中の身なのです。ですので、魂の状態でも藤原さんの心の声は聞こえません。藤原さんの転生のお手伝いをし、見守る事が一人前になる為の試験なのです!」
「へ~。女神様も大変だね」